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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第3章 サンディング王国編
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第22話 G と モドン隊長

「今すぐあの馬鹿を叩き起こしてこい!!」


 あれから私はバイザーを開けて

 臭い中、目の前にいるモドン隊長と話をし

 やっとこ牢から出して貰えた。



「すいませんね、寒くてついつい……。」


 嘘だ、超嘘だ。

 ゴリラアーマーを着ていれば

 あの流れの急な川ですら寒く無かったのに

 地下牢に入れられた程度で寒くなんてなる訳もない。


 だけど正当な理由の下、騒動を起こし

 牢から出してもらうと言う

 ニクジュバンニの作戦は見事に成功した。


 ここはアブラハムナカの町という場所で

 この南門の隊長であるモドン隊長は

 どうやら夜勤が主体なのだそうで

 昼間はあの副隊長とやらが南門の指揮を取っているとか。



「すまねぇな、嬢ちゃん。

 うちの馬鹿が失礼な事をして……。」


「いえいえ、私もこの鎧を着なくてよければ

 そうしたいのですが、中々性能が良いものでして……。」


「そりゃそうだろ、俺は冒険者崩れだが

 大猩猩(おおしょうじょう)とも言えば厄災級の魔物だ。

 子供の革とは言え、丈夫だろうからな。

 まぁ………そんな格好している奴見た事ねぇけどよ……。」


 それには同意する、私も見た事無いし……。





 それから叩き起こしてこい、と

 モドン隊長が言ってから30分が経過。


 ドアがノック1つされず

 あくびをしながらのらりくらいとあの男が入ってきた。


「ったく……何事でぇっ!?」

 あー、あれか。

 この隊長さん、手が早い方の人だね……。

 全部言い切る前に、もう顔面にパンチが叩き込まれていて

 そのままドアと共に、壁の方へと男は吹っ飛んでいた。



「何事?

 その前にてめぇ、言う事があるだろうが……。」


「い………いっ!?」

「いじゃねぇんだよ!!」


 あ、もう1発叩き込まれた。

 とりあえず良い気味なので、静かに見ておこう。


「きっ……貴様……のせいか……!!」


 男は昼間、副隊長と呼ばれていた男だ。

 私を睨み、原因が私にあると言わんばかりだった。


「違えだろうが!まずノックは3回だ!

 それと呼びに行かせてから何分経過していると思ってやがる!!

 30分だ、30分!!走れば5分で着くだろうが!!」


 ちょっと私が思ってたのと違う部分で怒っていた。

 ノック3回とか、いきなりパンチ叩き込むとか

 この隊長さん、なんかルールとかマナーに厳しい!?


「てめぇの親父から散々っぱら言われてんだよ!!

 サンディング王国軍、舐めてんじゃねぇぞ!?

 欠伸しながら上官の目の前に現れるだなんて

 てめぇの頭の中はお花畑か!?」


 これがここの軍隊式かは知らない。

 そもそも自業自得だし放置。


 ただ気になるのは殴る蹴るをされている割に

 思った程、怪我などをしている感じがしない……。


  『モドン隊長の技能(スキル)ですね。』


 技能(スキル)


 なんでも身体の外側を傷つけないで

 身体の中にだけダメージを通すようにしていて

 主に格闘、拳で戦うタイプの冒険者等が扱うものなのだとか。


 そうニクジュバンニが言った後

 私の視界が赤外線のカメラのようなものに変わった。


  『こんな感じです。技能(スキル)はいわゆる丹田。

   (へそ)の指3、4本分下にある位置から

   力を湧き出させて身体などに覆わせて

   技能(スキル)を撃ち出します。

   それこそロマン技のような飛ぶ剣撃なども

   この技能(スキル)の分類に入ります。』


 そう言われて良くモドン隊長を見ていると

 拳や足に湯気のような感じにもやもやしていた。


  『それが(フォース)、と呼ばれるものです。

   気やオーラとも地球では呼ばれているものです。』


 つまりそうして身体の外側には傷をつけずに

 中だけにダメージを与えていると……?


  『そういう事になります。

   まぁ内臓がボロボロになっていくでしょうけど

   癒しの魔法や回復の魔法水薬(ポーション)があれば

   簡単に治るものです。』


 今、さらっと恐ろしい言葉が聞こえたけど

 聞こえなかった事にした。



「まったく……、これだから貴族上がりってのは

 使い物にならんのだ!

 庶民を下に見てやがってよ……。

 っと嬢ちゃん、すまなかったな……。」


「いえ、もうお腹いっぱいですので……。」


 あれから30分も殴られ蹴られた挙句

 今、その副隊長とやらはモドン隊長のお尻の下に居る。


 人間椅子……。

 どんだけ軍隊って厳しいのさ……。



「良いんだよ、こいつは。

 よく確認もせずに先制攻撃した挙句に騒乱罪だ!?

 挙句に敵前逃亡だ。

 こいつ自体の首が吹っ飛んでもおかしくねぇんだ。

 それがこの程度で許してやろうってんだ。」


 ああ、確かに凄まじい速度で

 逃げていったね……、それでこれなんだ。



「で、嬢ちゃん。こんな辺境の地に何の用だ?

 その姿は冒険者に見えなくも無いが

 何より登録証(ギルドタグ)1つ見えねぇしな……。」


「ギルドタグ?」


 ギルドに登録すると貰える

 いわば地球の軍隊における認識票のようなもので

 それを首から下げて門を通るのが普通なのだとか。



「あー、これから商業ギルドと?

 冒険者ギルドに登録する予定でして……。」


「そうか、それがありゃこんな事にもならなかっただろうが

 まぁ、今更言ってどうにかなる事じゃねぇが……。

 本当に申し訳なかった。」


 私の恰好がどうであったとしても

 軍人でも無い、ただの一般人である私に

 槍を向けるだけに留まらず、魔導銃と呼ばれる

 銃器の発砲は、軍人として許されるものでは無いと

 モドン隊長は頭を下げて謝罪してきて、私はそれを受けた。


 ニクジュバンニ曰く、こういう謝罪の時は

 きっちり受け入れる事が一番重要なのだとか。


 そんな!私も悪かったですし、と言うのは

 むしろゴネに見えるそうで

 さっと受け入れるのが、相手にとっても

 厄介事が嫌な私にとっても最善なのだとか。


 その日は衛兵詰所の部屋を1つ借りて就寝。

 流石に宿がもうやっていない、と言う事もあった。


 翌日、本来であれば街に入るには通行税が掛かるそうで

 このアブラハムナカの町であれば銀貨2枚。

 日本円にして2万円と中々なお値段の税金が掛かるそうだけど

 迷惑をかけた、との事で免除されて

 ようやく中に入れる事となったのだけど……。



「で、何故モドン隊長はついてくるのですかね?」


「その恰好はどうみても街の治安が乱れる原因に

 なる気がしないか?」


「そりゃなんともごもっともなお話で……。」


 商業ギルドと冒険者ギルドに立ち寄って

 せめて登録証を首から下げていないと

 魔物だ何だと騒がれるとか。


 下げていればならない理由がどこにあるのかと思ったけど

 冒険者なら稀に山賊やら海賊に近い見た目の人くらいなら

 それなりに居る、とか言われると

 納得するしかなかったのです……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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