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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第4章 ホーレルヒ王国編
35/178

第35話 G、大筋を把握する。

 結論。

 バナナを叩き売っている暇なんて無かった……。



「こっちはバナナ10個だ!」

「こっちは20個だ!!」


 まぁ、最初は黄色く得体の知れない

 食べ物だと思われたようで

 遠目で見られていたので試食を出してみると

 まぁ甘い果物に飢えているのか

 どうなのかは知らない。


 1本銅貨1枚、とボッタクリも良い所価格で

 ガンガンバナナが売れていき

 ゴリラ武器(ウェポン)「バナナ売りのハリセン」の出番は

 1回も無かったのです。


 次々と熟れる、じゃなかった。

 売れるバナナを横にある(バレル)から

 出すフリをしつつ、補充しているけど

 どんどんと売れていく。



「っていうか思った程日持ちはしないってのに……。」


 売っているバナナはまだスィートスポットが出ていない

 真っ黄色なバナナ。


 これから黒さが出てきて、甘くなっていくのだけど

 その時点で既に「甘い!」と売れている。

 どれだけこの世界の人達は甘さに飢えているのやら……。


 しかし日数が経過していくと、これがまた

 周囲の屋台にまで影響が出てきたのです。



「さぁ、焼いたバナナはどうだ!

 甘いバナナが焼かれた事でさらに甘くなってるぜ!!」


「ミノタウロスの乳を合わせたバナナミルクはどうだ!?

 甘くて美味いぞ!!」


 いや、その前にこの世界の牛乳って

 ミノタウロスから取るの……?



  『いえ、キチンとカウ系の見た目が牛の魔物が居ます。

   ミノタウロスのミルクは乳脂肪分が非常に少ない

   ミルクが採取できると言うだけです。』


 いや、あの胸筋からどうやって絞るの??


  『下に絞る場所があるのです。』


 下……?


  『陰茎と呼ばれる部分が乳頭で、その部分に

   乳頭槽と乳腺胞が存在しています。』


 聞きたくなかった情報だった……。

 っていうかミノタウロスって牛頭人身だよね!?

 そこ別の器官だよね!?


  『全てが肛門から排泄されます。』


 ……………世の中、知らない方が幸せな事があるってのは

 こういう事を言うのだろう、と私は悟った。


  『マスターが知りたがったから答えたまでで

   私が悪い訳ではありません。』


 うん、解ってる。

 誰もあんたが悪いとは一言も言ってない。


 あとバナナミルクの露店。

 女性にえらい卑猥な商品名に言い換えているんだけど

 私にはセクハラにしか見えなかった。


  『顔を真っ赤にしながらも買っている辺り

   真っ黒に近い白、ではないでしょうか。』


 それで良いの?この世界……。

 しかしながら、バナナの加工品を扱う露店が増えて

 増々バナナの売り上げは好調なのだけど

 ミニゴリラ達の調査がやけに長引いていたのです。



  『ミニミニゴリラでは調査し切れない場所もあり

   ミクロゴリラが頑張っている真っ最中です。』


 そもそも細菌サイズのミクロなゴリラが

 どうやって頑張っているのかも気になる。


  『99.999パーセントは移動時間です。』


 うん、そんな気がしてた……。


  『本来ならミニミニゴリラにくっついて

   移動させるべきなのですが

   王城の周囲がやけに警戒が強く

   ミニミニゴリラですら見つかりかねないのです。』


 小指の爪くらいのミニミニゴリラが

 見つかりそう、って超怪しい……。


 ミニゴリラとミニミニゴリラが集めた情報だけでも

 この国の実態は危険なものだった。


 まず「ヤバ谷園なもの」とやらの正体。

 これはどうやらこの国で製紙し

 その中に含ませた状態で輸出しているのだとか。


  『煙草の巻紙として作っているようです。』


 煙草葉自体はこの世界にもあるそうで

 ホーレルヒ王国では作っていないけど

 他国で作られていて、その他国へと輸出し

 そこで組み合わされて、ヤバ谷園な物体になっているらしい。



  『ゴブリンには関係ないようですし

   馬鹿につける薬はありませんから

   放っておきましょう。

   問題はそれによってこの国の収入の大半が

   賄われ、それによって行われている研究に

   どうやら問題があるようです。』


 それが王城の地下にある、ミニミニゴリラですら

 入ろうとしても入れない場所だそうで

 1頭のミクロゴリラからの情報が無いと

 結論がでないらしい。





 そしてホーレルヒ王国に潜入して20日。

 ついにミクロゴリラが情報を得て

 ゴブリン騒ぎの答え合わせが出来るようになったのです。


 それは口に出すのも憚りたい

 人のする事とは思えないようなものでした。


「人工妖精……?」


  『主に嬰児(えいじ)を使い、作られているようです。』


 嬰児(えいじ)とは3歳くらいまでの子供。

 主に赤ん坊の事を指す言葉だそうです。


 妖精は嬰児(えいじ)の魂と言われるそうで

 このホーレルヒ王国は

 嬰児を使った魔導式、つまり魔力を使った

 実験をこの国の地下で行っているのだとか。



「なんでまたそんな事を……。」


  『高く売れるからです。』


 妖精、中でも属性を持った妖精は

 強大な魔力を生み出す存在だそうで

 その用途には永久魔力機関と呼ばれる

 魔力を生み出す魔導具、魔力を動力とする道具に

 使われる事が多いのだとか。


  『主に人族至上主義が行うものとされています。

   妖精と言えば属性を持った者達は

   全てが妖精の王が必ずその存在を知っているものです。』


 しかし人工的に作られた妖精であれば

 妖精の王が知る事も無い為、妖精の王の怒りに触れないのだとか。


  『そもそも人の手で作られたものを

   妖精の王は妖精と認めないものです。』


「へぇ……。

 で、ゴブリンとどう繋がるのさ。」


  『ゴブリンも妖精です、無属性ですけど。』


「…………つまり売れない失敗作??」


  『それと同時にチェンジリングをさせています。』


 チェンジリング??

 あの子供同士を入れ替える??


  『チェンジリングはもう1つの意味があります。

   妖精やトロル、エルフの子などと入れ替えるのも

   チェンジリングと呼ぶのです。』


「え?じゃああのゴブリン達って……。」


  『各地に散って、子供を攫ってくる役割を

   担っているようです。』


「じゃあゴブリンクイーンとやらは??」


  『存在していました。

   それ自体も作られたもので、そこから

   妖精を生み出しているようです。』


「ゴブリンだけが生まれる訳じゃないんだ………。」


  『それだけではありません。』



 あの水濠の下に走る2本の道。


 あのうちの1つは禁制品を運び入れたり

 それに絡んでいる商人がホーレルヒ王国に

 出入りする為の秘密の通路だそうだ。


 そしてもう1つがゴブリンが次々と生まれ

 送り出されている道なのだとか。



「途中から小さくなったのは?」


  『どうやら嬰児(えいじ)を攫ってくるゴブリンが減った為

   急遽、未完成なゴブリンを放ったようです。』


「未完成にしては強かったけど……。」


  『未完成な分、成長に必要な魔力だけを

   大量に注ぎ込んだ結果、非常に短命な

   ゴブリンとなっているようです。

   しかもゴブリンクイーンの意志で行っていて

   半ばコントロールが効いていないようです。』


「はい?」


 なんでもゴブリンクイーンがここの所

 未完成な小さなゴブリンを産むようになったけど

 それをこの国が意図して作ったのではなく

 ゴブリンクイーンが勝手に行った事なのだとか。


「自分達で作ったのにコントロール出来てないって……。」


  『元々だったようです。

   ゴブリン達も実際チェンジリングに積極的だったのは

   全体の4分の1程度で、残りはホーキテの町の周辺で

   ダラダラと過ごしていたようです。』


「何、その働き蜂や働き蟻みたいな習性……。」


  『同じようなものです。

   ゴブリンのコントロールが上手くいかないなら

   その分、多く生み出させれば良いとでも考えたようです。

   また、ごく僅かですが元の記憶を僅かに

   引き継いでいる個体もあるようです。』


 それは3歳にも満たない幼子である嬰児(えいじ)

 帰巣本能のようなものによって

 連れ去られた場所へと戻っていく、非常に悲しい内容だった。


  『その結果までは記録に残っていないようですが

   どうやら碌な結果では無いようです……。』


 ま、結果だけで言えば1つしか言いようがなかったのです。


「この腐れ外道ども、としか言い様が無いね。」


  『それでも既に人工妖精は2桁生まれているようで

   それによる恩恵に目が眩んだのでしょう。

   1匹を残して、全ては他国へ売られたようです。』


「1匹?」


  『ゴブリンクイーンに妖精を産ませたりする

   魔力、つまり永久魔力機関として

   捉えられている状態です。』


「ふむ……。」


 大筋の流れは判明した。

 だけど、そこにはまだまだ私にとって

 越えなければならない大きな壁があったのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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