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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第4章 ホーレルヒ王国編
40/178

第40話 G と 白き鎧の男。

 ウィンガード王国、南部辺境地域にある

 難攻不落、とも呼び声の高い「フォルコメン砦」……。



「流石でございます。」


 多くの軍服を着た男性達が盛大な拍手で

 1人の人物を称えていた。



「まぁ、俺の手に掛かれば厄災級魔物だろうがこんなものだ。」



 天属性魔法である流星(シューティングスター)を放ち

 ドヤ顔を決めていたこの人物。


 ウィンガード王国の第四王子で

 ライス・F・ウィンガードと呼ばれる人物であった。


 そしてそれを称えている連中は

 ウィンガード王国の軍人であり、取り巻きでもある貴族達だ。


 ウィンガード王は現時点では

 次期王に4人の王子達の中から誰に王座を譲るかを

 決めていなかった事から、それぞれの王子に派閥が出来

 この取り巻き達は第四王子派閥となる貴族達でもあった。


 ライス王子は魔力の多さにより、通常より

 強大な威力の魔法を放つ事が出来る上に

 繊細な魔力操作まで行える程に魔法を得手としていて

 現時点ではウィンガード王国軍の部隊の1つ

 「魔導騎士団」と呼ばれる魔法を得手とする

 騎士達の騎士団長を務めてもいた。


 そして今日、丁度南部辺境地域のフォルコメン砦の

 視察に来て、リラを見かけその姿から

 大猩猩(おおしょうじょう)と呼ばれる魔物を見つけたと思い

 あの流星(シューティングスター)を放ったのだった。


 だがそれは1人の男によって、叱責に変わった。

 ライス王子の頬が赤く変わっていた。



「ライス王子!?

 ソニック、貴様ぁ!

 何をしたか解っているのか!?」


 ライス王子は魔法は得意でも、肉体を駆使した戦いは

 不得手で、男により頬を叩かれただけで

 倒れ込む程だった。


「貴方達こそ、何をしたのかお解りでは無いのですか?

 今、ライス王子が放った魔法が僅かでも逸れでもした場合

 この先にあるベイクドールの町にまで到達し

 被害が発生していたかもしれない事を鑑みれば

 いくら第四王子とは言え、こうして叱責されるべきなのですよ?」


「だからといって!たかだか近衛が王族に手を出した事は

 決して許されるべきではないのだぞ!?」


「王族であろうがなかろうが

 ここではウィンガード王国軍人として扱うのが流儀。

 佐官が勝手な事をしているのを将官が叱責するのは

 そう珍しい事でしょうか?

 臣民を護るが常の軍人が、臣民を危険に晒したのです。

 軍法会議に持ち込まずにこの程度で済ませた事が

 納得いかないと言うのであれば、王都に帰り次第

 軍法会議にかけさせていただきますが?」


「くっ……何が叱責だ……!?

 実際に被害も出ていないのに危険に晒した!?

 俺が倒したのはあの厄災級と名高い大猩猩(おおしょうじょう)だ!

 あれを放置する方が問題だろうが!!」


「ははは、ライス王子は面白い事を仰る。

 あれが大猩猩(おおしょうじょう)

 今は大佐かもしれませんが、その程度の眼の持ち主では

 将官にはまだまだ遠いのかもしれませんね。」


「ソニック……、俺を愚弄するか!!」


「愚弄?私は階級では上である筈なのにですか?

 ライス・F・ウィンガード大佐殿?

 それより大猩猩(おおしょうじょう)と間違え

 あの流星(シューティングスター)を抑え込んだ人物からの

 報復から、ご自身の身を案じた方が良いのではないですか?」


「何を言っている……。

 あれが大猩猩(おおしょうじょう)以外の何だと言うのだ!!」





「私はか弱い少女ですけど何か?」


「「「「「「は?」」」」」」


 フォルコメン砦の外壁上で揉めていた

 ライス王子とその取り巻き貴族にソニックの前に

 リラはアームドフォームではなく

 元々のゴリラアーマーの姿であるベーシックフォームで現れた。


 外壁の端に乗り、バイザーを開いている状態で

 ライス王子を睨みつけていた。



「だから言ったでしょう?

 大猩猩(おおしょうじょう)ではないと。

 むしろ獣の大猩猩(ゴリラ)に近い姿に見えますが

 お嬢さん、それは着包みの類ですか?」


「これは鎧だよ……。」


「そうでしたか。

 それでこのフォルコメン砦に何用ですか?」


「……………………。」


 これは駄目っぽいなぁ……。


  『どうされましたか?』


 この目の前の真っ白い鎧を着た男だけどさ……。

 勝てる気がしない……。


  『そうでしょうか、私の判断では

   良い勝負が出来そうだと思いますが。』


 そっちじゃない、この男に口で勝てる気がしない。

 経験上、こういう屈託のない笑顔を浮かべていて

 裏表が一見無さそうに見える良い笑顔の人。


 大抵、自信満々で準備万端、落ち度も無ければ

 持ってきくるような商品は痒いところに手が届く一品。

 それだけに無下にも出来ない

 商談とかでは絶対相手したくない感じしかしない……。


 状況からしてあの頬が赤くなってるのが

 流星(シューティングスター)を撃った男でしょ。


 で、既にそれを諫めたって感じかな?

 部下が失礼した、私が責任をもって云々で

 それをもって納めてくれ的な先手を

 キッチリ打っている、それでいて恐らく私が

 これ以上踏み込もうとすれば、この笑顔の男が立ち塞がる。


 そこで良い勝負したって、私の気も晴れなければ

 この流星(シューティングスター)をぶっ放した

 馬鹿男に対してどうこう出来ないって感じかなぁ……。



「今、流星(シューティングスター)をぶっ放されて

 死に掛けた訳だけど?


「そうですね、直属では無いのですが

 下の者が御迷惑をお掛けしたようで。

 つい先程、その愚行を諫めたばかりでしてね。

 ここは責任を持って処分いたしますので

 それで納めていただけませんか?

 幸い、御怪我も無いようですので。」


「…………………石鹸。」


「石鹸?」


「サンディング王国のアブラハムナカの町で

 質の良い石鹸がウィンガード王国で

 作られてるって聞いたからね。

 ここウィンガード王国なんでしょ?

 それで手打ちでどう?」


「良いでしょう、すぐにご用意しましょう。

 他には何かありますか?」


「『(あぶ)(はち)取らず』、蜘蛛が巣に掛かった獲物2匹の

 どちらも取ろうと欲張って、結局逃げられる。

 一つの事に専念し、欲をかかなければ成功するのに

 あれもこれもと欲をかいて失敗するって言葉が故郷にあってね……。」


「それはまた面白い言葉ですね。」


「ええ、これには続きがあってね。

 『(あぶ)(はち)取らず鷹の餌食』って言って失敗した後に

 更に損する事もあるって強調させた言葉もあるんだよね。」


「そうですか。

 私が鷹にでも見えましたか?」


「ええ、少なくとも貴方とはお相手したくないですね。」


「そうですか、私もですよ。」



 これでこの場は収まる。

 そんな空気の中、1人その空気を読めない男が

 私に近寄ってきた。



「き……貴様が……貴様がそんな紛らわしい恰好を

 しているのが全ての原因だ!!」


 頬を赤くした男は、駆けながら右の掌底を私に突き出してきた。

 その掌には、うっすらと輝く刃先のようなものが見えた。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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