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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第4章 ホーレルヒ王国編
41/178

第41話 G、石鹸を手に入れる。

 その掌が私に届く事は無かった。

 何しろ白い鎧の男がそれを防いだからだった。


 但し頬を赤くしていて男は今、城壁の上を赤く染め

 右手首を抑えて悶え、声にならない声をあげていたからだ。


 そして地面には、それまでくっついていたであろう

 手首から先が落ちていた。


「ウィンガード王国、ライス・F・ウィンガード大佐。

 貴方は折角この場が収まりそうだと言うのに

 被害者であるこちらのお嬢さんに刃を向けた上

 殺そうとしました。軍人として、王族として

 これこそあるまじき行為ですよ?」


 白い鎧の男は、腰から剣を抜き

 一瞬にしてその手首を切り落としていた。


 良い勝負?

 冗談じゃないね……。

 この男、正直オークビッツのタブロクより早いんじゃない?

 全くもって抜剣したところが見えなかったんだけど??


 気が付いた時にはもう剣を振り抜いた後だったんだけど……。



「貴様!ライス王子を切るなど王族、ひいては

 ウィンガード王国に仇名す行為ぞ!!」


「何を言っているのでしょう?

 私はライス・F・ウィンガード大佐と言う軍人の

 行き過ぎた行為を止めるべく、対応をしたまでであり

 ウィンガード王国、第四王子のライス・F・ウィンガードを

 切った訳ではありません。」


「どちらも同じ事ではないか!!」


「そんな事はありません、ここにはあくまで大佐として

 視察にいらしゃっていると連絡を受けているのです。

 王族、としてではなくあくまでウィンガード王国の軍人としてです。

 それをこの近衛空竜騎士団団長兼ウィンガード王国大将である

 ソニックが諫めた。それ以上でもそれ以下でも無いのですよ?

 対応に不満があると言うのであれば、どうぞ軍法会議を王都にて

 開いていただいて結構。

 当然、大元帥であるウィンガード王の前でとなりますし

 ライス大佐の行動も全てウィンガード王の知る所となりますが……。」


「おい!早く魔法水薬(ポーション)を持ってこい!」


「おや、天属性魔法を扱うには四大属性に加えて

 光属性や聖属性も扱える必要がある訳で

 当然、それらが前提となる癒しの属性の魔法も扱えると言うのに。

 この程度の怪我を自ら治療する事も出来ないとは……。

 やはり佐官から上に上がるのは無理なようですね、ライス大佐殿。」





 上手いね……。

 この手合いの扱い方が良く解っていると言うかなんというか。

 恨みは絶対買いそうだけど、腕が立って口も立つとか。

 あれ?これもしかしてイケメン要素?


 まぁイケててもイケてなくても

 私のような喪女にゃ関係ない話だけど……。


  『おかしいですね、私の調べた記憶によると

   マスターは地球では相当モテモテだった気がしますが……。』


 嗚呼、あれは論外。

 ロリコンにモテたのをカウントし出したらキリが無いから。

 しかもどいつもこいつも持論を持ち出して

 ロリとはこうあるべき持論展開を始めるし。


 そういうのは2次元に求めるべきであって

 3次元に求めるべきではないのですよ。


 男性諸君も女性がショタとはこうあるべきとか

 持論展開を始めるような女性とか嫌じゃない?


 ロリコンは見守る、手を出さないが鉄則であって

 それを超えたらただの事案だと思わない?

 ショタコンも事案だろうけどさ……。


 BL(ボーイズラブ)のティンと来た!部分とか

 何故どれもこれも綺麗なジ〇イアンしていると思っているのかな?


 所詮2次元だからだよ?

 3次元にそれを求めだしたら3K以上の高い条件だよ?



  『3K……「価値観が合うこと」「金銭感覚が一致していること」

   「雇用形態が安定していること」ですか?』


 違うよ。

 「家事まで全てやってくれる旦那」「給料を一杯持ってくる旦那」

 「休日は家に居ない旦那」の3Kだよ。


 男女問わず理想は意外と高いものなのだよ。


 これが妥協しまくったら「旦那は家事を手伝わない」「旦那は安月給」

 「旦那は休日、家でゴロゴロしているだけ」の3Dになる訳。


  『3次元()ですか……。』


 3妥協()とも言う。





 そんなくだらない話をニクジュバンニと脳内でしていると

 白い鎧を着た男、ソニックと呼ばれていた大将が

 大き目の木箱を持ってやってきた。



「こちらは軍の物資ですが、王都で扱われている

 一般的なものとそう違いはありません。」


「へぇ、しっかりしてるし何より良い香りがするね。

 アルデハイド・タイプっぽいけど………。

 これバニリンかな?バニラ臭が僅かにする……。

 あとは……ローズかな?」


「アルデハイド・タイプやバニリンは解りませんが

 これにはバラやバニラから錬金術生成された成分が

 加えられているそうです。

 詳しくは解りませんが、いくつかの香りを混ぜ

 作られていて、王都でも人気の1品ですよ。」


「で、兵站なんて持ち出して大丈夫なの?」


「流石にしっかりと確認もせず、民間の方に流星(シューティングスター)

 撃ち込んだだなどと上層部に報告も出来ませんから

 ここは私の権限で扱えるだけをお持ちしました。

 あと洗濯用の石鹸やもこちらに。」


「おお!それは助かります。」


 私がなんとか抱えられる木箱だけど

 それぞれに身体を洗う石鹸と、洗濯用石鹸をいただいた。


 洗濯用のものは香りを付けずに羊の脂と灰で作ったものと

 オリーブを絞った油と海藻灰で作ったものだとか。


「いやぁ………これでお風呂で身体を洗える……。」


「どこかの御令嬢でいらっしゃいますか?」


「え?」


  『お風呂なんて王族貴族豪商の贅沢であって

   庶民は清拭が精々ですよ……。』


「その服、大猩猩の子供の革を使用しているのですかね?

 その1着だけでも庶民が一生の賃金を費やしたとしても

 決して買えるようなものではありませんからね。」


「ほぅ、ウィンガード王国では御令嬢が

 大猩猩の革を被るのですかね?

 珍しい風習だと思いますけど?」


「いえ、そのような御令嬢はいません。」


「なら、そういう事では無いでしょうか。」


「そうですか……。」


「それでは近いうちにまた。」


 私は用は済んだと、木箱を収納しササっと外壁を降りていった。

 すぐ上を見上げた時、ソニックさんと目が合った。




「……………ささ、どうぞ降りていってください。。」


「……………ササっと降りた手前

 恰好がつかない気がするので、見ないで貰えませんかね?」


「どう降りていくのか気になりましたので。」




 ゴリラアーマーはあくまでゴリラベースで

 ジャンプ力、と言う点で言えば人より僅かに高い程度。

 頑張って垂直跳びが7、80センチくらいだとか。


 辺境砦の外壁なんてこんな高い所から落下したら

 ゴリラアーマーは良くても、私の足が痛くなる。


 まぁ、見た目的にはピョンと飛び降りて

 颯爽とナックルウォーキングで去りたかったけどさ……。


 先程もナックルウォーキングから外壁に飛びついて

 腕の力で上がってきただけなので

 降りる時も基本、壁を伝って降りるしか出来ないのです。


 何かずーっとソニックさんに見られ続けていたけど

 降り切ると同時に私は恥ずかしいので

 懸命にナックルウォーキングで去ったのです。





「うふふふふ……これでやっとお風呂に入れる……………。」


  『どうやって安全に入るおつもりですか?』


「…………え?」


 そう言われると、水とお湯はある。

 片方はキンキンに冷えていて、凍る直前。

 片方はグラグラに沸いていて、ほぼ沸騰状態。


 多分1:5か6位で混ぜれば

 丁度良い湯加減になる気がしなくもないんだけど。


 確か極論ながら、0度と100度の水を同量混ぜると

 20度くらいになるとか昔、調べた気がするんだけど……。



「この世界で安全にお風呂に入れる場所なんてあるのかな……。」


  『さぁ……ゴリラは入浴しませんので。』


「この万年ゴリラ基準めぇ……。」


 石鹸を手に入れた筈なのに、お風呂から遠ざかった気がした。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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