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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第1章 導入編
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第9話 G、オークビッツとの邂逅。

『ぐあっ!?』

『奴はどこにいった!!』

『知らねぇよ!!』

『ほぅ……、あいつを庇うのか?』

『知らねぇって言ったら知らねぇ!』


 俺達、オークビッツ族はいつもこうだ……。

 オーク達には「ガラクタ」と呼ばれる。


 オーク達は背丈も高いのに

 俺達はゴブリンとも言われる位に小さい。


 小さい分力もあまり無いが、その変わりに

 素早い身のこなしが特徴だ。


 どっからともなく湧いてくるオークなんかと

 一緒にしてもらっては困る。


 だけど妹達が捕まってはその素早さも関係ない。

 こうしてオークの気が済むまで

 殴られ、蹴られ、最後はこいつらの食料にされるんだ……。


 俺はなんて馬鹿だったんだろう……。

 兄ちゃんの言いつけを守らず

 勝手に集落から抜け出しただけでなく

 妹達を連れてきてしまった。


 ただ俺達は食料を探していただけなのに

 こんな事になるなんて……。



「ブヒィィィィィィィィィ!!」


「ウッホウホウホゥ……。」



 しょ……猩猩(しょうじょう)……!?

 なんでそんな化け物みたいな魔物がこんな所に!?


 しかもよりによって妹達を捕まえていた

 オークに………。





「で、こいつら何言ってるんだろうね。」

 私は飛び込んで最初に3人のオークビッツ族を捕らえている

 オークの頭を掴んで、そのまま力を徐々に籠め始めた。


  『「ギャアアアアアアアアア!!」と

   痛みで叫んでいるだけです。』


「あんたは解るの?」


  『これでも眷属ですから。』


「確か。言語理解の魔法があったよね?」


  『ええ、ゴリラの言語が理解出来るゴリラ言語理解魔法です。』


「………なんでゴリラ限定なのさ!

 この世界の共通言語とか言うアース語とかは!?

 オーク語とかどうでも良いけど、ゴリラ言語とか誰得なのさ!!」


  『そもそもその身体はこの世界に合わせて作られているので

   先程からマスターが喋っている言語はアース語ですよ?』


「え?そうなの?」


  『但しバイザーを閉めている為、マスターの言葉は

   全てがゴリラ語に自動翻訳されています。

   これぞゴリラ言語理解魔法の真骨頂!!』


「黙れ、ゴリラ!もっと折角決め台詞で現れたのに

 全員にウホウホ言っていると聞こえてるの!?」


  『マスター、ゴリラを馬鹿にし過ぎです。

   ウッホウホウホゥ……。と翻訳されています。』


「通じてない上に恥ずかしいわ……。」


  『そうですね、まさか登場と同時にあのような台詞を

   言うだなんてどこの中二病患者かと思いましたよ。』


「数秒前の私の台詞を勝手に黒歴史化しないでくれる!?」


  『ところでマスター』


「何?」


  『両手で掴んでいるオーク以外全て逃げましたけど?』


「はぁっ!?」


 助けに入ったと思ったら、あれだけ居たオークは逃げ

 それどころかオークビッツ族すら逃げていた。

 残ったのは私の手の中で泡を吹いているオーク2匹のみ……。

 とりあえず既に死んでいるようなので収納する。


  『あっという間に終わりましたね!

   流石です、マスター!!』


「違う、コレジャナイ!コレジャナイ感しかしないよ!!

 何これ!?どういう事!?!?説明プリーズ!!」


  『大猩猩はそもそもが厄災です。』


 厄災、厄災級とも呼ぶ位でその気になれば

 街や村などをたった1匹で滅ぼせる位に

 強い魔物の1種だそうで……。


  『小さくとも見た目が大猩猩です。

   それが一瞬にしてオークの頭を握りつぶそうとしている。

   身の危険を感じてもおかしくはないのでは?』


「おかしい……、中身はか弱い少女なのに……。」


  『その論理が通用するなら、スーツアクターとか

   美男美女以外が行ったら子供達が泣き(わめ)くと思いますけど?』


「……………中の人が見えちゃ駄目だよねっ!?」


  『危ない!』


 危ない。

 と、これまでニクジュバンニが発しない程

 一言で危険性を示すだろう声。


 だけど何が危ないのか、どこからなのか。

 それが解らなかった私はそれを背中から受けたのです。


 背中からお腹の両横を激しい痛みが通り抜けた。

 そんな感覚と同時に私は前へと倒れ込んだ。



「痛ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 崖から落ちた時に顔を打った痛みなど

 比べようにならない程の激しい痛みに

 私は気紛れに手で地面をドンドンと叩いていたのです。



  『来ます!』

 ニクジュバンニの一言が短い!だなんて

 文句を言う余裕もなければ、多分ニクジュバンニ自体が

 どうこう喋る余裕が無いんだと思う。


 私の腕に、頭に、足に、お腹に、背中に。

 次々と激しい痛みが走った。


  『せめてその地面を叩いているのを辞めてください!

   制限を解除すれば今後の痛みを減らせますが

   このまま制限を解除すると、地面が割れて

   マスターに危険が及びます!!』


「ぬぐぅぅぅ!?」

 ドンドンと叩いていた手を止め、そのまま地面を見ると

 確かに制限をかけている筈なのに

 地面に亀裂が生じていたのです。


  『制限を解除、十全の状態にまで戻します!』

 ニクジュバンニの言葉に、そこからの痛みは

 然程強く感じる事は無かった。


 だけどそれまでの痛みが強く

 私は悶え転げる位しか出来なかったのです。


 それからも次々と身体中に痛みが走る中

 私はその痛みの大元であろう、黒い物。


 それが黒い、としか判断出来ないほど

 私には殆どまともな目視が出来ていなかったのです。


「無限バナナの皮!!」

 私は周囲にバナナの皮を敷き詰めるように蒔いた。


 そして黒い物は、そこに躊躇する事無く突っ込んできてくれて

 足を滑らせ、そのまま木に激突した事で

 やっと私の身体に痛みが走る事が無かったのです。


 ただそれは、オークと言うには黒く

 ぶつかった筈なのに何故か木を背にして倒れていたのです。



「……………黒豚?」


  『黒いオークビッツですね。

   そもそも豚自体が猪を家畜化したものですから

   黒い個体が生まれたとしてもおかしくは無いでしょう。

   変異種だと思われます。』


 ただその黒いオークビッツとやらは

 先程見た4人のオークビッツとはかなり違い

 小さくも、妙に丸々と太っていたのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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