第170話 G と 黒豚勇者 と 魚人? と
「で、なんで黒豚と変態魚が一緒に居るのかね?」
「三平や!」
「タブロクだと言ってるだろうが……。」
なんでも端折らずに説明すると
タブロクは師事すべき人物を探して旅をした結果。
三平に師事する事になったとか……。
「いや、意味解んないわ。
これが端折ったって言ったとしても説明不足すぎ。」
「せやな、簡単に言えばワイは魚人やからして
水の扱いに長けてるんやがのぅ。
これでも世界を渡る事すら出来るんやで?
空間系もそれなりに得意なんやで?」
「へー、で?」
タブロクが三平に師事した結果
僅か1週間で修業が終わり、タブロクが奥義まで身につけたとか。
「……………1週間?
1ヶ月とかのまちが……1か月でも早くない!?」
「真実だ、俺は僅か1週間で奥義まで身につけたのだ。」
「せやで?ワイの教え方が良かったお陰やな。
折角やから裏奥義も習うか?」
「っ!?」
「まぁまぁ、ワイの初めての弟子や。サービスしとくで?」
「え………遠慮し「何やて?」……遠慮「何か言ったか?」」
「………え「聞こえんなぁ!?」……。」
何このやり取り。
っていうか習うのに何でタブロクが超ビクビクしてんのさ……。
「それよりあれ、放置しといてええんか?」
唐突に三平が指さした先にはまるで「あし〇ら男爵」みたいに
左右にくっきりと分かれるように半分がバフォメット、半分がミノタウロスっぽい
カプリもウララ?が居たのです。
「なんか喋ってる?ボディランゲージでギリ何か言っているのは解るけど
2人が1つになっても顔に穴空いたままだからね?
口が無いから喋ってるのか、手なんかの動きが無かったら解らないからね?」
それでも何か言っているけどよく解らなかった。
しかもよく聞くと2人が同時に喋っているようで
微妙な声の高さの違いがあるものの
そもそもこの世界の言語ですら無いようにしか聞こえなかった。
「どちらにせよあんた達の母なる核心をこの手で握りつぶさないとね……。」
やはりあし〇ら男爵のようになったカプリとウララは
何を喋っているのか解らないだけでは無かった。
どうも動きが酷くおかしい。
「あれやないか?左右で意思疎通とか出来てへんから
上手く動けないだけやないか?」
「そう言われるとそんな気がしなくもない……。」
多分三平の言う事が正解だと思う。
何しろ左右の身体がお互いに反対側を殴ってるし……。
っていうか私、手出さなくて良くない?
それぞれの顔がもうボッコボコなんだけど??
「いや、いくらなんでもお互いの母なる核心なんぞ
引き抜いたりはせんやろ……。
ましてや壊せるのなんてあんさん位やで?」
「でも邪魔するのも悪いよね……。」
「せやな……。」
争いは同じレベルでしか、と言う半ば名言の様な
あの言葉が今、目の前で起きていると思えるほどに
どっちもどっち、と言うべきか釣り合っていると言うべきか。
『『ってなんであんた達くつろいでるのよっ!!』』
「なんか言った?」
「なんか言いよった?」
あまりに長い間争っているものだから
暇だった為に三平、タブロク、タルタルーガと
食事をしたり、遊んだりと一応待ってみたのです。
まぁ、相変わらず何て言っているのか私は解らなかったけど
ニクジュバンニが多分こう言っているだろう、と
解析した結果をニクジュバンニが代弁した内容が聞こえてきたのです。
「なんで寛いでるって言われてもねぇ……。
そもそもあんた達なんで争ってるのかね?
それに暇すぎるっていうか今何時だと思ってるのかな?
もう夜だよ?空見てみ、真っ暗くらだよ??」
あまりに長い争いの結果、日は暮れもう夜なんです。
既に真っ暗すぎて火も起こして焚火をしつつ
お茶を飲んでいた真っ最中。
あとあまりの暇さ加減にタブロクは三平から
裏奥義とやらを習わされていたけど
途中で断念し、今は地面に横たわっていて
声すら出せない位疲弊しているんだけど
私が見ている限りは
ただスクワットしているようにしか見えなかった。
「で、あんた達どうすんの?」
『『あんた達を殺してから決める事にしたわ!!』』
え?こんだけ時間掛けて決めるような事??
「いやいや、こんだけ時間掛けて決める事ちゃうやろ……。」
「ほんそれ……。」
『うるさいわね!!』
『この状態ならあんた達をあっという間に片づけられるんだからね!!』
『そうよそうよ!片付けた後はどちらがアッシュ様の寵愛を受けるに
相応しいかを決めるんだから!!』
「今頃、他の女とよろしくしてるんじゃないの?
確か12星座ならあと1人居るよね?乙女座とか乙女座とか。
あと乙女座とか。あー、処女宮って言った方が解りやすい?」
『『アルヴァ!!』』
あ、やっぱり?
確か黄道12宮、12星座って男女が半々だった筈。
ここに2人居て、キャサリン、ピオーネ、ビスケッティが既に居ないから
あといるとすれば乙女座だよね?
『あの女郎!!』
『私達がアッシュ様の為に頑張っている間に!!あの筋肉女!!』
筋肉……?
『待って!あの筋肉女がアッシュ様に!?』
『………………無いわね。』
「ないんかい!」
『すっかり騙される所だったわ……。』
『あの大猩猩女、私達を騙そうだなんて!!』
「あれで騙されてたら、あんた達ゴリラからの
詐欺メールですら食いつきそうだね……。」
『『そんな訳ありません!!』』
これまでの争いと、動きのバラバラ加減が嘘のようだった。
半身がミノタウロス、半身がバフォメットな2人が
私にまっしぐらに突っ込んできた。
「しまっ…。」
少々暇な時間が長すぎたからか、私は油断していたと思う。
何しろ腰を落ち着けて焚火の前に座りつつ
後ろを振り返るように喋っていた状態の所に
2人は突っ込んできてしまったからだ。
そして2人は……。
バクンという音と共に消えたのです。
「タルタルーガ!?そんなもの食べたらお腹壊すよ!?」
首だけ出していた所をタイミングよくバクン、と……。
「っていうかリクガメだから草食だよね!?
バナナあげるからペッ、しなさい!ペッ!!」
ペッ。
「うわぁ……。」
これは駄目だ……。
モザイク処か海苔じゃないと絵に出来ない程に酷い。
唯一しなくてよさそうなのは……無いね。
タルタルーガは咀嚼したものの、一切飲み込まないで
全てを吐き出したのですけど
まぁ本当にバラバラのグチャグチャと言うか
これ以上、言葉にするのすら戸惑うレベルの
真っ赤に染まった肉塊が吐き出された、と言うべきかもしれない。
母なる核心は形はそのままだけど
姿そのものは色々なものがくっついててやばい絵面だよ……。
「なんか労せず、母なる核が2つ手に入った気が……。
ちょっと触って破壊するのがノーサンキューって感じだけど……。」
「ええんやないか?
あんさんの目的はこれを握りつぶす事であって
楽に手に入ったならそれはそれでええんちゃう?
過程はどうでもええやろ、結果が全てやで?」
「いいのかな……?」
とりあえずあっさりと2人を倒したタルタルーガには
口直し用のバナナをたっぷりと与えた。
吐き出した後には苦虫を潰したような感じの顔だったので
多分美味しくなかったんだろうね。
核心の残り数:63
母なる核心の残り数:7
邪神の復活まで残り:4500年
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