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case4:山本咲(乖離)

case4:山本咲(乖離)


ただいま。


誰もいない部屋にそう呼びかける。


今日も両親は仕事だ。


何不自由のない人生わ送らせてもらって文句は一つもない。

ただ、それだけ。

家族の時間などは一切ない。


私は基本的にはいい子を演じている。

学校では模範生。

家で聞き分けのいい子。


ただ、それは演じているだけで本当の私ではない。

そう。

本当の私は私しか知らない。


同級生も後輩も身内も


みんなが見てるのは演じられた私。

本当の私ではない偽りの私。


虚無


いつものことだ。

一人でいる時は、気付いたらいつも私の手は血だらけになっている。


ぽちゃん


血がコップに滴る。


それをただただ虚な目で見ている私。


私の生きる意味を教えて。

そしてこの生き地獄から私を救って。

お願いだから。


そうして気付いたらいつもベットの上に横たわっている。


そして朝を迎える。


この繰り返しだ。


本当に虚しさだけが残る。


ねぇ。クロ。

今回の対象者はあの子で間違いないよね?


彼女は空から窓越しに彼女を見つめる。


うん。

間違いないよ。


クロもそう私の方の上で言う。


そう。

これが今回の対象者だ。

《対象者》

山本咲

17歳

品行方正

成績優秀

自殺願望あり


ふーん。

またこのタイプか。


彼女はぼそっと呟く。


最近多いのね。こう言うの。


クロもそれに同調する。


本当に最近多い。

10代の対象者が。


これはこれで本当に大変なのよね。


彼女そう呟く。


そう。

この事案は、調整官の感じ方に一つによって死神様なのか生神様なのかがかわる。


中には、輪廻の数と比較して、本人の意思とは別に意識的に死神様やら生神様にリードする調整官もいる。


あまりにもの場合は、調整官として責任を問われることもある。

しかし、このケースはまずない。


日々の感情が違うためその場での判断に基づいて。とその一言で全てが済んでしまうからだ。


そしてそれは未来に綻び生む。

生きるべき人が死神様に誘導された場合は、本人以外の周りでその歪みが生まれる。

逆に

死ぬべき人が生神様に誘導された場合は、その対象者何かのきっかけがあるまでずっと志願者であり続ける。


だからこそ慎重にしないといけない。


ただし、問わないからポイントを稼ぎやすいと言う反面もある。

早く死神様や生神様になりたい子達は好んでこの案件は選び安易処理をしていく。


そして今回も例外ではないのかもしれない。

対象者に関与できるのは別に一人と決まっているわけではない。

いつ誰が割り込み、そして安易な結論を出すかわからない。


はぁー。本当に嫌だな。


彼女は後頭部をぽりぽりと描きながらクロにそう言った。


僕もそうだけど、仕方ないでしょ。


クロも同じ意見みたいだ。


まぁ、横槍なく終わることを願いつつ、観察を始めますか。


彼女はそういうと、山本咲に近づいて行った。

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