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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第5章 ベーコンエッグ帝国編
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第76話 G と Dランク昇級試験 第一試験後編

「はい、お待ち!」


 私はゴリラコンテナから火のついた薪を出し

 フライパン1つでさっと作れるものにしたのです。


 これでも独身貴族、簡単な料理ならお手の物です!


 まず無限バナナでバナナを出し、それを

 町の肉屋で購入したオークのバラベーコンをスライス。


 ベーコンにバナナを巻いて、木を削った楊枝で刺して焼く。

 オークベーコンは塩味があるので

 足りない胡椒をパラっとかけて完成。


「バナナのベーコン巻きです!」


 甘いバナナにベーコンの塩気と

 そこに僅かにかけた胡椒のピリッとした味で締めた1品。



「確かに手際も良かったし、味も旨い。

 だが、何故これにしたんだ?」


「ああ、バナナと言う果物はまずお腹に優しいですし?

 いくらお昼とは言え日が変わった0時から

 今まで何も食べずに来たお二人には

 他のものでは重すぎるでしょうし。

 何よりバナナはすぐに力に変わる上に

 腹持ちも良いので夜までこれで持つでしょう。

 作ってしまえば移動しながら食べられるのも

 その分、旅程を短くする結果に繋がるでしょう。

 逆に胡椒の分、コスト高になるのが問題ですが

 僅かな量しか使っていないので

 お金で時間を買う、と思うのと美味しいものを食べたいと言う

 両立から、ですかね?」


「ところでこのバナナとやらはどこから手に入れた?」


「え?私の能力なのでいくらでも出ますが?」


 馬車に乗ったまま両手にポンポンと咲く様に出すと

 驚いた上に理解は出来なかったようだけど

 納得はしてくれた。


 その分、夜はキチンとしたものを作った。



「すいとん入りの干し野菜のスープ。

 それとメインはレインボーマスの塩焼きです!

 私が川で獲ったもので、美味しいですよ?」


「「すいとん?」」


「小麦粉を水で練って、スープで煮たお団子状のものです。

 パンの生地を小さく平たく丸めて茹でたもの、と思っていただければ。

 干し野菜のスープは塩味に胡麻から取った油を少量加えて

 香ばしさを足しました。また野菜だけだと味の深みが足りないので

 薄く切ったオーク肉と魚の骨を入れた分

 出汁が出ているかと。」


「ふむ、水で練ると言うのが難題だろうが

 小麦粉があれば作れると言うのは良いな。」


「そうだな、水の確保さえ出来れば

 どんなスープに入れても合うだろうし

 何よりあの硬いパンを食べずに済むのは大きい。

 この弾力があって、滑らかなのも心地よい。」


「しっかりと茹でる事が重要ですが、それによって

 小麦粉がスープに溶け出して、とろみがつきます。

 夜は比較的寒くなりますのでこのとろみのある

 スープが身体を暖める事にもなりますので。」


「考えてあるな。」


「だが問題はこっちだな……。

 レインボーマスなんて旅で食うものじゃないぞ?」


「まぁそこは異空間収納持ち、と言う事で……。

 時間の流れも緩やかなもので

 鮮度も悪くない筈ですから。」


 流石に時間が止まる程、と言うのはそうそう使い手が

 居ないらしいので、緩やかとするのが

 ベストととはニクジュバンニの言だ。



「まぁ、この調子なら第一試験は問題なかろう。」


「そうだな、護衛そのものもあの小さいゴリラだったか?

 あれが魔物を退治しているし

 1人、と聞いた時は驚いたが十分だろう。」


「いや、恐らく人数が多い方が揉めて

 大変な事になってると思うぞ?」


「そう思うか?」


「ああ、だがこの馬車に限れば1点評価できないものがある。」


「そうだな……。」


「………連携とかそういう所ですか?」


「それもあるが、護衛となれば1人で挑む事は無い。

 初見の冒険者との連携以上に自己主張の激しい

 冒険者同士がどう妥協し、どう調和するかが

 この第一試験の項目の1つだからな。」


「それを今話すって事は……。」


「お前さんはその部分が評価出来ないから0点だ。

 恨むなら遅刻してきた連中を恨め。」


「さいですか……。」


「これからの身にはなるだろうから言っておこう。

 もし護衛任務などで初見の連中とこうなる場合

 最悪、そいつらを叩き起こしてでも連れてくる。

 そういう必要性があるって事だ。

 冒険者同士の都合なんてもんは

 依頼者には一切関係ない話だからな。」


「なるほど……。」


 その日の夜番はミニゴリラとミニミニゴリラに任せて就寝。

 朝になるとまぁ大量の魔物が山になっていると共に

 なんか知らない人が居た。



「そいつは冒険者ギルドの試験官の1人だ、放してやってくれ……。

 つかなんで夜襲役が捕まってんだよ!!」


「仕方ねぇだろうが……。

 こんなに護衛してるのが居ると思わなかったし

 そもそも俺が捕まったのはあそこだ!」


 指さす方向は野営地から遠く離れた森だった。


「50……60メートルはあるな。」


「あそこでこの小さいのが一杯来て捕まったんだよ……。」


「うちのミニゴリラとミニミニゴリラは優秀なので。」


  『まるで爆睡していた筈のマスターが

   優秀、みたいな言い方ですね。』


 五月蠅い、あんたは黙ってなさい。

 この子達は一応、私の分身体なんでしょ?

 ならいいじゃないさ……。


 そして朝から馬車はまた進み

 昼前には目的地とされる場所へと到着したのです。



「お疲れさん、ここまでが第一試験となる。

 馬車の仕掛けを見抜いて取り外し

 道中の荷馬車の護衛、また野営場での調理と上々だ。

 運悪く、1人での護衛となった為

 調和や連携と言った部分は評価出来なかったが

 それを抜いても問題無いだろう。

 このまま第二試験へと進んでもらおう。」


 本来であれば1人での護衛などありえない上に

 まぁ不合格になるだろうと思っていたらしいけど

 護衛自体がしっかり出来ている上に

 主だったマイナス評価する部分も無かったとの事。


 2次試験はこの場に全ての馬車が到着し

 揃ってからの発表になるそうで

 それまでは好きにしていて良いとの事だったので

 暇に任せて「あれ」をしてみる事にしたのです。





「ごーりーらーさーんーがー………ころんだっ!」


 私 VS ミニゴリラ+ミニミニゴリラによる

 だるまさんが転んだ、ではなくゴリラさんが転んだ。


「くっ……、誰も微動だにしない……。」


  『そもそもミニゴリラもミニミニゴリラも

   マスターの意図が汲めますから

   どのタイミングで止めに来るか把握してますからね?

   恐らく一生捕まるミニゴリラもミニミニゴリラも居ませんよ?』


「ナナナンダッテー!?」





 それを見ていた冒険者ギルド職員。


「何してんだ?ありゃ……。」


「さぁな……。」


「っていうか夜襲の職員に聞いたか?」


「何をだ?」


「あの小さいゴリラとかいうの、森の中で

 魔物狩りしてたって話。」


「朝、あの山になっていた魔物の事か?」


「ああ、真っ先に倒したのがビッグバイパーらしいぞ?」


「……………ビッグバイパーってBランク魔物じゃないか?」


「そうだな。しかもあの小さの1匹で倒してたそうだぞ?」


「…………………正気か?」


「俺は見た訳じゃないからな、だが朝一番下に

 あったのはバイパー系だろ?鱗も黒だったし。」


「そう言われるとそうだな……。」


「ああして遊んでいると冒険者ってより

 子供だよな……?」


「そうだな……。」


「俺、夢見てるのかな……。」


「だとしたら俺もだな……。」


 彼ら職員の目の前にいるリラは本来であれば

 Dランク昇級試験後にBランク昇級試験を

 受ける予定になっていた事等は一切知らされていない。


 ただただ、ありえない精神年齢46、身体年齢15の少女に

 とりあえず現実逃避する事にした。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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