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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第10章 オラクル聖王国編
172/178

第172話 三平 の 階段。

 ※タイトルの階段、は怪談ではなく階段で合っています。



「とある1人の女性の話や、怖いでぇ……。

 とある所におった女性がな、家に辿り着いた時にや。

 階段にバナナの皮があってな。

 滑って転ぶ所から始まるんやで?」


「……………。」


  『……………。』


「なんだそりゃ。」


「しかもそれをやったもんは酷い事にな。

 女性が綺麗に1回転して着地した所に

 もう1つバナナの皮を置いて、確実に仕留めにきたんやで?」


「……………。」


  『……………。』


 三平め……、全部話すつもりだな?

 これは止め………。


  『させる訳がありません。

   マスターには動かないよう、ゴリラアーマーをロックしました。』


「……………。」


 ニクジュバンニめ。

 動けない処か喋る事も出来ないじゃないか……。

 腐れシステムめ。


  『話を聞き終わったら解放しますよ?』



「んでその女性は地球のとある神に1つの道具を貰い

 新たな身体を貰い、それまで住んでいた世界と

 違う世界に行く事になったんや。」


「どこが怖い話なんだよ……。」


「怖い話やで?

 何しろその道具を作った神っちゅうんは

 地球のゴリラの神で、身体を作ったんは創造神っちゅう存在や。」


「それって……。」


「解るか?リラはんのゴリラアーマーは地球のゴリラの神が創り

 身体は地球の創造神が創ったもんや。

 そんな身体に核心が埋め込まれている理由。解るか?」


「え?………さっぱり解らねぇ。」


「まず埋め込まれている理由は全てが達成された後。

 リラはんを同時に殺す為や。」


「は?」


「用事が終われば、リラはんは不要っちゅう事や。

 リラはんの核心は全てが終わると共に未起動のままでも消える。

 それによってリラはんは恐らく出血多量などで死ぬやろな。

 身体の中に空洞が出来て生きていられるなんちゅうのは

 わいもおった地球ではそれなりにありえる話や。

 しかし核心のある位置が悪すぎるで。

 確実に核心が消えればそのまま苦しんで死ぬ位置にあるで。

 わいのこの魚眼で捉えれば、その程度も解るっちゅうもんや。」


「死ぬって……。

 じゃあこいつはこの世界を救ったとしても……。」


「死ぬで、かといって放置しておけば

 邪神と言う名の元創造神が復活してくる訳や。

 どちらにせよ核心は邪神の身体の一部として

 使われる訳やから、リラはんから無くなる訳や。

 つまり、倒せようが倒せまいがいずれ消えてなくなる事を

 前提としている訳や。

 恐ろしいやろ?この世界の命運なんてあたかも関係ない、と

 言わんばかりの所業やろ?

 何しろ成功しても、せんでも良かったんやから。

 なら、何故リラはんを巻き込んだんかな?」


「何故?」


「やってわざわざ生きてるリラはんを巻き込んだんやで?

 何か理由があっておかしくないやろ。

 と、言いたいが神っちゅう存在はな。

 所詮、その世界に生きる人っちゅうもんの扱いとしては

 意外とどうでも良いんや。

 死のうが生きようがどうでも良いんや。」


「ならこいつが選ばれた理由は……?」


「偶然や。

 これまた恐ろしい事やろ!

 偶然でまるで勇者の如く、異世界に呼び出され!

 それでいて用が無くなれば始末も出来る!

 まさに神と言う存在の横暴極まりないもんやのに

 誰もそれを罰する事すらしない!

 何故?神さんからすればどうでも良い事なんや!

 でも地球の神さんが、わざわざ他の世界の為にこんな事をする。

 何か裏があると思わへんか?」


「裏?」


「やって創造神っちゅう存在は所詮は自らが管理する

 箱庭たる世界だけの事を考えれば良いんや。

 やのにわざわざ地球と言う世界とは違う世界の為に

 こうしてリラはんを送り込んだ訳や。

 しかしこれは地球の創造神はんだけで出来るような事ではない訳や。

 つまりこの世界の創造神であるガングレリが1枚噛まないと不可能っちゅう訳や!

 他の世界の神が勝手に他の世界に干渉する。

 それこそ問題になる、だからこそ受け入れる側にも

 話が通っていて、受け入れる必要がある訳や。

 なら問題はこの先や。

 地球のゴリラの神さん、地球の創造神さん、そしてガングレリ、この世界の創造神さんの

 3つの神さんがリラはんをこの世界に送る事で得られる利点はなんや?」


「利点……。」


「少なくともガングレリが受け入れる事に対しての利点はなんや?」


「……………解らねぇ。」


  『勇者が飛び散らした邪神が回収出来る可能性。

   だけどそれを妨害する行動と矛盾します。』


「妨害するだけなら最初から一番強い奴連れてくれば

 良いだけやろ。

 そもそもこの世界に呼び出された勇者は

 邪神を魔王、として倒しそしてそれは創造神だった事で

 後ろ指をさされた上、最後は地球にまでその怨念を持ったまま現れた。

 そうやな?リラはん。」


 っていうか三平。

 あんたが一番怖いんだけど?

 何全てを知ってるかの様に、というか知ってるから

 話せるんだろうけどさ。


 それを今、話しちゃうと……。


「地球の神さんとしての利点は、増えすぎた人間を

 他の世界に捨てる為や。

 それこそ住むもんが10億超える国すらあるんや。

 そして渡りをつける事で、どんどんと地球人を

 この世界に送りつけ、処分したいっちゅーんが地球の神さんの利点や。」


「……………。」


「ゴリラの神さんの利点は、そもそもゴリラは元々人間の進化から分岐した存在や。

 ゴリラの手前はギガントピテクス。

 ゴリラの先に派生したのはパン、いわゆるチンパンジーや。

 そしてアルディピテクス、アウストラロピテクスと分岐し

 現在本筋を通ってるのがホモ属、人間っちゅう訳や。

 ホモ属が増えすぎて、ゴリラの生態系は地球じゃそう多くないで。

 ならゴリラの神さんの利点と言えば、ホモ属こと人間が減った際に

 ゴリラの分布を増やす事やろうな。

 神さんってのは崇められなくなれば消える存在や。

 ゴリラの絶対数が増えん限り、ゴリラの神さんにとって

 崇めてくれる対象は増えんもんなんや。」


「……………。」


「さて、これで地球の神さんの利点が出来たと言えるで?

 ならガングレリの利点は何やろな?」


「やっぱ解んねぇ。」


 黙って聞いていたタブロクには全く見当が付かなかったようだ。


  『邪神の身体。』


「やろな、精神はむしろ封印したいやろ。

 やが邪神の神は堕ちた神なんやから

 神さんにとっては都合の良い神と同じ存在や。

 やから実際は身体を手に入れ、自分が地上に干渉したい。

 精神は分散させて起きたいってところやろ。

 本来神っちゅう存在は地上への干渉は禁忌や。

 精々精神で干渉するのが限度で肉体まで干渉しに来たら完全なアウトや。

 それをしてしまった邪神っちゅう前の創造神は邪神となり

 そしてガングレリが新たな創造神として存在しとる。

 ならどうしたいか、こんなん他の世界でもよくある事やで。

 『完璧な箱庭』を作りたいんやろ。」


「完璧な箱庭?」


「全てが自分の思い通りに進む世界、ちゅえば解りやすいやろ。

 人々は全てがガングレリの思い通りに動く。

 世界もそう動く、実にやりやすい世界やろな。

 失敗したちゅう思たら自殺でもさせりゃええ。

 ま、わいからすればなんともつまらん世界やけどな……。」


  『そんなもの、最早生物が生きているだけであって……。』


「せや、ただ生きてるだけ。

 多数派、少数派、マジョリティにマイノリティなんざ二の次。

 ガングレリがこうする、と決めた事だけが

 その通りになる腐った世界が欲しい、っちゅーところやろ。

 さて、ここで1つ残った問題があるで?」


「神の利点はもう終わったんじゃないのか?」


「リラはんが目指しているもの。

 これを忘れたら意味無いで?

 でもなぁ………それをわざわざ相手に教える程

 わいは甘くないで?」


 薪の燃える周囲を覆うように立ち尽くす6人。


「そんなものは関係ない。

 お前らはこれから死ぬ、それだけだ。」


 そう口を開いたのはそれを見つめているガングレリだった。


 その周囲に居るのは全員がオラクル騎士団。


 白羊宮(はくようきゅう)のアッシュ。

 獅子宮(ししきゅう)のレオン。

 処女宮(しょじょきゅう)のアルヴァ。

 天秤宮(てんびんきゅう)のブライ。

 人馬宮(じんばきゅう)のジリス。


「っちゅう事で、このままちょこちょこ時間掛けて

 歩いて行くより、こうして呼びよせた方が早いやろ?」


「呼び寄せた?

 貴様の様な気色悪い存在がこの状況を創り出したとでも?」


「せや。そもそもあんたらがどっしり構えて待っているとか

 罠の宝庫、宝石箱やろが。

 そんな所に汗水たらして走っていく位ならここでやった方が良いやろ?」


「やった方が良い?」


「最終決戦、っちゅう奴や。

 悪いがわいも暇やないもんでな。

 この世界の事が終われば、次の世界にいかなあかん。

 それがわいの使命やからな……。」


「はっ!たかだか邪神に堕ちた者と組む程度の輩が!

 何が使命だ!」


「わいの使命はもうほぼほぼ終わりや。

 あとはここが片付けば終わるんや。」


「ならすぐに終わる!

 貴様も含めて、一気に全てを終わらせてやる!」


 ガングレリの声に

 先程までとは別人のような目をしたアッシュ。

 またそれと同じ目をした4人が一気にリラとタブロク。

 そして三平に襲い掛かった。


 即座にリラとタブロクが1人づつへと動き出し

 三平も動き出した。


 しかし状況から言えばガングレリだけが動いておらず

 3対5の不利な人数。


「ああ、忘れとったわ。

 3:5っちゅーんは流石にハンディありすぎや。

 やから2組程、応援用意してあるで?」


 その言葉にリラが持つ石が輝き、周囲から次々と人が飛び出す。

 それぞれが不思議な姿に仮面をつけた8人。


「よう、先輩殿!助けに来たぜ!」


「なぁにが助けに来たぜ!よ!あんた、調子に乗り過ぎ!」


 それはオラクル聖王国へ乗り込む事を決意した直後。

 リラがほんの僅かな時間ながらも、地球へと勇者をシバきに行っていた際の

 手に入れたデコイであり壁役、としていた男女。


 学園の階段の主人公達であり

 彼らがあれから成長した姿だった。


 そして三平のすぐ真後ろに出来た黒い渦。

 そこから飛び出してきたのは彼女だった。


「【二重身ドッペルゲンガー】!」


 そう叫び、2人に増えた小さな女性は

 1人がハリセンを持ち、三平をぶっ叩き

 そしてもう1人は最も強いとされる人物へとまっしぐらに駆けていった。



「おいこら三平!私を顎で使おうとか良い度胸してんな!」


「何年振りでっか?セッカはん。」


「もう覚えて無いね!っていうか忘れたい位なんだけど!?」


「そらあかんやろ!

 折角作品の枠を飛び越えてきてるのに!!」


「少し前に1回飛び越えてきたばっかりなんだけど!?」


 セッカ・フォン・シード。

 通称「タネコさん」もやってきた。


 理由?


「目の前で雪乃に土下座させるとか絶対許さない!!」


「いやぁ、何の事かさっぱり解らんで?」


「これだから戦乙女といい、グランハートの連中は……。」


「で、お一人でっか?」


「まさか。」


 次の瞬間には黒い渦が次々と現れ

 この世界に存在していない巨大な金属体が次々と飛び出してきた。


 魔導機、魔導凱、アーマネントを纏う者達から

 キャメロット・ゼロ・マルチハル、カタマラン、ロコモーティブと

 呼ばれる巨大な乗り物が次々と飛び出し、オラクル騎士団を見た目だけで圧倒。


 すぐさま後逸させる程の圧力を掛ける事に成功した。


蔦大隊アイビー・バタリオン全員だよ!

 新生シード王国、蔦大隊。総員一斉攻撃エンゲージだ!」


『『『『『サーイエッサー!!』』』』』


 そんな中、ガングレリの所には9人の幼い獣人がやってきた。


「まことです!」

「ふうかです!」

「みつかです!」

「しほです!」

「いすずです!」

「ろっかです!」

「なのはです!」

「ようかです!」

「ここのです!」

「九人合わせて!」

「「「「「「「「「九尾戦隊キュウビンジャー!!」」」」」」」」」


 掛け声に合わせ、彼女達の背後には色のついた爆煙が吹きあがった。



「この位はワイらがハンディ貰わんとな。

 何しろこれから神さん殺そうって話なんや。

 この位、許容範囲やろ?」


「はっはっは!これで私もタクミと同じ神殺しかぁ!」


「わ……私の立場は?」


「主役は私がいただく!」


「エー……。」


 何はともあれ。

 唐突ながらも最終局面を迎える事となったのです。

次話、最終章へと入ります。

「学園の階段」と「天神様から始まる、異世界転生軍人譚」から蔦大隊の乱入。

どんなキャラ居たのかうろ覚え気味……嘘だと言ってよバーニ(ry


星5点満点で「面白い」や「面白くない」とつけていただいたり

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