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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第3章 サンディング王国編
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第26話 G、ついにお肉を手が届く。

「嬢ちゃんやるな……。」


「あ、モドン隊長。」


「Sランク相手にあそこまで出来りゃ十分だ。」


「まぁ……、ってそれどころじゃなかった!」


「どうした。」


「魔物の解体を頼まないと!」



 モドン隊長に解体所に案内してもらうと

 まぁ凄い匂いがしたのです。


 血の匂いが強いけど

 それとは違う、謎の臭さ。


 思わず顔を歪めていると

 奥から1人の男性が出てきた。


「なんだ、モドンじゃねぇか。今日はどうした?」


「ああ、少々変わった格好の嬢ちゃんの町案内だ。

 ついさっきFランク冒険者になったばかりで

 なんでも解体してもらいたい魔物がいるとかで

 連れてきたって訳だ。」


「その皮は大猩猩の子供か?

 随分と思い切ったものを着こんでるな…?」


「ええ、出来れば私自身は着たくないのですけど

 防具としては優秀なので……。」


「で、獲物はなんだい?」


 と、仰ったのでオークを2匹出したら

 「駆け出しなのにやるじゃねぇか」とお褒めをいただいたので

 オーガを2匹出したら黙りこくって

 ジーっと赤オーガと青オーガをじっくりと観察していた。


 不思議がっているとモドン隊長が

 この方は元モドンさんと冒険者として

 PT(パーティー)を組んでいたヘルマンさんだそうで

 一度こうなるともう駄目な性格らしい。



「赤いオーガに青いオーガだなんて

 珍しいなんてもんじゃねぇぞ?

 こいつ珍しい魔物を見るといつもこうだ。

 暫く放置しとくしかねぇ。

 その間に商業ギルドに行った方が得策だ。」


 モドン隊長がそういうので商業ギルドへと移動する事に。


「また試験……。」


 商業ギルドでは実技ではなく、筆記試験があった。

 ニクジュバンニに読んでもらい

 簡単な四則演算とか、鶴亀算とか。


 試験そのものは簡単だった。

 問題は文字の方だった。


  『アラビア数字は地球でもかなり共通して

   使われていると思いましたけど?』


 あんたどこに目ぇつけてるのさ……。

 これアラビア数字じゃなくてアラビア語じゃないの!?

 私的にはなんとなくヒンディー語とかが

 混ざったようにも見えなくも無いんだけど!?!?


  『まごう事無く、アース語の数字表記です。』


「こんな複雑な形、書けるかぁ!!………あ。」


 思わず数字の形の難解さに、匙を投げそうになった。


「あの、口頭での回答も受け付けていますがいかがしますか?」


「おねしゃす!超おねしゃす!!」


 結局、口頭で答える事となった。

 他にも筆記試験をしている人が居たけど

 全員違う問題、というよりは何百通りと存在していて

 同じ問題は書かれていないそうで

 特に口頭で答えた所で問題は無いのだとか。





 結果は満点をいただき、冒険者になると共に

 商人にもなる事が出来た。


 どちらもしっかり登録費と試験代を取られたけど

 それでもこれから稼げば取り戻せる額だし

 あまり気にはしていなかった。



「あとは解体所だが……、元に戻ってると

 良いんだけどな……。」





「こりゃ駄目だな……。」


 解体は始まっていた。

 但し、無言で黙々と作業していて

 モドン隊長が殴れど喚けど微動だにせず

 むしろこの人、超強いのでは??と思うほどだった。


 頭蓋骨でも折れるのでは、と思う位には

 激しく殴っても全く反応しないし

 むしろ元々何ランクの冒険者かすら気になる。



「うーん………こいつこうなったら

 どうにもならねぇからな……。

 嬢ちゃん、肉が欲しいなら肉屋で買うってのはどうだ?」


「はい……?」


 この辺りは冒険者の強さの平均も高く

 オーク辺りは比較的安価で売られているのだとか。


 その言葉にお肉屋さんへと向かうと

 確かに安かった……。


「100グラム銅貨1枚……。」


 本来オーク肉はこんな値段で買える事はまぁ無いのだとか。

 それがここでは日本のスーパーではあるまいし

 100グラム100円という値段で売られていた。


「まぁこの町はどちらかと言うとオークは供給過多だからな。」


 本来ならこんな値段で売られる事もないそうで

 腐らせる位なら、と投げ売りに近く

 こんな状況が長く続いているのだとか。


 むしろここでは野菜の方が高く

 果実はもっと高く、魚介類はもっと高いのだとか。


「まぁ海に近い分、野菜は潮風のせいで

 少し離れた場所までいかないと育たないからな。」


「でも海に近いのに魚まで高いってのは……。」


「そりゃあれだ、この辺りは殆ど断崖絶壁だからな。

 海に面していると言っても精々無主地のハリーバードの港町が接している位で

 あとはかなり遠くまで海になんざ降りられやしねぇ。」


「で、そのハリーバードの港町とやらは?」


「あそこに行くにはホーレルヒ王国を通過しねぇとならん。

 ホーレルヒ王国が多額の通行税をかけている以上

 海のものを手に入れるなんざ割に合わんし

 何よりなぁ……。」


「何より?」


「あー………まぁいいか……。」

 モドン隊長が頭をガリガリと掻きながらも

 実情について教えてくれた。


 この辺りは海に面しているが故に

 どの国も海面近くまで断崖絶壁を掘削して

 下に降りられるようにとした時期があったらしい。


 しかし問題はこの崖の岩肌などが異常なまでに硬かったりと

 掘ろうにも掘れなかったという事実があるのだとか。



「特に塩なんざ、国にとっちゃ戦略物資の1つだ。

 他国より買うよりは自国で作れる方が良い。

 だがそこまで掘るにも何年かかるかも解らねぇ上に

 過去に死者すら出た事があって

 どの国も二の足を踏んでるってのが実情だ。」


 なんでも独裁に近い国が無理矢理掘らせた事もあったけど

 途中までは異常に硬いのに、突然柔らかくなったりして

 何度も崖が崩れて、その度に新しい場所を掘ってと繰り返した結果

 どこを掘っても掘れない、という結論に達した上に

 それによる死者が膨大になりすぎて

 いわゆるクーデターが起きたのだとか。



「魔導飛空艇とかで空飛んで、なんて考えた国もあるらしいが

 結局採算が取れないってんで皆諦めている所だ。」


「へぇ……。」


  『マスター、また悪い顔をしていますよ?』


 悪い顔だなんて酷い事を……。

 誰も私のようにあの崖を登ってくる人は居ないのであれば

 これを商機、と言うのでは無いだろうか。


「それはそれは……。

 で、お肉はどのくらい売ってもらえるんですかね?」



「え?」


 お肉屋さんの前でモドン隊長と話していて

 突然話を振られたお肉屋さんは

 オーク肉ならトン単位で魔導冷蔵庫や魔導冷凍庫で

 保管されているとの事なので

 私はある程度まとまった量を買う事にした。


 いや、だって安いし?

 それに何より解体所がまともに機能していない現状

 あのオーク2体のお肉が私の手元に来るのは

 いつになるか解らないからだった。



「嬢ちゃん………あんたやっぱり貴族か何かか…?」


「庶民ですが何か?」


「庶民、な………。」


 その後も市場を荒らすように買い物をした私。


 こんな行為をしているといつかどこかで変な虫が付く。

 そんな事が起きるようですが

 それはまた後々の話となるようです……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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