case4:山本咲(葛藤)
気がつくと家ではいつもそうだ。
一時、リストカットなんてものが流行った。
私も最初はそれをした。
最初は血を見るだけでホッとした。
しかし、それにら親が気付くと普段は見向きもしないのに、自分のことを責めて泣いた。
ごめんね。
ただその言葉を繰り返して。
その日依頼、私は手首を切るのをやめて、目立たない所で行うこととした。
今は、腕。
次はもも。
切り傷と誤魔化せるのも大事だ。
私はその刻みの量などに関心はない。
というか切るまでの高揚感。
それのみと言ってもいい。
最初は血を見て色々と感じたりもしたが、今は全くない。
切って終わり。
痛みもわからない。
そして、切る理由もわからない。
そんなことを思いながらふと視線を上げると、この前見た女の人とは違う人がそこにいた。
眼が合うなり一瞬で私の耳元に来て。
死にたいなら殺してあげようか。
と不的な笑みを浮かべて私にそう伝える。
死にたい。
それもいいかもね。
そう思うと、彼女を手招きして、
それって痛くないの?
と、彼女に耳打ちをする
うん。
全然。
だって死ぬ前にその魂を連れていっちゃうからね。
彼女は笑いながらそう答えた。
その言葉を聞いて、私の中で色々なことが頭を巡った。
これまでのこと。
直近で決まってること。
嬉しかったことや悔しかったこと。
まぁ、いいわ。
少し考える時間をあげる。
私はいつでもあなたのそばにいるからいつでも呼んで頂戴。
願えば、すぐに来るから。
そういうと彼女はふぁっといなくなってしまった。
なんだったんだろう・・・
私は少しの間、呆然とそこに佇んでいた。
気付いたら辺りが暗くなっていた。
一体どれぐらいの時間が経ったんだろう。
死についてリアルになった時に一瞬躊躇した自分がいた。
その自分に恐怖を覚えた。
自分を傷付け、そこに怖さはないと思っていたのに、実際、躊躇している自分がいた。
なんで、
そんな自分が嫌になり、私はベットに身を投げると気付いたら寝てしまっていた。