表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第5章 ベーコンエッグ帝国編
68/178

第68話 G と 取調室、四畳一間かつ丼抜き。

「これに署名しろ。」


「だが断る。」


 このベーコンエッグ帝国とやらは馬鹿揃いなのだろうか。


 そもそも握手を求めてきた如く、手を前に差し出してきたのは

 この国境関を守る兵士の方だ。


 彼らは私に対し「国軍の業務執行妨害罪(言いがかり)」と言う罪状で

 犯罪者として送る為、私に署名を求めてきた。


 内容は「私は国軍の()業務執行を()妨害した事を()認めます()

 と言う、今時テレビの刑事ものですらやらないような

 本人自供による証拠を作り出そうとしているようだった。



「何が断るだ!!貴様、今の立場が解っているのか!?」


 机を強く叩き、脅そうとでも言うのだろうか。


「私の立場?握手を求められたからしただけですけど?」


「わざわざ握手なんかするか!!これだよ、これ!!」


 言葉にしないで親指と人差し指で丸い輪っかを作っていた。

 どこの世界もお金のハンドサインはこれなのだろうか?


「これ、と言われましても?

 私には何の事だかさっぱりです。」


「チッ……これだからガキは……。

 金だよ、金!」


「冒険者であり商人ですから、既に成人です。

 それに冒険者と商人は通行税が免除ですよね?」


「んなぁ事ぁ解ってんだよ!

 ここではここのルールってのがあるんだよ!」


「ならそれを詳しく教えていただけると。」


「金を出せっつってんだよ!!」


「通行税が免除されるのに?

 お金を出す必要性がどこに?」


「当たり前だろうが!この国境関を通るのに

 俺達に金を支払うのが礼儀ってもんだ!」


「礼儀ね……。

 つまり強請集(ゆすりたか)り。

 脅して金品を出せと言うのがこの国のやり方と。」


「そんな事は一言も言ってねぇだろうが!!」


 さらに机を強く叩いてきた。


「金を出せ、と言い机を強く叩く行為を

 強請集(ゆすりたか)りと言わずして、何と言うのですかね?」


「このガキ……、黙って聞いてりゃ図に乗りやがって!!」


 ここぞとばかりに私に拳を向けてきた。

 そして私を殴りはしたけど、私はまぁ痛くも痒くもなく

 逆に兵士の方が拳を擦って痛がっている始末……。


「で、今の暴行はなんでしょうかね?」


「何が暴行だ!国軍に対する敵対の罪で

 下級裁判所に送致してやる!!」


 は?勝手に殴ってきて勝手に拳を痛めて敵対??

 頭がお花畑も良い所。

 勝手にやって勝手に罪状増やしてって

 これがまかり通るのであれば

 本当、やりたい放題だよね……。


「で、ずっとここに監禁されてお腹減ってるんだけど?

 ご飯まだ?」


「そんなもんある訳ねぇだろ!!」


「あっそ……。」


 仕方が無いのでバナナを出して食べ、ヤシの実を出して

 手でこじ開け、ココナッツウォーターで喉を潤すと

 これまで言いたい放題だった男が黙ったのです。


「で、なんだって?」


 さらに手で飲み終わったヤシの実を割ると

 青い顔をしながら部屋を出ていった。


「悪いことするなら、もう少し考えてするものじゃないのかね……。」


  『そこまで考えるようなら

   こんな効率の悪い事しないと思いますよ?』


「だよねぇ……。」


 通っていったおじさんも

 手に握って渡していたのは銀貨だった。


 たかだか銀貨1枚の為に?

 ここまで??

 効率が悪いけど、見せしめに

 何もしない訳にはいかない、って所なのかな??


「ま、こんなのはこの世界に限らずだね。

 地球でも国によっては警察が賄賂を求めるようなところもあったりと

 国がどういう姿勢であれ、末端までそれが行き届くとか難しいのかね?」


  『それは組織としての姿勢や

   一個人の問題であり、慣例と言う悪しき習慣によるものかと。』


「一度カビると、中々落ちない様なものかね。」


 部屋には誰も居なくなったけど

 出ていくときに鍵をかける音もしたので

 ここから出る訳にもいかず

 椅子をカタンカタンと鳴らしながら暇を潰していた。



  『さっさと出れば良いのでは?』


「多分、扉を壊すと器物損壊、とか始まるよ?

 っていうか外が騒がしくない?」


  『何が怒号のようなものが聞こえますね。』


「また誰かが揉めたのかね。

 それとも私の態度に怒っているのでも居るのかな?」


  『ゴリラの聴力は同じ猿人類である以上然程(さほど)変わりませんので。』


「ま、待つしか無いか……。」


 10分と掛からず外は静かになり

 ドアが3回ノックされた。



「どうぞー、って私が言う事じゃない気がするんだけど……。」


 そして入ってきたのは何故かソニックさんだった。



「おや、ご無事で何よりです。」


「……………………なんでここに居るのさ……。」


「それですよ。」


 と、手で指し示されたのは私のギルドの登録証だった。


「知りませんでしたか?

 後見されるとその情報が貢献者には逐一入ってくるのですよ?」


「何その個人情報駄々洩れている状況……。」


「嗚呼、勘違いをなされないように。

 情報、と言うのは門などを潜った情報、つまり大雑把な

 位置情報だけが解ったり

 冒険者ギルドでどんな依頼を受けたかなどの情報で

 後見する側が貢献した人が悪い事をしていないかなど

 後見する側として必要な事だけが解るのです。」


「で?」


「今回はウィンガード王国とベーコンエッグ帝国の

 国境関を超える段階でウィンガード王国側の

 国境関を超えた情報が入ってきました。」


「うんうん。」


「いくら中立地帯に露店があるとしても

 ベーコンエッグ帝国側の国境関を超えた記録が

 何時まで経っても入ってこなかったのです。」


「まぁ………ここにずっと閉じ込められていましたからね」


「大体の推測はついています。

 どうせベーコンエッグ帝国の国境関の衛兵に

 通行税とは別に袖の下でも求められて

 断ったのでしょう。」


「……………袖の下って言葉あるんだ……。」


「東方のオリエンタル大陸と言う所には

 キモノと呼ばれる服がありましてね。

 私の妻もオリエンタル大陸から何着か手に入れて

 気に入っているのです。

 その際、商人からそういう言葉があると聞いたのですが

 それを知っているとはオリエンタル大陸出身ですかね?」


「……………強ち間違ってないかな……。」


 オリエンタルって東方だから

 日本も東方で多分間違ってない??

 まぁ世界が違うけどさ……。



「そうですか。話は戻りますが

 ウィンガード王国から出るまでは暗部が

 リラさんの安全を見張っていましたので

 素早く連絡を受け、こうして飛んできた次第です。」


「はぁ……。」


 ソニックさんに外に連れられると

 先程まで取り調べをしていた人や

 私に握手を求めてきた人等が両膝をついて座らされ

 それを取り囲んでいたのは空竜近衛騎士団の

 真っ白い鎧を着た人達、見た事の無い鎧を着た人達だった。



「さて、我がウィンガード王国が後見する

 重要人物がこうして監禁状態だった訳ですが。

 ベーコンエッグ帝国は我が国と事を構えると言う事で

 宜しいのですかな?」


「ソニック殿、それは誤解だ。

 この者達が勝手に行っただけでベーコンエッグ帝国としては

 そのようなつもりは毛頭ない。」


「そうですか、リラさん。

 ここで何がありましたか?」


「え?………手を出されたので握手だと思って

 握手し返したら国軍の業務執行妨害罪とか言われて

 部屋に連れて行かれて『私は国軍の業務執行を妨害した事を認めます』

 と、書かれた紙に署名しろと迫られたり?

 金を出せと脅迫、強要されたり?

 長い時間部屋に入れられてご飯が出てこなかったり?

 殴られて、拳を勝手に痛めて国軍に対する敵対の罪とか言われたり

 した程度ですかね。」


「おや、帝国軍の名を出されているのであれば

 ウィンガード王国としても黙っている訳にはいきませんね。

 貢献と言えど、リラさんの後見は第一種後見なのです。

 この意味はお解りですよね?」


 第一種……?

 何やら宜しくないものを私は貰ったのでは……。


 その後、ソニックさん達があとは

 ベーコンエッグ帝国と「お話合い」とやらがあると言う事で

 私はベーコンエッグ帝国の国境関を通り

 入国を果たしたのだけど………。



「なんだろう、何か利用された気が凄くするんだけど

 気のせいかな……?」


  『暗部がついていたとして

   王都からここまでワイバーンで向かったにしては

   到着があまりに速すぎます。』


「だよね……、絶対ついてきていた気がするんだけど……。

 突っ込まないで、知らない方が幸せな気がする……。」


  『それには同意します。』


 その後、ソニックさんがどうされたのか。

 何を話されたのかは知らないし、気にしない事にしたのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ