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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第3章 サンディング王国編
25/178

第25話 G、戦いの結末。

・リラ視点

「負けた………。」


 エドワードさんがどういう意図で

 どう私を判断しているかは知らない。


 だけど、私は私の中でやれる事は

 考えなしながらにやった気がする。


 だけど最後のは駄目だった。

 予想通り、というか

 ニクジュバンニが言っていた通り

 あの盾は蛇腹盾であり、その隙間から

 蛇腹剣の剣先が私に伸びてきた。


 そしてそこに私の上から振り下ろした拳が

 しっかりと当たった。


 だけど凄いな、エドワードさん。

 自分が滑ったバナナの皮を

 まさか足で蹴って、私の足元に飛ばして

 私が滑るように仕向けたのは感服するしかなかった。


 お陰で私は足を滑らせ、確かに拳自体は剣先に当たった。

 だけどその後、私が堪えきれず

 そのまま足を滑らせた事で剣先は私に伸び

 そしてそのまま場外まで吹き飛ばされた。


 足で踏ん張って堪える事も出来ない。


 身体が全て宙に浮いていた状態で叩きこまれた私は

 途中、身を隠したり

 水を嫌がっていた「きらい」があった。


 その樽毎、私は吹き飛ばされ

 舞台から落とされたのです。





・エドワード視点


 あの少女は凄かった。

 最初の握手で俺は相当力を籠めたが

 顔一つ歪める事すら無かった。


 そしてあの打たれ強さ。

 あの水の入った樽を軽く持ち上げる力。


 多分彼女はなんとなく気が付いただけであって

 確証はなかったのだろう。


 いや……大猩猩の革を鎧として着こむなど

 普通の冒険者では出来ないものだ。


 あの1着でどれだけのお金が掛かるかすら

 考えたくない位、希少なものだ。


 このミスリィルを多く含んだ剣と盾の欠点。

 いや、俺の欠点だ……。


 俺は思った程多くの魔力を持っていない。

 そして力もそう強くはない。

 あるのはバランスのより全体的な能力だ。


 だからこそ、ミスリィルとほぼ同等の

 魔力伝導率を持つ、水が装備に付着すると

 それによって魔力が水にまで伝導していき

 そして武器の操作が乱れていく。


 ミスリィルは魔力伝導率に優れた金属だが

 同時に非常に比重が軽い、つまり軽い金属だ。


 それが重くなれば俺の魔力では操作しきれなくなるし

 軽いと言う事はいくら飛ばす事が出来ても

 ダメージを与えられない。


 だから俺は、剣先を突き刺す場所を極めた。

 呼吸が困難となる位置、欠点である点である場所。


 その技巧で俺はSランクへと到達した。

 だがこういう力を持ち、打たれ強さのある相手と言うのは

 護るのであればまだしも、1対1で戦うのには非常に不利だ。


 そんな感じに見えた彼女であれば

 まだ駆け出しであるが為に、俺の欠点を埋めるべく

 何かが見つかるかもしれない。


 そう思っていたが甘かった。

 彼女は水を撒き、俺の武器を封じに掛かった。


 だが目線を追うと、そうでもないように見える。

 多分確証は無いけど、確信はある。

 そういう目だ……。


 その結果がこれだ。

 最後は俺を滑らせた黄色い物体を

 彼女の足元まで蹴り、彼女も滑らせた上に

 俺がした事は、最後の最後。


 一切の加減なく、彼女の拳で剣先が叩かれたにも係わらず

 あの黄色い物体で堪えられなくなった胴へと

 全力で剣を伸ばす事。


 それも俺の隠し玉である、盾を伸ばし

 その隙間から剣先を伸ばすと言う方法まで使ってだ。


 それが半ば読まれている事は肌で感じた。

 だからこそ、剣先に拳を当てられた。

 Sランク冒険者だなんて言われているが

 こう駆け出しに追い詰められるだなんて

 俺もまだまだだが、それ以上に彼女そのものが強い。


 粗削りなのは否めない。

 だけど、この先が楽しみでならないし

 彼女は良い冒険者となるだろう。

 出来れば………………。


 そして俺は将来を鑑み、彼女に合格を出した。





・再度リラ視点


  『駄目駄目ですね。

   それでよくゴリラアーマーの所有者となれたものだと

   呆れるしかありませんね。』


「うぐぅ……ならどうすれば良かったのさ………。」


  『そもそもあの武器は大半がミスリィルで作られていて

   非常に軽い武器なのです。

   痛みは殆ど無かった筈ですよ?』


「………そう言われると咳き込む程苦しかったけど

 痛みって言われると殆ど……。」


  『あのような武器、掴んでしまえば終わりです。

   いくらミスリィルが優秀な魔法金属だとしても

   ゴリラアーマーを貫く事は出来ません。

   その上であのような非力と見ただけで解る

   ほぼミスリィルの鎧に盾に剣と

   軽さ重視の冒険者相手に手間取るなど

   ゴリラの恥です!』


「いつから私がゴリラに組み込まれたのかな!?

 同じ霊長類でも、人間だからね!?!?」


  『霊長類最強が嘆かわしい事を……。』


「プロレス観るのは好きだけど、レスリングしてないからね!?」


 あの実技試験の後、ニクジュバンニに散々言われた。

 ミスリィルは魔力の多い人ならいざ知らず

 中途半端な魔力持ちは水が付着する事を嫌うのだとか。


「で、結局私はどうすりゃ良かったのさ……。」


  『開始と同時に無理矢理ナックルウォーキングで

   距離を詰めれば0.9秒で相手まで詰め寄れます。

   そのまま殴るなり、ぶちかますなり

   あとはどうやっても勝てたと推察します。』


「……………。」


  『反応は出来たでしょうが、手を抜いていると丸解りで

   初見だからこそ利くものです。

   2手、3手と当たった後では対策が取られますので無理でしょう。

   Sランク冒険者だと言うのは伊達では無いと言う事です。』



「質問を変えましょうか。

 今回の戦い、本当に私の為になったのかな……?」


  『それはもう。』


「ほほぅ、及第点は貰えたと言う事で良いんだね?」


  『25点くらいでしょうか?』


「赤点ジャン!?」


 私はその後、内容などがどうだったか。

 なんて詳細を教えてもらえる訳もなく

 ただ「合格」と言われ、冒険者となったのです。


 その傍らで、何故か悔しがっている大勢の人達が居た。


  『かなり細かい賭けのようです。

   何発叩き込んだとか、そういう系統のもので

   今回はほぼ総取のようです。』


「へぇ……。」


  『何にせよ、あのエドワードと言う人物は

   気を付けるべきでしょう。』


 何故……?


 何か口に出してここから喋ってはいけない。

 そんな気がしたので頭の中で考えた。


  『あの人物からは不穏な視線を感じるのです。』


 不穏な……空気じゃなくて視線?


  『どのような意図の視線なのかは私には解りません。

   しかしこうなんと形容すれば良いのか

   解らない感じのものです。』


 なんだろうねぇ……。


 良く解らないけどエドワードさんには

 一応、気を付けるようにはする事としたのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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