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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第1章 導入編
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第7話 G vs G 後編

  『もみ!もみ!もみ!もみ!』


「もみ、もみ、もみ、…あっ!?」


  『どうしましたか?脳筋(マスター)


「なんで脳筋のルビがマスターになってるのさ!!

 あとそういうルビの使い方はしないでいただきたい!!」


  『そう思ったら力の加減位覚えてください。』


 あの後、私は力の加減を身に付ける為に

 森にある木を一旦折り倒して、その木を揉むと言う

 謎の苦行をさせられていたのです。



「っていうかさっきから水分が出てくるばかりなんだけど……。」


  『水分を出しつつ、木の繊維を解す事で

   力の加減を覚えていただくのだと

   何回も説明しましたよね?』


 私の握っている木は水分がボタボタと出てきて

 そのまま木の繊維が解れる様に握る、までがこの加減の理想なのだけど

 どちらかと言うとそのまま繊維すら握りつぶしていて

 繊維そのものが千切れていたのです。


 これを繊維は千切れないようにしつつも

 水分だけを絞り出す、と言う謎の訓練をさせられているのです。



  『流石、マスター(のうきん)

   訓練の意味を教えたのにもう忘れたのですね?』


「ルビと逆にすれば良いってもんじゃ無いからね!?

 耳にタコが出来る位聞いたよ。これも金策なんでしょ?」


  『そうです。』


 なんでも木材の屑や繊維を乾燥させたものに

 アブラマシマスの魚油を少量混ぜておけば着火剤になるのだとか。


 大工道具もこの世界では(カンナ)があるそうで

 どちらかと言えばローマ時代辺りの両手持ちの押し(カンナ)

 日本式に近い引き(カンナ)のどちらも存在していて

 そこから出る屑は蚯蚓のような屑で、それを細かくして

 脂を混ぜ、固めたものを使っているのだとか。


  『魔法の世界はどうしても魔法そのものに依存しがちなのです。

   その為、魔法の無い世界に比べて技術等の発展が遅く

   地球と誕生はそう違いは無いにも係わらず

   遅れてると感じざるを得ないでしょう。』


「へぇ………あっ!?」


  『またですか、脳筋(マスター)


 徐々に水分を絞っていた木がバツンと弾けて

 地面にバラバラと散っていったのです。



「難しい……。」


 こんなにも加減が難しい理由。

 それはゴリラアーマーの仕様そのもので

 ゴリラは元々繊細な握り方から、人を遥かに超える力を籠めた強い握り方まで

 その力の範囲が非常に広く、私個人そのものと比べれば

 数十倍は加減の幅が存在していて、それまでの自分の感覚との差異に

 悩まされている、という状態なのです。


 今はそれでもニクジュバンニがある程度抑えていてくれて

 加減の幅としては30倍程度で済んでいるものの

 本来の加減はその3倍繊細に動かせないと駄目なのだとか。



  『ゴリラは非常に繊細な力加減が出来ます。

   それでいて、人を超える力を加える事も出来ます。

   握手と同時に相手の手を握りつぶすとか嫌ですよね?』


「そう言われると……。」


  『ならば努力するしかありません。

   こればかりは感覚の問題ですからご都合主義もなければ

   私の支援で行える範囲を超えた問題です。』


 力加減だけであればゴリラアーマーに制約を加えれば

 その分、力の上限が下がり感覚の幅が狭くなり扱いやすくはなるけど

 力加減だけを抑える事は出来ず、それはゴリラアーマーの持つ

 耐久力等、他の性能にも影響を与えるのだとか。


 それこそここに落下してきた際に骨折の1つもしなかったのは

 ゴリラアーマーのお陰だけど、そういったもものまで制約が同時に掛かる。


 それでもゴリラアーマーそのものは壊れないけど

 私自身が骨折したりはするようになる。


 身の安全とのバランスを考えながら、ニクジュバンニは

 その加減を探ってはいるものの、可能ならば

 私が十全にこのゴリラアーマーの加減が出来るのが最善だとか。



 但しこの修行、どんどんと難易度が上がると言うよりは

 エスカレートしていくのです……。


  『さぁ、潰さないように握りつつも

   適度な痛みを与えつつ持つのです!!』


「ゲギャアアアアアアアアアアアア!!」


「私は何も悪くない……、私は何も悪くない……。」


 木が終わったと思えば今度は脆いの代表格らしい

 ゴブリンの頭を持たされ、潰さないように締め付け

 痛みを与える、と言う謎の修行へと移行したのです。



  『余計な事を考えていると潰れて臭い体液的な汁が飛び散りますよ?』


「それだけは嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ゲギャアアアアアアアアアアアア!!」


  『大丈夫です!1匹2匹の頭が潰れた所でこの世界では

   人族の30倍超のゴブリンが居るのですから。

   ゴキブリとゴブリン、語感が似ていると思いませんか?』


「そこ繋げる意味あるの!?」


  『ありません。

   ゴブリンは脆い、と言っても人間で言えば子供程度の耐久度です。

   もし赤ん坊を抱っこする機会があったとして

   抱えた途端「ブチン」と潰してしまうのと、どちらが良いですか?』


「例えがどんどん酷くなってる気がするんだけど!?」


 それと同時にブチュン………。

 ついつい力が入り、私の目の前のゴブリンは

 頭部が見当たらず、首なしの状態で地面に倒れていた。



「臭い……。」

 緑の血だか体液だかが飛び散り、ゴリラアーマーにも付着し

 その匂いはなんとも形容しがたい臭さだった。


  『さぁ!次の(ゴブリン)を捕まえてどんどん練習しましょう!!』


「最早どこを突っ込んで、何を言うべきか……。」


 こうして私は力加減を身に付けるべく

 (ゴブリン)との修行、と言う名の一方的な殺戮劇を

 繰り広げていったのです。


 私は私で臭い思いをするのが嫌だと必死で力加減を

 習得していこうとするも、臭さにまいり始め

 結果としてゴリラ魔法(マギウス)

 ゴリラ消臭(デオドライズ)とゴリラ清潔(クリーン)をひらめくに至ったのです。



(ゴブリン)臭さは無くなったけど

 何か違う匂いがするのは気のせいかな……?」


  『ゴリラ消臭(デオドライズ)レベル1はゴリラの体臭で匂いを上書きし

   それまでの匂いを消すゴリラ生活魔法です。

   ゴリラの匂いは主に脇にあるアポクリン腺から出る匂いです。』


「脇……?」


  『人間で言えば腋臭(ワキガ)と言う事になります。

   ゴリラも汗をかけば、酸っぱい匂いがするものですよ?』


「……………変わった匂いだと思ったら腋臭(ワキガ)とは……。

 っていうかこれもこれで臭いよね!?

 じゃあこのゴリラ清潔(クリーン)とやらは?

 綺麗になった気はするんだけど……。」


  『ゴリラ清潔(クリーン)レベル1はゴリラ並みの綺麗さを得る

   ゴリラ生活魔法です。

   健康なほど良い毛並みとなり、不健康だと毛並みが悪くなります。』


「綺麗は綺麗って事で良いのかな……?」


  『ちなみにゴリラは濡れるのが嫌いなので

   温泉とかあっても入りませんからね?』


「……………概念が違い過ぎる……。」


 とりあえずゴブリンの匂いはゴリラの数倍酷かったので

 ゴリラ生活魔法の2つで我慢する事にしたのです……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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