表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第5章 ベーコンエッグ帝国編
71/178

第71話 G と 依頼票争奪戦。

「おおおおおおおおおおお!」


 私は依頼票を手にすると同時に大きく回り込んだ。


 次々と後ろから掲示板へと押し寄せる

 多くの手ぶらな冒険者を相手している暇があるなら

 いち早く受付にこの依頼票を乗せる。


 それがこの依頼を受ける為の勝負なのですから!!


 しかしここに居るのは少なくとも

 Cランクまでの冒険者。


 攻撃は露骨になると反則だけど

 妨害は反則ではない。


 ならば何をもって妨害となるのか。

 それがPT(パーティー)だ。


 この依頼票の取り合い、実は1つの冒険者PTで

 1人しか参加が出来ないのです。


 複数枚取るとしてもたった1人。

 つまりそれ以外は妨害役、と言う事になるらしいのです。


 私が大きく回りこんで迂回しても

 そこには依頼票の奪い合いに参加していない

 冒険者達がそれこそ邪魔になる様に立っていたり

 併設する酒場の椅子に座り、受付を待つ為の椅子に座り

 足を投げ出したりして邪魔をするのです。


 但し彼らは決して参加者ではない以上は

 本来、妨害する事自体が出来ないのです。


 ですから、露骨でない妨害をするのです。

 彼らはただ立っているだけ、座っているだけ

 足を投げ出しているだけ。


 邪魔をしているのではない、と言いたげにしているのです。



「だが私には関係ない!」


 冒険者ギルド1階の天井付近の梁を通れば

 そのようなものに惑わされる事も無い訳です。


 腕を使って壁を登り、そして梁を伝う。

 これならいくら立っていようが座っていようが

 足を投げ出していようが関係ない!


  『しかしマスター、あれはどうされるおつもりで?』


 あれとは?


「のおおおおおお!!」


 まさかの立っていた冒険者が受付の女性職員に話しかけ

 全ての受付を塞ぐ方に出るとは!!


「くっ……受付が塞がっているとか妨害では無いのだろうか……。」


  『よく見て下さい、マスター。

   あれは妨害ではありません!』


 なんと冒険者達は女性職員に話しかけて

 まさかのプロポーズですと!?


 そして玉砕してその場に崩れ落ち、開いた場所に

 他の男性冒険者が入り込むですと!?



  『ただの玉砕行為ですね。

   これを妨害とはとらないようです。』


「そうだね、あと1か所なんかプロポーズが成功して

 困ってる男の冒険者が見受けられるけど

 面白そうなので放っておこうか……。」


  『しかも成功した事で女性冒険者が割り込んできて

   修羅場になり始めてますね。

   彼女か自称彼女の二択のどちらなのかが気になります!』


「このまま両方にフラれるパターン展開、キボンヌ。」


  『しかし連携が上手いですね。

   フラれて開いた所に綺麗に入っていく冒険者が居ますね。』


「しかも依頼票を出した所、何故かプロポーズと勘違いした挙句に

 実は依頼の受付だった事で怒っているブースがいくつかあるね……。」


  『それはまだ良い方かと。

   あからさまにホッとているブースの方が多いですよ?』


「何この茶番劇……。

 これ毎日やってるんだよね?」


  『ではないでしょうかね。

   毎日プロポーズされるとか、ある意味凄いですよね。』


「それが本気で無くともテンション爆上がりだろうね。」


  『一部ダダ下がりでしょうけど……。』


「むおっ!?」


 安い茶番劇を見ていたら、いつの間にか足を掴まれていた。



「へへっ……その依頼表、こちらに寄こしてもらおうか。」


「ぬっ、人の足に捕まるとか!

 この痴漢、変態、事案野郎!!下から覗くな!!」


 まぁスカートでは無いので下から見られたところで

 なんら問題は無いけど、生足を触られるのはキモイ。


 そして男は下に落下していった。



「ちょっと待て!今のはあからさまな暴行だろうが!!」


 私の足を掴んだ男が判定している職員に詰め寄った。



「足に触れるとか服に捕まるとか

 どうみても脱がす目的の可能性が鑑みられるので

 痴漢行為で変態行為で事案なのでセーフです!」



 ああ、やっぱりセーフ扱いなんだ。



「どこにあんなペッタンペッタンなガキに欲情するか!!」


「誰がペッタンだ!私はこれから成長するんだよ!!」


  『不老と健康があるから成長しませんからね?』


 そういう問題ではないのだよ、ニクジュバンニ。


「ちょっと裏で話し合おうか?」


 私は下に降り、ペッタン言った冒険者の首根っこを掴み

 引き摺って裏まで連れて行き

 3分ほどで戻ってきた。


 戻ってくると、私の前が開き

 受付も空いたので、依頼票を提出する事が出来たのです。



「なぁ、あれどうみても暴力だよな?」


「そもそも依頼票を持っていない方が受けてるのでセーフです。

 あと男女係わらず身体的な特徴に対しての侮蔑をしていて

 自業自得なのでやっぱりセーフです。」



 ナイス、審判(職員)さん!

 男尊女卑でも女尊男卑でもない扱いな辺り

 そこに痺れるし憧れるしぃ!!

 あとやってきたのは「肉体言語」、と書いて

 ルビは「はなしあい」と読みます。



 そして笛の音が聞こえた。


「はい、貴方も外まで依頼票を持っていくのは

 露骨でやり過ぎな逃走行為です、失格!」


「そこは公平じゃなくて良いのにぃぃぃぃぃぃ!!」


 提出した依頼票は流れる様に受付の方々が

 次から次へとバケツリレーの如く、端っこの職員さんまで

 渡され、そこから大き目の針のような飛び道具で

 掲示板へと再度貼られ、それが他の冒険者に取られてしまった。


「なっ……なんて流れる様な対応速度……。」


 そして掲示板からは美味しい依頼は無くなり

 常時貼られているような依頼から

 まぁハイリスクローリターンから

 典型的なローリスクローリターンな依頼までが

 残る形になり、既に冒険者も依頼を受け付け終わり

 私には選択肢が殆ど残されていなかったのです。



「うう……これといった依頼が殆ど無い……。

 何このドブ掃除とか浄水槽までの地下水路掃除とか……。

 殆どGランク(未成年)案件か

 薬草採取にゴブリン討伐とか常日頃からあるような

 ものばかりじゃない……。」


 ちなみに私の足を掴んだ挙句

 私がボコボコにした男もPT(パーティー)を組んでいたようで

 しっかりと依頼にありついていた……。


「あとは……。」


 あとあるのはそれこそ何時の革紙か、と思うような

 カラッカラに乾いたような、恐らく塩漬けと呼ばれる依頼。


 無理難題、そもそも偶然でも達成されれば御の字のような

 古くから貼りっぱなしになっている依頼を

 「塩漬け」と呼ぶのだとか。



「塩漬け……。」


 見て回るもまぁ、明らかに内容がおかしい。


 求、毛生え薬の素材採取。

 但し絶滅危惧種。


 絶滅が危惧されていると言うのにどこを探せと言うのか。

 生息地域の情報すら書かれていない。


 求、雷虎の毛皮の採取。

 但し傷、汚れが僅かでもあった場合大幅減額、もしくは不可。


 なんでも敷物にするらしいのだけど

 汚れはまぁ解るけど、それこそ依頼人の匙加減次第すぎる。

 あと傷をつけるな、とかどう倒せと言うのだろうか。


 求、エリクシル。

 いわゆるエリクサー、万能薬とも言われ

 あらゆる怪我、欠損、病の回復が出来る夢のような薬。

 但しニクジュバンニ曰く、ただの都市伝説。


 そもそもエリクシルの素材の1つが「神の涙」。

 つまり神様の涙、しかも新鮮なものだそうで

 事実上、この世界で作る事は不可能。

 まぁ、夢を追うのは嫌いでは無いけど、無い物強請りは宜しくない。


「む、これは何かな……。」


 とんでもなく古いと思われる革紙に書かれた

 インクの文字が掠れ始めているような

 とんでもなく古そうな依頼。


 それを見て、受ける事としたのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ