表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第5章 ベーコンエッグ帝国編
67/178

第67話 G、ベーコンエッグ帝国へ。

「この先が国境関かなぁ……。」


  「ウィンガード王国が隣接する

   ベーコンエッグ帝国と言う国のようです。」


「何その朝食に出てきそうな名前……。

 っていうか王国と帝国って何が違うの?」


  『基本的には国王が統治している1つの国家を王国と呼び

   皇帝が複数の国家を統治している主体国を帝国と呼びます。

   複数の国、というのは地球で言う植民地です。

   ローマ帝国、スペイン帝国、ロシア帝国、そして大日本帝国。

   いずれも別の王国や国家を支配して植民地を持っていました。』


「おー、解りやすい!

 って事はこのベーコンエッグ帝国もどこかの国を?」


  『それもありますが数少ない、通常奴隷制度を有する国です。』


「その辺り詳しく。」


 通常奴隷制度。

 簡単に言えば奴隷と言う身分が存在していて

 人権などが無く、人としてすら扱わない。

 むしろ物扱いされるものを通常奴隷制度と言うのだとか。


 またウィンガード王国には特別奴隷制度、と言うものがあるとか。


 こちらは借金などの返済が出来なくなった、犯罪によって

 奴隷の身分に落ちたりした人が奴隷として扱われるものの

 人権がしっかりとあるのだとか。


 1日の労働時間から、食事の提供、健康管理等

 決まった規定が存在していて契約した年月分丁稚奉公する事で

 借金の返済や償いをすると言うのが特別奴隷制度だそうです。


 こちらはむしろ奴隷となった方が良い生活が送れる事があったり

 酷い扱いなどを受けた場合は主人に罰則が科せられたり

 場合によっては主人が犯罪者として捕縛もされるらしい。



「なんか一気に立ち寄りたくなくなった……。」


  『そうはいってもここを通らないと海に出られませんよ?

   ソニックさんにいただいた簡易地図の情報では

   他大陸への窓口となる港は

   このベーコンエッグ帝国が最大規模のようですから。』


「むぅ……。」


 まぁ仕方ないか、と思いウィンガード側の国境関を通過。

 そして門を潜ってベーコンエッグ帝国との

 中立地、となっている大河に掛かる橋を渡っていると

 何故か橋の上の左右に多くの露店があったのです。



「なんでこんな所に露店が……。」


  『これは商人ではない者の露店です。

   中立地は国と国の関の間に設けられ

   どちらの国でも無いと言う事になりますので。』


「………つまり税金が掛からない?

 無主地だった頃のハリーバードの港町みたいな?」


  『違います、ハリーバードはキチンと商業ギルドがあり

   商人としての登録をされた方だけが商売をしています。

   ここは商人ですら無い人が商売をしているのでしょう。』


「その心は?」


  『無税であると同時に手数料も取られなければ

   帳簿を付ける必要性すら無いのです。』


「………何か問題が?」


  『禁制品すら扱えると言う事です。』


「またヤバ谷園なものか……。」


  『何も薬だけとは限らないのです。

   そうですね……目だけで見て下さい。

   右にある露店に、かつおのたたきのような石がありますね?』


「かつおのたたき……?

 ああ、なんか黒い皮部分と身が黄色い感じに見える?」


  『はい、あれは禁制品です。イットリストーンと呼ばれ

   地球ではイットリア石と呼ばれています。

   あれはイットリウムとトリウムからなるソロケイ酸塩鉱物です。

   自然発火もしますし、発がん性もあります。

   トリウム232は放射性物質で半減期は140.5億年。

   核燃料としても扱われている危険物質の1つで

   この世界では自然発火などの危険性から禁制品とされています。』


「恐ろしい……。」


  『しかしここはどの国でも無い為、世界法も適用されない

   無法地帯、と考えておかなければなりません。

   だからこそ、そのライトフォームは些か軽すぎるかと……。』


「またそれ?ベーシックで歩く方が問題になるよ。

 通り過ぎるまではライトフォームって取り決めたばかりでしょうに……。」


  『まぁ制限解除が為された事で腕時計型でもゴリラアーマーは

   放射線物質すら通しませんので大丈夫でしょうけど。』


「最早、宇宙空間でも生きられそうだね。

 酸素や窒素も供給できるし……。

 しかしなんであんなものを売ってるんだろうね?」


  『何も無いところから火の手が、という事です。

   そういうのを望む人が居ると言う事でしょう。』


「聞かなきゃよかった……。」


  『絶対に購入してはいけません。

   殆どが罠のようなものです。』


「罠……?」


  『ここは中立地でありどの国にも所属していないからこそ

   世界法と言う法律すら適用の範囲外となる為

   取り締まりは一切されません。』


「ああ……。

 どっちかの国に持ち込むと……。」


  『はい、その途端捕まります。

   またこういう中立地がある国境関は入るのは簡単でも

   出るのが大変なのです……。』


「荷物検査とかかな?」


  『はい、いわゆる異空間収納内すら

   国境関についている魔導具の類で調べられます。』


「ほぅ……。」


  『ゴリラ収納は構造的には似ていますが

   別のものなので調べる事は不可能ですが。』


 何、その密輸し放題な仕様……。


 丁度橋を渡り切った辺りで

 今度はベーコンエッグ帝国の国境関を潜る為の

 待機列が出来ていたので、大人しく待つ事に。



「思った程人数が居ない割に、時間掛かるなぁ……。」


「嬢ちゃん、そいつは口にしちゃいけねぇよ。」


「え?」


 一緒に並んでいるおじさんが小さな声で話しかけてきた。


「同じ商人のよしみで言うが、ここの国境関はあんな感じに

 難癖をつけられる事が多いんだよ。」


 商人のおじさんの目線の方をチラっと見ると

 荷馬車の男性が止められているだけでなく

 積み荷が次々と兵士のような人の手によって降ろされていた



「あれ何ですかね。」


「賄賂をケチった結果だよ。」


「賄賂……。」


 通行時に賄賂を渡せば、あのようにはならなかったと

 おじさんは言う。


 ようは税金として取り上げられているのではなく

 持ち込んではならないもの、禁制品扱いにして

 没収しているらしい。

 それを免れたければ、賄賂を渡して通る。


 こういうやり口はベーコンエッグ帝国として、ではなく

 この国境関を担当している国軍や

 そこに貴族等が絡んで、私腹を肥やしているものだそうで

 文句を言おうものなら、と言った感じだとか。


「私腹ねぇ……。」


 国軍ってそんな給料少ないのかね……。

 それか私腹を肥やさないといられない症候群か

 病にでも罹っているのか。


 そしておじさんの番となり、どうやら握手をして

 手にお金を握り込み、渡して通っていった。


 そして私の番がやってきた。


「ここの通行税は銀貨3枚だ!」


「冒険者でーす。」


 冒険者と商人には基本通行税は課せられないと言うのが

 殆どの国だし、ここも変わらない筈。


 登録証を見せながら通ろうとすると

 兵士らしき人が立ち塞がり

 手を差し出してきたので遠慮なく握り返してやった。



「っつぁっ!?」

「ん?どうしました?

 手を出してくるからてっきり握手でも求めているのかと。」


 これでも相当加減はしていると言うのに

 痛いのかな?


  『わざとやってますよね?』


 勿論。


「貴様!その手を放せ!!」


 手を出してきた男の片膝か崩れ

 膝をついている所に、周囲からまぁ槍を持った

 兵士がわんさかやってきた。


 まぁ素直に放してあげるけどさ。

 そして私はベーコンエッグ国法により

 国軍の業務執行妨害と言う罪で逮捕されたのです。


 解せないわぁ……。


  『わざとやっておいて

   何が解せないのやら……。』

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ