第37話 G と ギャンブル狂想曲。
私はどうするか、を決め
そしてそれを実践する事にした。
「ゴリラ武器カモーン!!」
『武器ルーレット!ジャカジャン!!
だ〇いじょ〇ぶだぁ~!』
毎回毎回、このルーレットは色々と問題にならないのだろうか。
たまに下側が水槽だったりと、今のテレビでは
まぁ流せない様な内容なんだけどさ……。
「これ毎回やるの……?」
『詠唱の省略は可能ですが、ルーレットの回転は絶対です。』
「あー、じゃあ回転だけでおねしゃす……。」
あれから、私はゴリラ武器ではなく
残念賞のバナナとゴリラの
ゴリラの方を狙うべく、武器ルーレットを
ガンガンと回し始めたのです。
『残念賞のバナナです。』
「もいっちょ!!」
嬰児が今も犠牲になっているかもしれない。
そう考えれば、早い行動が必要かもしれない。
だけど大国のウィンガード王国に限らず
誰かに助力を頼むのであれば
むしろ失敗する方が許されないと思うんですよ。
証拠は無くとも、出来る限りのものは揃えて
万全を期したかった私は、一番利便性の高い
ミニゴリラ、ミニミニゴリラ、ミクロゴリラの
数を増やし、少しでもホーレルヒ王国の
内情など、情報を揃えて突きつける事にしたのです。
『残念賞のバナナです。』
「もいっちょ!!」
しかし大半が残念賞のバナナ……。
ブラウザゲームやスマホゲームのガチャですら
もう少しまともなものが出る筈なのに
この武器ルーレット、簡単に言えば
SSRかNの2択みたいなところがある。
そしてほぼほぼ出るのはN。
今もミニゴリラは目の前で紙とペンを持って
ミニミニゴリラとミクロゴリラから得た情報から
ホーレルヒ王国の地下の地図を作っているのです。
ミニゴリラ達が万能過ぎて
情報収集などにも役立つ事から私はこの武器ルーレットから
ゴリラ数を増やしたいのですけど
世の中そう上手くはいかないようです。
そしてファンファーレが鳴った。
【ゴリラ武器「ゴリライアット・ガン」が顕現されました。】
「おおぅ……、ミニゴリラ狙ってるのに
こんな時に武器とか………。
っていうか初めての遠距離武器じゃない?」
『バナナ売りのハリセンの遠距離版です。
固定ダメージ1、100パーセント気絶発動。
そして気絶時間は1秒です。』
「ゴリラ武器って両極端なものしか無いのかね……。」
そしてファンファーレがもう1回鳴った。
「おっ!?今度はまさか!?」
【ゴリラ武器「ゴリライアット・ショットガン」が顕現されました。】
「おおぅ……?」
『ゴリライアット・ガンのショットガン版です。
固定ダメージ1、100パーセント気絶発動。
そして気絶時間は1秒です。』
その後も両極端な悪い方の武器を引き続けたのでした……。
【ゴリラ武器「ラスティ・シールド」が顕現されました。】
「シールド……?これ防具じゃ無いの?」
『この世界では武器としても扱われるのです。
盾専用の技能等も存在しています。』
「へぇ……、ってこれなんで錆びてるの?」
『錆びた・シールドだからです。
尚、傷口にその錆が触れると確実に破傷風を引き起こします。』
「なにそれ怖い……。」
『大丈夫です、自然治癒する事は絶対にありえませんし
致死率も10から20パーセントと控えめです。』
「多分、私とあんたの控えめという言葉に齟齬があると思うよ?」
【ゴリラ武器「バナナイフ)」が顕現されました。】
「ん?バナナとついてるのに見た目は普通のナイフだね。」
『バナナ以外、傷1つつける事が出来ない特殊なナイフです。』
「バナナ以外傷付けられないって、ゴミじゃん……。」
『どうなのでしょう、使い方次第な気がしますけど。
ダメージすら与えられないナイフとか
特殊過ぎて使い方が思い浮かびませんが……。』
「私も浮かばないよ……。」
そしてどれだけバナナが溜まったのだろうか……。
考えるのも嫌になり、最早勝手に回るルーレットに
興味1つ持たなくなった頃だった。
突然のファンファーレ。
「ん?また碌でも無い武器?」
【ゴリラ能力「ミニゴリラ」がレベル2になりました。】
【ゴリラ能力「ミニミニゴリラ」がレベル2になりました。】
【ゴリラ能力「ミクロゴリラ」がレベル2になりました。】
「やっとレベル2か……。」
私は新しくミニゴリラを1頭呼び出して
新たな情報収集などを任せた。
「これでやっと2倍早く進むように!!」
『あの、マスター?』
「何?」
『レベル2は2頭ではなく、10頭だそうです。』
「……………ナンダッテー!?」
レベル1が1頭だからてっきりレベル2は2頭だと思っていた。
だけど蓋を開けたら1頭が10頭に………。
「まさかの1桁増える方だったとは……。」
そう説明されれば2頭だけではなく
10頭放った方が作業効率はグンと上がる。
私は合計10頭のミニゴリラを放ち
そこからそれぞれ1頭のミニミニゴリラが放たれ
そしてミニミニゴリラからミクロゴリラが放たれ
ミニミニゴリラに捕まって散っていった。
「はぁ………実に長い戦いだった……。」
それぞれ10頭、合計30頭も居れば
『たった3時間ですよね?
あと1時間と経過しないうちから
マスターは殆ど寝転がってましたよね?』
「スタートボタンもストップボタンも存在しない
ただただ待ち続け、見続けるだけのルーレットに
それ以上を求める必要性を感じないんだけど?』
『そんな事は無いですよ?あれをご覧ください!』
あれ、というかルーレットだよね?
絵柄が増えてる……?
『ゴリラとバナナと樽の3種類になったようです!!』
「ちょ、ミニゴリラ増やすの大変になっただけじゃん!!」
『しかしこれまで「ひらめく」しかなかった樽の
酒類、じゃなかった。
種類を増やすまたとないチャンスですよ!?』
「今、酒類言わなかった?
ワインとかウィスキーとか入ってる樽でもあるなら
頑張れる気がしなくもないんだけど……。」
『バナナマッコリにバナナ梅酒にバナナウォッカにバナナリキュール位なら
入っているのではないでしょうか?解りませんけど……。』
「『比律〇産にごりばなな』はあるよね?ゴリでバナナだし。」
【ゴリラアーマーがゴリラ能力「無限水樽」をひらめきました】
「ただの水?」
【ゴリラアーマーがゴリラ能力「無限熱湯樽」をひらめきました】
「今度はお湯?」
【ゴリラアーマーがゴリラ能力「無限樽美酒研二」をひらめきました】
「最早、人だよね!?」
『大丈夫です、樽美酒と書いてルビはバレルビッシュですから。』
「そういう問題!?」
何故かまたガチャ、じゃなかった。
ルーレットにハマる事となったけど、特に有用性を
感じられる樽は出てこなかったのです……。
その日の深夜。
リラが熟睡している真っ最中。
とても小さな音が鳴った。
それはリラが起きる事も無いような
非常に小さなファンファーレだった。
【ゴリラアーマーがレベル2にあがりました。】
【ゴリラアーマーにゴリラアーマーライトフォームが実装されました。】
【ゴリラアーマーにゴリラアーマーヘビーフォームが実装されました。】
【ゴリラアーマーにゴリラアーマーアームドフォームが実装されました。】
【ゴリラアーマー各フォームの言語・能力制限が解除され共有化されました。】
『…………………これは秘匿せねばなりませんね……。
マスターのゴリラ感が失われてしまいます……。』
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