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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第4章 ホーレルヒ王国編
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第56話 G、不在のホーレルヒ王国戦

 ウィンガード王国の多くの軍人貴族はホーレルヒ王国を

「所詮、小国中の小国」などと侮っていた事で

 予定より素早く王都までを占領、一気に決着をつけようと

 半ば上層部の言を無視する形で侵攻していた。


 ウィンガード王国はリラの情報にあった

 8つの地下通路をまず封鎖した。

 それと同時に、ホーレルヒ王国の国民に

 開戦直後にサンディング王国への避難を促し

 それによってホーレルヒ王国は、全ての脱出路と

 多くの国民を失っていた。


 しかし間もなく王都から湧き出る様に出てきた魔物。

 小国と侮り、戦果を急いだ軍人貴族から、まずは犠牲となった。


 しかし上層部は長期戦を覚悟していて

 兵站なども多く運び、この王都戦が非常に長引く前提で

 少しづつ魔物を削ぐ戦いを展開した事で

 既に3か月が経過していたのだった。


 ウィンガード王国上層部はあくまで予定通りと見ていて

 ホーレルヒ王国は徐々に戦力を削がれていた。


 それは開戦から3か月、リラが倒れてから6か月が

 経過していた程であった。



 その前線に近い軍会議が開かれている巨大な天幕では

 上層部の方針と軍の現場とでの認識の違いが未だ発生していた。



「たかが小国のホーレルヒ王国に3ヶ月も掛け

 このような戦いを展開するなど、大国である

 我らウィンガード王国らしくありませぬ!!」


「3ヶ月もの戦争に、前線の騎士達は

 疲弊しております!

 速やかなる占領を提案するものであります!!」


「このゴブリンクイーンだかなんだか知らないが

 そもそも暗部でさえ、これを視認すらしていないのであろう!?

 このようなものに恐れる必要がどこにあるというのだ!!」


 リラの情報でしかまだ掴めていないゴブリンクイーンだけでなく

 人工妖精についても、このような発言すらあった。


「ゴブリンクイーンを鹵獲すれば良いだけの事ではないか!

 人工妖精とやらも、小国には必要なくも

 我らのような大国にこそ、必要なものではないか!!」


 その再利用を考慮しての長期戦を考える貴族。

 小国と未だ侮り、早期決着を望む貴族。





「なぁ、お前達馬鹿か?

 功を焦って、上層部の言う事は聞きもせずに

 死んだ馬鹿共をそんなに追いたいのか?」


「ゴブリンクイーンでも異常な数のゴブリンを生み出す上に

 その1匹1匹が騎士同等の戦いをしてくるのです。

 厄災の中の厄災、と言ってもおかしくはないのです。」


「だが!その姿すらまだ捉えられていないと言うのに

 訳の解らない者の情報とやらを

 安易に信じて、兵を疲弊させるのですか!?」


「疲弊?お前らが馬鹿みたいに功を焦って

 次から次へと突っ込ませて、その尻拭いをさせられているの

 間違いだろ?なぁ、ソニック大将。」


「はい、ウィンガード元帥。

 8割以上がその手で碌な休息も取れていない、と言うのが現実で

 我々の発案通りに休ませればそのような事もありません。

 そして失敗すれば、死にそうでなくとも戦果が得られず

 評価が下がったとばかりに、同じような愚を繰り返す。

 現場などと言っておりますが、それに付き合わされる

 騎士達が疲弊しているだけであり、ここにいる

 その戦果を得たい者達の愚行そのものが原因です。」


「貴様、ソニック!!

 我らを愚弄すると言うのか!」


「愚弄?これは事実を話しているだけです。

 元々厄災級の討伐でもあると、前もって話している筈です。

 先陣が誰か、戦果が誰のものかではなく

 これは臣民を護るべく戦いなのです。

 そして貴方達はその臣民でもある騎士達を

 死に追いやっているだけなのです。

 いくら戦果を得て、取り戻そうとも

 既に軍法会議ものなのだと言う事をご理解ください。」


「ソニック大将、そんな余裕ねぇだろ?」


「はい、ウィンガード元帥。

 長期戦を予定していたとは言え、疲弊は事実ですが

 ここで手を抜くと、我々だけではなくハリーバードの港町。

 そしてサンディング王国のアブラハムナカの町やホーキテの町まで

 戦火に巻き込んでいしまいます。」


「ヘルレイド王国の方はどうだ?」


「未だ沈黙を守っていますが、一時的な国土借款の締結は

 既に終わっていますので、恐らく最後まで静観するでしょう。」


「それで進捗は?」


「現在、ホーレルヒ王国王城が厳重な防衛ラインを敷いていて

 その突破に苦戦中ですが、想定内です。」


「なら、とりあえずは現状を維持しろ。

 疲弊については部隊編成とその順番などを

 お前の権限で弄って、疲弊させた騎士達を休ませろ。

 それと馬鹿正直に突っ込ませた佐官と尉官は

 俺の権限を使って、降格させろ。

 意をきっちり把握して、出来る限り損害を減らせる

 もう少しまともな連中を昇級させろ。」


「戦時下で行って宜しいので?」


「構わん、ここにいる馬鹿将官と馬鹿佐官の事より

 俺は現場で戦っている騎士の方が重要だ。」


「御意。」


「なっ!?………。」


「おい、文句があるなら王座を賭けて決闘を受けてやるからいつでも来い。

 それが不満なら黙って、もう少しまともな戦いをしてこい。

 お前らの役割は戦う事そのものじゃねぇ。

 いかに騎士達を活かし、それを国としての利にするかであって

 お前ら個人の戦果と褒章の為じゃねぇんだ。

 真っ先に立って騎士や臣民にその姿を見せつけてこそ

 貴族だなんだのと名乗れるのであって

 祖先の過去の功績を名乗る為にあるんじゃねぇ。

 臣民を護り、国土を護り、全てを豊かにしてこそだ!

 俺らが楽する為にあるんじゃねぇってのを心に刻め!!」


「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」




「それと元帥、義勇兵の申し込みが来ています。」


「あ?そんなもん頼んだ覚えはねぇぞ?」


「自主的にやってきたそうです。

 アブラハムナカの町の冒険者ギルドだそうです。」


「ああ、上級ばかりの連中か。だが邪魔だな……。」


「そうでもありません。

 ホーレルヒ王国の国境関の外側を担当するそうです。」


「………戻ってくるゴブリン共を殺るって事か?

 それでやつらに益があるのか?」


「はい、どうもこのゴブリン達は身体も強靭だそうで

 筋や骨、皮なども十分な素材になるのだそうで

 十分と益になるそうです。」


「邪魔にならねぇなら構わん。」




 その時、天幕に1人の騎士が駆け込んできた。


「伝令!ホーレルヒ王国の王城が崩壊!

 それと同時に地下が崩落!

 さらに地上に対象が出てきました!!」


「ついに出てきたか、厄災野郎……。」


 ついに出てきたか、とウィンガード王は

 少々にやけた顔へと変わるも

 それまでゴブリンクイーンなど居ないなどと

 言っていた者達は、顔色が蒼く変わっていた。


「元帥、クイーンですから女郎では無いですかね。」


「ソニック、お前のそういう所

 俺はあまり好きじゃねぇんだがな。

 ともかく地上に出てきたなら予定通りだ。

 ソニック、あっちは大丈夫だろうな?」


「はい、前回の罰としてパーシヴァルを回しています。

 決して逃す事は無いでしょう。」


「だと良いがな……。

 うし、てめぇら!ウィンガード王国の総力を見せる時だ!

 頭1つ出て、小汚ぇゴブリンの頭や

 使い物にならねぇホーレルヒの貴族の首なんざ

 いくつあっても鉄貨1枚(1円)にもなんねぇぞ!

 獲るはゴブリンクイーンの首1つ!解ったか!!」


「「「「「「「「「「はっ!!」」」」」」」」」」


 ついにウィンガード王国は

 ホーレルヒ王国との最後の戦いに入った。


 それと同時刻。

 1つの影がウィンガード王国の王城から飛び出していた……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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