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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第10章 オラクル聖王国編
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第169話 G と カプリ と ウララ と…。



「よくも騙してくれたわね!?」


「この毛だらけ女が!!」


「いやいや、なんで1時間も気が付かないでやってたのか

 むしろ理解に苦しんでる真っ最中なんだけど?

 むしろ追いかけてくるの早いね……。」


 カプリとウララは騙され、私が無視してオラクル聖王国へと

 向かっているのを怒りながら追いかけてきて

 私は非常に不利な2対1の状況、さらには

 先程よりも猛攻とも言えるような激しい攻撃の中

 本当に避けるだけで手一杯の状況になったのです。


「私達の乙女心につけ込むなどありえませんわ!?」


「私達でこの毛だらけの化け物を殺すしかありませんわね!?」


「え?でもそれが終わったらまたアッシュとやらを巡って

 争うんだよね?」


「…………………。」


「…………………。」



  『やはり馬鹿、なんですかね?』


 私を倒したとして、殺したとして。

 結局この2人の火種はアッシュとやらとの三角関係、ですらない

 多分それぞれの一方的な恋心?とやらが解決する訳でも無い。


 なら使える所まで使い倒そう、と言うのが私なのだけど……。


「それはそれ、これはこれですわ!!」


「そうですわ!考えるのは貴方を殺してからで良いのです!!」


「チッ、都合よくはいかないか……。」


  『僅かに考える辺り、この2人。

   やはりダメダメですね……。』



「どちらが先に殺すかで勝負ですわ!!」


「ええ!先に殺した方がアッシュ様と結ばれた後

 聖都にて結婚式を華々しく挙げるのです!!」


 エー、なんかアッシュが超巻き込まれてるけど……。


 ま、いいか。


 私の知った事ではないし……。



 これが本当に競い合いでなら多分、私は殺されていただろうと思う。


 何しろ目の前で行われているのはどちらが先に殺すか、より


 相手の足をいかに引っ張り合うか、と言う見るに堪えない争いだったからだ。



「もらったわ!」


 ウララの槌が私の上に落ちるかと思えばカプリの鎌がそれを遮る。


 そもそも競い合いなのだから、槌の下に鎌の先端を下向きに入れて


 槌の威力を足して私に鎌を突き立てれば良いだけの事だ。



「カプリ!!なんで鎌が上を向いていますの!?」


「あら、ごめんなさい。手元が狂ってしまったわ。」


 完全に妨害だ。

 鎌の先端が上向きになる事で槌を滑らせて

 私に当てようにも鎌の刃が邪魔で一度持ち上げなければ振り下ろせない。


 そして逆パターンも……。



「ここよ!」


 今度はカプリの鎌が私の首の後ろ側から手前側へと向かってくる。

 これでは首に大きなダメージが……。


 そう思うと今度は槌が私の顔の真横を通り過ぎ

 鎌へと当たった。


 私の顔に当てれば後ろにある鎌と合わせて大きなダメージが生まれただろう。


 だけどそれでは鎌の刃で私の首が落ちるとでも思ったのか。


 そして鎌の刃で切れればカプリが勝つと思ったのか。


 ウララは完全に槌から手を放し投げつけて


 カプリの鎌が私に当たるのを邪魔していた。



「ウララ!貴方折角のチャンスになんて事を!?」


「あら、ごめんなさい。手元が狂ってしまったわ。」


「何で手元が狂って槌が飛んでくるのかしら!?」


「手元が狂った、と言っているではありませんか。」


「それは手元が狂ったのではなく、精々手が滑ったとか言うのではありませんか!?」


「ああ、そうかもしれないわね。

 手元が狂って、手が滑ったのよ。ごめんなさいね。」



 何この醜い争いは……。


 最早、完全に妨害競争へと変わっていて

 致命的に見える私への攻撃は、必ずどちらかが邪魔する。


 間違いなく頭が悪いとは思うんだけど

 ウララに関しては序列2位、と言うだけあって的確に攻撃してきて

 致命的とも思えるチャンスがカプリより多い。


 だけどそこをカプリが邪魔するし

 カプリの少ないチャンスは的確にウララが潰す。



  『この2人は恐らくアッシュとやらにマスターを殺して

   2人でその手柄を分け合うとか。

   そういう考えは無いのでしょう、実に愚かです。』


 うん、それは解ってるけど

 致命的な攻撃をもう何度となく食らいそうになっている私としては

 それに気が付かないふりをして、なんとかしてこの2人には

 互いにやり合ってもらいたいんだよね……。



「はい、はい、はい、そこまでやでー。」


 そしてどこからともなくやってきたのはまたか……。

 魚人?の三平だった。



  『天神様でもそうでしたが、魔王と三平は

   唐突に出現させても全く問題ないキャラですから。

   使い勝手良さそうですよね。』


「一体何の話さ……。」



「はいはいはーい、そこの素敵なお嬢さん方!

 男性を巡って争うなんて事、お二人には似合いませんで!」


「うるさい、この魚野郎!!」


「臭い!この魚野郎!!」


 出てきて数秒、三平はカプリとウララの槌と鎌の

 合体攻撃、とでも言えるような協力プレイによって

 あっという間に星のように空の彼方に消えていったのだった。


 しかもカプリの鎌の峰をウララの槌を叩くように。

 どちらの攻撃もしっかりと三平に加わるその一撃は

 私が懸念した攻撃だった。


「…………………。」


「…………………。」


「「これよ!!」」



「そうね、この毛むくじゃらは2人で倒して2人で手柄にすれば良いのよ。」


「そうね、それなら公平よね。」


「「そういう訳で、死んでもらうわよ。」」


「この糞魚人!!三平おまえのせいで私がしゃがみ大パンツじゃない!!」


  『もうゲ〇メストは廃刊になってますし

   それはしゃがみ大パンチの誤字ですからね。』


「ではさようなら、大猩猩。」


「来世で合えるかしら?ムダ毛処理はしときなさい。」


 カプリとウララの2人が先程の三平に放った様な一撃。


 それを再現するかのようにカプリの鎌が先を取り

 そこにウララの槌が峰打ち、一気に私に向かってきた。


 そして2人の攻撃が完全に振り抜かれるのに合わせ

 私は目を瞑ってしまった。



「…………………。」


「…………………。」


「「なによこれ!?」」


 その声に私が目を開けると、まぁ痛みも何も無いのだから

 攻撃が当たらなかったか何か、と思うと

 カプリの鎌も、ウララの槌もそれぞれ刃と槌部分が無くなっていて

 それぞれの柄だけを握っている状態だったのです。



「ちょっと!?これオリハルコンなのよ!!」


「こっちだってオリハルコン製よ!

 ヒヒイロカネでなければ壊れないこの鎌が何で切れてるのよ!!」


「それはこっちの台詞よ!オリハルコン製の槌が折れてる訳でも無く

 完全に切れてるのよ!

 あんたの鎌を槌で切る事は出来ないけど、あんたはこの槌切れるわよね!?

 あんた協力するって言って、結局1人で手柄を手にして

 アッシュ様に何か褒美を求めるつもりだったんでしょ!?」


「そんな訳ないでしょ!?私、序列10位よ!?

 ウララの槌なんて同じオリハルコンでも切れる訳無いじゃない!!」


「でも実際に切れてるじゃ無いの!

 私は叩いて潰すの!あんたは切るんでしょ!?

 ならあんたがやる以外、誰がやるのよ!!」


「そりゃ俺が殺ったもんだ。」


 その声の主を私は知っている。

 黒く、そして両手に短剣を持つその豚を………。


「豚じゃねぇ、オークビッツ族のタブロクだ。」


「いや、知ってるけど?」


「知ってるなら豚呼ばわりする必要はねぇだろ。」


「いや、まだすぐに切れたりするかなぁと思って。」


「そういう子供染みた事は辞めたんだ。」


「へぇ……。」


 オークビッツ族の亜種でもある黒いオークビッツ。

 非力だけど素早さに特化したオークにも似ているけど

 キチンとした1種族であって魔物ではない。


 これまで見てきたタブロクとは違い

 妙に落ち着いているなぁ、って感想くらいしか湧かなかった。


「お前………まぁいい。

 で、そこのドブス共。

 俺はこいつ(リラ)に用がある。

 邪魔だからさっさとどっかにいけ。」


 ドブス……。

 いや、悪いけどバフォメットにミノタウロスに

 美人かどうかの判断がつかないんだけど?



「喋るオーク風情が私をドブスですって!?」


「その発言、すぐに取り消しなさい!!

 そうね……絶世の美女と言うなら許さなくも無いわよ?」


 いや、カプリは顔見てるけど

 まぁ美人さんの部類だとは思うけど、絶世の美女という訳では……。


「そこっ!今絶世の美女ではないと思いましたわね!?」


「まぁ絶世ってのはちょっと。

 美人だとは思ったけどさ……。」


「あら、素直なのは良い事よ。だからと言ってアッシュ様の命。

 貴方を見逃しはしないのですけどね。」


「時間は与えた、だが逃げもしなかったのだから

 死んでも構わないだろ?

 どちらにせよそいつ(リラ)の敵なんだろう?」


 そうやらタブロクはこの2人に

 二度と喋らせないようにしたのだろう。


 何しろカプリもウララも顔が無くなっていたからだ。


 それぞれの山羊顔に牛顔が無くなり

 変わりに頭のど真ん中にほぼ真ん丸と言って良い位の穴が開いていた。


 私には何をしたのか全く分からないけど

 何かしたのであればタブロクがしたのだろう、と思った。



「わいやで!!」


 その声の方を見ると、カプリとウララの穴が開いた顔の中に

 例のカツオ頭……。


 三平の頭だけが何故かカプリとウララの顔の中の両方に居たのでした……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」とつけていただいたり

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