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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第5章 ベーコンエッグ帝国編
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第78話 G と Dランク昇級試験 第ニ試験

「それでは今から準備を始めてください!

 開始は1時間後からです!」


 私達はあれから細かい説明を聞き

 目の前の森へとそれぞれ散ったのです。


 第二試験は「追いかけっこ」。


 受験者に渡されている魔導具を奪い合う

 と言うのが今回の試験内容。


 ルールとしては

 攻撃は可能だけど、相手を殺してはいけない。

 森は縄で仕切られていて、その外に出てはいけない。

 魔導具は決して肌身離さず持ち、異空間収納等に入れてはいけない。


 そして魔導具の所持人数が受験者の半分以下。

 つまり4人になった時点で第二試験合格となり、第三試験へ進める。


 そういう試験なのですが……。


「これ隠れていいって事になってるよね?

 もしかして永遠に終わらないケースがあるのでは……。」


  『そういう事になりますね。』


「それともう2つ。」


  『もう2つ?』


「奪われた後、奪い返すと言う方法が取れる事。」


  『確かに奪われた時点で失格とは言っていませんね』


「それと受験者に渡されている魔導具を奪い合う、であって

 何も受験者だけでする、とは言ってないね。

 ただの追いかけっこ、と言っているだけで

 ここに冒険者ギルドの職員さんが参加する可能性がある。」


  『あのスニング、と言う男ですか?』


「それは解らない。

 だけど最もきついのは終了時のルールが魔導具の所持人数が

 受験者4人以下、にならないと終わらない訳だ。」


  『で、マスターはどういう作戦で行くのですか?

   と……愚問のようですね。』


「何が?」


  『顔がとんでもなくニヤけていますよ?

   悪い事を考えてますね?』


「ま、色々とね……。」





 そして1時間後、開始の笛が鳴ると同時に

 私はスタート地点、つまり1時間前に解散した場所へと

 戻ってきたのです。


「おや、どうされましたか?」


「いえ、この場合どういう扱いになるかを確認しに?」


 スニングさんは私の言葉が理解出来なかったようだけど

 それと同時に笛がもう1回鳴ったのです。


 これは終了の笛の音です。

 つまり、第二試験そのものが早くも終わったと

 判断されたようです。



  『マスター……せこくないですか?』


 そんな事は無い、勝負と言うのはいつの時代も

 準備が全てであって、開始した時には終わるものなのだよ?

 ニクジュバンニ君。


「さて、早くも終了の音がなったようですけど

 その答えを教えていただけるのでしょうか?」


「ええ、勝負がついた以上は。」


 私は掌にミニゴリラを呼び出した。


「これは私の能力で作り出した分身体『ミニゴリラ』です。

 こうしてお腹が開くと、小さな『ミニミニゴリラ』が出てきます。」


「小さいですね……指の先くらいの大きさですね。」


「そしてさらに『ミニミニゴリラ』のお腹が開くと

 さらに小さい『ミクロゴリラ』が出てきます。」


「……………何も見えませんが?」


「それはそうですよ、大きさで言えば100万分の1メートル。

 ミクロサイズと呼ばれる大きさだからこそ

 ミクロゴリラという名前なのです。

 到底、人の目で認識できる大きさではありませんが

 それでも私の分身体であり、私と強さはほぼ変わりありません。」


「それを使って………魔導具を破壊したのですね?」


「はい、何しろ1時間前の時点でスニングさんは

 『今から準備を始めてください』と言いました。

 つまり1時間前に既に準備として他の8人に

 ミクロゴリラを付着させ、開始を待っていたのですから。

 まぁ壊した場合についての説明がなかったので

 半ば賭けではありましたが、無事終わったようで何よりです。」


「……………面白い方ですね。」


「そうですか?これは勝負な訳ですから。

 ルール違反でも無ければは問題ありませんよね?

 私は準備として『あらかじめミクロゴリラを受験者につけておいた』だけで

 実際に魔導具を破壊したのは開始してからなのですから。」


「ええ、問題ありません。

 しかし困りましたね………。」


「困った?」


「実は第三試験があるのですが、お一人だけが

 第二試験を通過したとなると準備が無駄になってしまいます。」


「そうですかね?無駄な事は何一つないと思いますが。」


「どういう事でしょうか。」


「だって第二試験はすぐ終わったのですから

 私達が一睡もせずに行う筈だった以上に

 冒険者ギルドの職員さん達も、似たようなものですよね?

 そして第三試験も『行わないで済んだ』のであれば

 その分、早く帰って身体が休められる訳ですよね?

 いつ終わるか解らない仕事程、気を揉む事は無い訳でして

 素早く終わった事は喜びはせど、無駄な時間を過ごさずに済んだ事は

 結果として無駄が無かった、と言う事ではないでしょうか。

 ああ、でも準備したのであればそれを撤去したりと

 他の作業があるから……、でもそれはそれで

 いずれやらないといけない事なので、やっぱり無駄は無いのでは?」


「やはり貴方は面白いですね。」



 そうこうしているうちに

 魔導具をミクロゴリラに破壊された受験者達が

 何が起きたのか解らないまま集まってきたのです。



「さて、9人全員が揃ったようですね。」


「どういう事か、説明してくれるんでしょうね?」


「そうだそうだ!開始とほぼ同時に終了とか

 インチキも良い所だ!」


「インチキ?私はキチンと1時間程前に

 今から準備を始めてくださいと言ったのです。

 既にその時から勝負そのものは始まっていたのです。

 そして開始と同時に、勝負が決まっただけの話です。

 方法については個人の能力についてとなりますので

 お教えする事は出来ません。」


「それで私達が納得するとでも思っているのでしょうか?」


「納得?する必要性など一切ありません。

 貴方達が第一試験の馬車と同じく、発煙の魔導具に

 気が付いたかどうか、とそう大差は無いのですから。

 発煙の魔導具は開始の3時間以上前からつけられていました。

 そしてそれに出発前に気が付いたのはたった1人です。

 そして皆さんはそれに途中になってやっと気が付いた。

 そのような罠が今後あったとし同じ事を言って非難するつもりですか?

 それが依頼者を狙う人物であり、貴方達にとっては

 敵である相手に、ですよ?」


 結局、第二試験の合格者は私1人、となった。

 最初は誰もが納得出来なかったのは言うまでも無かった。


 なにしろ壊されてはいても、魔導具そのものは所持している。

 これは条件上、肌身離していないと

 誰もが文句をつけたからだった。



「では聞きますが、魔導具の定義とは何でしょう?

 皆さんも知っていると思いますが、魔導具と言うのは

 魔力で動く道具全般を指す言葉です。

 そして魔力を用いて、内部にある魔法陣によって機能する事で

 魔導具、となりうるのです。

 しかし破損し、壊れた場合それは魔力で動く魔導具なのでしょうか?

 故障した魔導具、ではあるでしょうが

 我々は故障した魔導具を肌身離さず持っていなさいとは

 言っていない、と言えば屁理屈(へりくつ)かもしれませんが

 異空間収納をしてはいけない理由はそこにあるのです。

 その魔導具は皆さんの位置をこちらにある親魔導具に

 伝えるものとなっています。

 その機能を果たせなくなった時点で、それが魔導具であると

 認めるのは些か無理があります。

 皆さんが現状持っているものは『魔導具だったもの』とか

 『ゴミ』とか『ガラクタ』と呼ばれるものに過ぎないのですよ?

 そして開始の合図があるまでは、間違いなく稼働していた。

 つまり魔導具としての役割をキチンと果たしていました。

 元々壊れるような仕組みであるならそもそも合格者など

 1人も出ない、と言う事になります。」


「こんなもの、冒険者の実力とか一切関係ねぇじゃねぇか……。」


「そこまで仰るなら特別に第三試験をやってみますか?

 どうせ時間は余っているのですから

 行ったところでなんら問題はありませんから。」


 スニングさんの一言で、何故か第三試験が始まる事になった……?

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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