第84話 G と 逮捕。
「はぁっ!?そんなするんですか!?!?」
聖道十二宮神
そして双魚宮のビスケッティ。
この2つのワードについて
ウィンガード王国に問い合わせをしようと
郵送類を管轄している商業ギルドとやらに行くと
方法が2つあると言われたのです。
1つが飛竜便。
こちらはワイバーン、ではなく本当にドラゴンだそうで
その背中に配達員でもあるドラゴンの主が乗り
手紙を届けてくれると言う
半ば宅急便に近い仕組。
もう1つが魔導通信機。
相手が国家なのでこの方法が使えるらしく
飛竜便のような手紙の往復からタイムラグまで
煩わしさが無い、電話のような仕組。
但し飛竜便、とやらはドラゴンの主になるような人は
世界でも稀、だそうで便数も少ない上に高額。
魔導通信機は私自身の身分的な問題性が高く
利用するにしても飛竜便を遥かに超える
超高額な連絡手段だとか。
冒険者ギルドでも借りられるけどやっぱり高額。
しかも通信時間で料金がガンガン上がっていくし
まだ初期の携帯電話料金が可愛く見えるレベル。
だって借りるだけで億単位の費用が掛かって
さらに分単位で千万単位の費用が飛ぶとか
普通は躊躇するよね!?
それ以外にも一応魔導飛空艇による航空便に似たものや
魔導列車による列車便に似たもの。
魔導船による船便といった方法はあれど
どれもゆっくりじっくりまったりしていってね!って感じで
返事が返ってくるまで非常に時間が掛かるのだとか。
走っていけば?と言われそうなのだけど
職員さんに超止められた。
なんでももう冬で、この辺りは豪雪地帯に含まれていて
間もなく身動きが取れなくなるので辞めた方が良いとか……。
「それだと飛竜便も駄目なのでは……。」
「ドラゴンは雲の上を跳べるので
天候に思った程左右されないのです。」
「ほぅ……。」
魔導飛空艇は雲の下を飛ぶ事が多く
これからの時期は欠航も多いし
魔導列車に魔導船も同じような事情で
最悪春にならないと届かないケースも多いのだとか。
かといって飛竜便や魔導通信機の利用料は
私が思っていた以上に高額過ぎて
どちらにしても今のお財布の中身では全く足りなかったのです。
『どうしましょうか。
このまま問い合わせない、と言うのも
何か良くない気がします。』
同意。
そもそも核心ではなく
母なる核心が出てきたのだから
ここで足踏みをするのは私にとって嫌な予感しかしない。
しかもウィンガード王国にとっても
関係のない話では無い。
実行犯、と本人がいったようなものであって
それを情報として伝えないと言うのは
よろしいとは決して思えない。
それにあのビスケッティも決して弱かった訳じゃない。
某MMOで言う、STR―AGIとか
STR―DEXみたいな極端な強さで
VITが極端に低かった、というのが救いだった訳で
1発逆転満塁「ホムーラン」?をかましただけだ。
『今時チャハ〇ンにラメ〇ンにカ〇レライスとか
読者がついてこられませんよ?』
「出版社は一緒でも作者は違うからね?
私の知る限りチャハ〇ンにラメ〇ンにカ〇レライスは『燃える!お〇さん』で
注文すると普通にチャーハン、ラーメン、カレーライスだし
ホムーランは『すごいよ!!マ〇ルさん』で
ホームランボールに描かれていた文字だったと思う。」
『パクり過ぎじゃないですかね?』
「リスペクトかつオマージュと言っていただきたい。
古き良き時代、と言う名のおっさんおばさんホイホイと
言っても過言では無いのだからね。
あとこの始まりは1話の『……チッ……反省してまーす』であって
原因はあんただよね?
ゴリ樽美酒研二とか、名前だけで出オチのまま放置されてるし?」
『多分、何かしらの力が働いていると思われます。』
「ただ単に使いどころが無いだけな気がするよ?
ココナッツでも投げてもらう?135km/h出るか謎だけど……。」
「で、どうされますか?」
『素早い返事であればやはり魔導通信機の方が
割安なのではないでしょうか。』
「お金ぇ……。」
『その為に王貨があるのでは?』
「あ……。」
そういえばそんなものを貰った気がする。
1万枚だっけ……。
1枚1万円、銀貨1枚くらいの価値だと
全く足りないんだけど?
価値自体知らないからなぁ……。
『価格が変動すると言っていましたし
国相手か商業ギルドでしか使い道が無い以上
ここで価格を聞いて、使えば良いのでは?』
そう言われるとそうだね。
私はウィンガード王貨を1枚取り出して
受付のお姉さんに差し出した。
「これで払うとするといくらになるかな?」
「これは………どこの王帝貨かしら。
あまり見ないものですね……。」
「ウィンガード王国。」
「ウィンガード王貨でしたか、実物を
初めて見たものでして。」
ん?実物を初めて見た……?
よく考えれば流通量が多い、とは言っていたけど
大半が国同士の取引で使っているのだろうか、と
この時は特に気にしなかったのです。
「では現在の価格を調べてまいりますので
登録証をお預かりして良いでしょうか。
必ずいずれかのギルドの登録証が
必須となっておりますので。」
そう言われ、登録証と共に渡して
暫くすると、別室へと案内されたのです。
「何か嫌な予感がするんだけど?
部屋が豪華だし……。」
『気のせいです、思った程高額な調度品はありませんので
普通の応接室と思われます。』
それから30分。
「やけに時間が掛かるね……。」
そう思っているとノックが3回され
扉が開いた。
「お待たせしました。」
と言う受付のお姉さんの言葉と共に
ベーコンエッグ帝国の兵士が一気に飛び込んできた。
「世界法、王帝貨の不正使用及び窃盗の疑いで
拘束させてもらう!!」
「はへ?」
何が何やら、と思っていると兵士さん達の詰所へ連れて行かれ
まぁ酷い内容の尋問が続いたのです。
「で、お前さんこれをどこで、誰から盗んだ?」
「盗んだのではなくいただいたのですが?」
「誰から?」
「ウィンガード王ですけど何か?」
まぁここの兵士達は良く笑う。
冗談はよしこちゃんとは言わなかったけど
私が冗談を言っているとしか思わない。
私の言う事を全く信じなかったのです。
私の主張は
これはウィンガード王から直接貰ったもの。
盗んでも居なければ、拾ったものでも無い。
しかし兵士の主張は
ウィンガード王から直接貰った、は間違いなくありえない。
誰かから盗んだのではないかと言うものだった。
「王貨、帝貨ってのはまず商人しか扱う事がまず無いものだ。
もしくは国が払い出すものだ。
その上で利用は登録制だ。
無登録で扱う事は一切出来ないものであり
お前さんの情報は一切登録されていない。
この時点で王帝貨の不正使用の罪に問われるんだ。
そうなれば窃盗以外の可能性はまず無い。」
「登録制……?」
「お前さんのギルド登録証だ。
そこに王貨がウィンガード王国から支払われた場合は
その情報が含まれる事になる。
だかお前さんの登録証にはそのような形跡1つない。」
……………登録制で登録証に情報……?
「あ……。」
「やっと理解したか?
よし、こいつを連れて行け!!」
「え??いや、そうじゃなくて……。」
「五月蠅い!思い当たる節があるのだろう?
残念だが、これから長い牢暮らしどころか
犯罪奴隷として一生過ごす事になるんだ。
後悔したってもう遅いけどな!!」
「違う!そっちじゃない!!」
超、思い当たる節があるんですけど!?
しかし私の話は聞いて貰えず
私はそのまま一旦牢へと入れられたのです……。
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