第31話 G と 偉大なる神々の運命
「何か小さい……。」
あれからゴブリン根絶を謳い
ゴブリンを次々と狩っていった結果。
大体身長が1メートルから1メートル20センチ程度だったゴブリンが
1メートルを切る位の小ささのものばかりと遭遇するようになったのです。
「なんだろう、この材料が足りない状態で作ったら
こうなりました感が拭えないゴブリン……。」
『これは違いますね……。
小さくなった分、力などが増しています。』
「ほんとだ!!」
これまでのゴブリンとは強さ、速さが格段に上がっていた。
と言うかこれをゴブリンと呼ぶのは些か無理がある。
『鑑定上はただの「ゴブリン」となっている以上
これもゴブリンと定義するしか無いでしょう。』
「いやいやいやいやいや、これオークより絶対強いよね!?」
それこそタブロクに近いと思われる素早さを持った上
素手で殴ってきても私がそこそこの痛みを感じる。
これまでのゴブリンと同じと考えていると
足元を掬われそうな強さだった。
「魔法!?」
拳で殴る、足で蹴る、爪で引っ掻く、噛み付くだった
ゴブリン達が一斉に魔法を撃ち始めた。
私の周囲に火の球が、氷柱が、土柱が
次々と飛んできた。
「無限樽!」
私は樽を出して、樽を掴んで振り回し
次々と魔法にぶつけていった。
それを見たゴブリン達がさらに魔法を撃ち出してくる。
同じように樽をぶつけると、今度は火の球が爆発をした。
火爆球だ……。
それだけでなく、当たった氷柱は
樽の表面を凍らせるし、土柱は当たると同時に砕けて
周囲に飛び散っていく。
「ぐっ、数が多いし捌ききれないんだけど!?」
『しかしこれといって他に戦う術はありませんから。』
「ならひらめくとかあるでしょうが!!」
『ああ、失念していました。』
「うっかり忘れるな!!」
最近やけにひらめきが無いな、と思っていたけど
忘れるとかありえないわー……。
そして都合よくなるファンファーレ。
やっぱりご都合主義なのだろうか………。
【ゴリラアーマーがゴリラ武器レベル1をひらめきました。】
「おおっ!ついに私にも武器が持てる年頃に!?
どうすれば使えるの!?」
『ゴリラ武器と叫ぶだけです。
但しレベル1なので、出てくる武器はランダムとなっております。』
「ランダム……?
まぁいっか、出てこいゴリラ武器!!」
『武器ルーレット!ジャカジャン!!』
「はへ?」
何故か巨大なルーレットが出てきて、回り始めた。
しかも何故か絵柄が2つしかない。
ゴリラとバナナ、何か嫌な予感しかしないんだけど……。
そして矢印はゴリラの絵柄を指して止まった……。
【ゴリラ武器「ゴリラグナロク」が顕現されました。】
そして武器は私の手の中に現れたのです……。
ゴリ……ラグナロク?
あの北欧神話の??
世界の終わり的な??
っていうか顕現とか、やけに物騒な現れ方なんだけど!?!?
『古代ノルド語で「偉大なる神々の運命」という意味です。』
「つかこれ絶対ヤバい奴だよね!?
剣なのに途中にから剣先っぽいのがいくつも生えてるんですけど!?」
『仕方ありません、まだレベル1なので我々に選択権はありません。
良かったですね、最強の類の武器だと思われます。』
「いやいやいやいやいや、これ絶対振ったら
大変な事になったりするやつじゃないの!?
名前からして危ないんだけど!?」
『仕方ありません、ゴリラ武器の殆どは
「ゴリラ」から始まるとされているようです。』
ゴリラ?
ラの間違いでは無くて??
『「ゴリラ」です。
もしくは「バナナ」の2択のようです。』
それは2択と言わないからね?
っていうかラかナって超狭くない……?
『どちらにせよ、武器に選んでいる立場と
状況では無い事はお解りですよね?』
「ぐぅ………。」
この武器、超振りたくないんだけど………。
しかしこんな素早いゴブリンが大量では
とてもではないけど1匹1匹捕まえるのすら
敵わない訳で、結局振るしかないと
私は構えて、ゴリラグナロクを袈裟に振り抜いた。
「そのまま逆袈裟ぁ!!」
振り向いて、反対側も振り抜いた。
「嗚呼、やっぱり……。」
森だった場所は、振り抜いた形に木が倒れ
そして小さなゴブリン達は見るも無残な状態になっていた。
当然、森の木々は滅茶滅茶で
もしその中に人が居たら、とゾッとしたけど
ニクジュバンニ曰く、被害者は居ないらしい。
どうやって知ったのかは知らないけど……。
「遥か遠くまで見通せるわ……。」
その破壊力、と言うより超遠くまで
切ったのだかなんだか良く解らない
ゴリラ武器「ゴリラグナロク」。
私はそっとその武器をゴリラコンテナに仕舞い
二度と使わない事を誓った上で
暫くの間アブラハムナカの町から出ない事を決めたのです。
「そういや聞いたか?」
「ん?もしかしてホーキテの話か?」
「ああ、なんでも森の木が大量かつ
斜めに切られていたとかなんとか。」
「大方、人外級の連中がやったんじゃねぇか?」
「そんな奴、この辺に居たか?」
「どうだろうな、俺達上級に人外級の連中の
やる事なんて解らねぇし、常識も通用しねぇからな。」
「そりゃ確かに。」
駄目だ、アブラハムナカに居ても
あの森の惨状の話ばかりじゃん……。
ここはハリーバードに行くしか!!
「そういや聞いたか?」
「ん?もしかしてホーキテの話か?」
「ああ、なんでも森の木が大量かつ
斜めに切られていたとかなんとか。」
「大方、人外級の連中がやったんじゃねぇか?」
「そんな奴、この辺に居たか?」
「どうだろうな、俺達上級に人外級の連中の
やる事なんて解らねぇし、常識も通用しねぇからな。」
「そりゃ確かに。」
ってお前ら!!
アブラハムナカに居ただろうが!!
っていうかわざわざハリーバードまで来て、全く同じ話するな!!
人の噂も七十五日、とはよく言ったもので……。
と、言うより謎のSランク冒険者が
必殺技能の練習をした結果だの
魔王復活だの、邪神復活だのある事ない事が入り混じった結果
最終的に噂は「神様がお怒りになられている!」だのといった
宗教混じりっぽい噂となり、一応は消えていったのです……。
『興味深いですね、何故ここに邪神復活という
知られていない話が湧いて出てきたのか……。』
うん、お願いだからそこ触れないようにしようね?
下手に触れて、私がやったとか言う話になったりしたくないからさ……。
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つけていただけると、作者が一喜一憂します!