第94話 G と 港町の事情。
私は冒険者ギルドに出向き
私の部屋に闖入してきた連中を
国軍たる衛兵に引き渡しを要求したのです。
しかしその後、別室に通されたかと思えば
ミラブア支部のギルドマスターが出てきたのです。
「と言う感じなのですよ……。」
「なるほどねぇ……。」
私は直接、詰所に出向かなくて良かったと思った。
なんでもこのミラブアの港町は
1つの暴力的犯罪組織、ようはマフィアみたいな
連中が支配しているそうで
恐らく私は市場で買い物をしていた事で
目を付けられたのではないか、とは
ギルドマスターのノストラさんの言だ。
しかもかなり根深い組織だそうで
国や国軍の中にもファミリーに加わっている者も居れば
冒険者の中にも居たり、私が経験したように
宿に限らず、店そのものがその関係であったりと
中々排除が難しい、というのが実情だとか。
「それでも冒険者ギルドは国とは無縁ですし
冒険者としての活動をしっかりしているのであれば
それを咎めるのも難しいのです。」
冒険者ギルドとしては依頼を利用して
そこに加担するようであれば即時登録の抹消と
永久に再登録が出来ない様に処理をするそうなのだけど
それを行わない以上は犯罪者として逮捕されでもしなければ
特に対処自体は行わない、と言うより
行えない、と言う見解らしい。
「で、結局私の場合はどうなるの?」
「それは問題なく処罰対象と出来ます。
第一種後見をお持ちですから王族同等の対応となります。
その処罰内容と実施の結果まで
全てが後見している3つの国にまで伝わります。
もし行わなければ3国から苦情が入ります。
そしてそれはこのワサビンディング王国としては
その3国との国際問題に発展します。
ただマフィアの連中が黙っているかは難しいですね……。」
国は間違いなく対応するだろうけど
マフィアは自らをファミリーと呼ぶ様に
家族としての仲間意識が非常に強固なのだとか。
それ故に、私が捕まえた連中が取り逃がされるなんて
ケースもあれば、捕まえた私に対しての
報復、なんてものもあるとか。
「すると冒険者ギルドにも……。」
「冒険者ギルドの職員ともなれば元冒険者が多く
特にここミラブア支部は1人での単独行動を禁止していて
普段から複数人で共同生活をして、行動を
共にする事で対応しています。
また総本部からこういう危険地帯の支部などは
比較的元の冒険者ランクが非常に高い者達が
職員として送り込まれていますので
軽々にやられる事はありません。」
「なるほどねぇ……。
で、どうすればいいかな?」
「リラさん次第、でしょうか。
この場合は冒険者ギルドで身柄を拘束し
王都などから国軍を呼ぶ事になるでしょう。」
「じゃあそれで。
私も暫くはここに滞在する事にしたからね。」
「え?」
「え?じゃないですよ。
第一種後見とかとは関係なくです。
私に喧嘩を売ってきておいて
さらに冒険者ギルドに普段から迷惑を
かけてるようなものじゃないですか。
足腰立たないくらいまではぶっ潰しとかないと
寝覚めが悪くなる気がするんですよね。」
『どちらかと言うとマフィアというワードに
惹かれてますよね?
ここにBANANAF〇SHとか
REB〇RNのようなマフィアとか居ないと思いますよ?』
静かなる〇ンとBLA〇K LAG〇〇Nが無いのでやり直し。
『静かなる〇ンはマフィアと言うより
ジャパニーズマフィアですよね……?』
日本のマフィアだから間違ってないんじゃない?
どっちかと言うとREB〇RNかACMA:G〇MEみたいなのが
お好みなんだけど??
『それが敵って厳しくないですか?
味方だから許せるジャンルだと思うのですが……。』
はっはっは、昨日の敵は今日の友系ならドンとこいだよ!
私はあれから冒険者ギルドにある
簡易宿泊所を利用し、ミラブアの港町に暫く滞在する事としたのです。
簡易宿泊所、とはそれこそ1畳のあがり板の間があるだけの部屋で
1日たった銅貨5枚で利用出来る反面。
本当に寝るだけ、の場所なのです。
私が第一種後見を持っていて、かつ厄災の単独撃破者だと知るのは
ギルドマスターのノストラさんだけで
それ以外の人は何も知らない状態の中。
数日後に王都からやってきた国軍に
私の部屋へと闖入してきた連中、そしてその宿の店員等
私が捕まえた連中が全員そのまま王都の上級裁判所へ
直接送られたのです。
私はミニゴリラやミニミニゴリラを放ち
ミラブアの港町の状況を調べていくと
浮かび上がってきたのが
オラーコロファミリーと呼ばれるマフィアだとか。
っていうかそういう話をそこら中で話している訳で
私でもちょっと歩けば
それも何か凄くデジャヴを感じるのです。
春を扱い、禁制品たるお薬を扱っているその内容は
何かホーレルヒ王国、と言うよりオラクル聖王国の
匂いがしなくもないのですよね……。
「オラクルって神託って意味だよね……。」
『オラーコロも神託と言う意味ですね。』
そうなの?って気持ちと
またか……と、言う気持ち。
両方が頭を過った時だった。
「そういえば………。」
私は思い出したかのように魔導通信機を
冒険者ギルドで借りる事にしたのです。
連絡先はウィンガード王国のデンドルドア本部。
相手はギルドマスターのハンナさん宛。
まぁ、利用料は利用するだけでかかる
基本料をガッツリとられましたし
これからその利用時間に応じてさらに掛かるとか……。
「お前、まだBランクに上がってねぇな!?」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
「推薦の期限はねぇけど、Dランク落ちしたら
無効だぞ!?わかってんのか!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
『だから言ったのに……。』
とりあえずハンナさんから
Bランク昇級試験を受けていない事について
超怒られる所から始まったのです。
「で、聞きたい事ってのは何だ?」
「あー、ソニックさんに聞いて欲しいんですけどね。」
「………あたし宛にゃねぇのかよ!!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!
でもこれ冒険者ギルドの魔導通信機だから
王城に繋げられないって!!」
「ま、良いけどよ……。」
「良いなら怒らないで!?
これ利用料、時間で取られるって言われてるんだから!!」
私は2つのワード。
聖道十二宮神。
双魚宮のビスケッティ。
それとオラクル聖王国とこの東オーディン大陸にある
マフィアであるオラーコロファミリーがしている事の関連性。
それについて尋ねると
あっさりと1つについて答えが返ってきたのです。
まず聖道十二宮神と言うのは
オラクル聖王国の国軍であるオラクル騎士団。
その精鋭中の精鋭12人の事を
聖道十二宮神と呼ぶとか。
ただ双魚宮のビスケッティという名前は
聞いた事が無いとか。
聖道十二宮神という呼び名は
かなり有名、という事らしいけどの、その12人の名前などは
知らないそうで、ビスケッティがこの12人のうちの1人なのかすら
ハンナさんには解らないとか。
オラクル聖王国とオラーコロファミリーについても
ソニックさんに伝えて、返事をくれるとか。
「ダメ元で聞いてみたけど思っていた以上の答えと対応が帰ってきた……。」
「あんた、あたしを何だと思ってるのさ!!」
「ギルマスです!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
ハンナさんは常に怒ってるような口調で喋ってくるので
私は苦手だ……。
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