第168話 G と 執拗なる追手
「あああああ!もうウザい!ウザい!
お〇ぎとピ〇コよりウザいわね!!」
あれからやっと陸にあがった、と思えば
またオラクル騎士団。
しかも今はバフォメットとかいう山羊の魔物の姿をしている
磨羯宮のカプリとかいう女だ。
あのアッシュにお姫様抱っこされていった癖に
あっという間に戻って来るとか……来なくて良いのに。
「アッシュ様の為に!!」
「何がアッシュ様の為に!!だ!!!
あの野郎、何が『この場は退散させてもらう。
次、相まみえる時には正面から排除させてもらおう、キリッ!』だ!
速攻あんたを仕掛けさせてきてて、相まみえる気全く無いジャン!?」
『マスター、特に「キリッ!」はしてなかったと思いますよ?』
「いいんだよ、その辺は適当で!」
カプリはとにかくバフォメットとかの姿が大きく
さらに巨大な鎌を振り回してくるから
ニンジャフォームで避けるだけで手一杯。
ミニゴリラを総動員して、こちらの数を増やして
なんとか拮抗できる程に、とにかく動きが早い上に
鎌の一振り一振りが重く見える。
何しろ先程から地面に当たれば、大きく揺れる。
避けてもさらに後方までその斬撃が飛んでいて
木も数本まとめて切れる始末。
ならその分脆いか、と思えばなんとか攻撃を当てても
硬すぎてむしろ殴っている私の方が痛みを感じるような
間隔がする位……。
「これだから化け物って嫌いだよね……。」
「あら、化け物に化け物と言われる謂れはありませんのよ?」
「そもそもその縦ロールが最早、化け物でしょうが!!」
見た目はバフォメット。
だけど何故だか頭髪が縦ロールで
髪だけお嬢様で、残りが山羊顔人身。
しかも下はブーメランパンツでもっこりしてるとか
これを化け物と呼ばずして何と呼ぶべきだろうか……。
「全身のムダ毛のお手入れもしない化け物に
言われる筋合いなどありませんわっ!!」
「ゴリラの体毛をムダ毛扱いするな!!」
「その絶壁のような胸だけムダ毛の処理しておいて
一体どこがムダ毛ではないのやら。」
「ここだけ元々生えて無いだけだよ!!」
「あら、その幼児体形でアッシュ様に見せつけようだなんて
邪な考えかと思えばそこだけ生えないとかお子ちゃまかしら?」
「なんだとぅ!?」
『マスター、煽ろうとして煽られてどうするのですか……。』
「くっ、悔しくもなんともないんだからねっ!?
絶壁上等!幼児体形上等!これが私なんだからね!!」
「あらぁ、そんなに気にしているのかしら?」
「そういうあんただって絶壁じゃないか!!」
「あら、私脱いだら凄いんですよ?」
「……………そういう良い訳の手があったか……。」
『何を言い負けてるのですか、マスター……。
ゴリラアーマーを脱いでも殆ど変わりませんからね?
絶壁は絶壁でしかないのですよ?』
「絶壁言うな!」
「ああ、でも脱がなくても変わらない方もいらっしゃるわね。」
カプリだけだと思っていた私がカプリの視線が
私の真後ろにある事、ほんの僅か目線がズレている事に気が付いた時には遅かった。
真後ろから何か硬いものに殴られ
私は森の木々をなぎ倒すように吹き飛ばされたのです。
「あら、カプリ。魅力的な私の話をするのは構いませんが
せめてその目線で気が付かれているのだけは
なんとかしなければ、序列が10位から上がる事はありませんわよ?」
「お気になさらずに、私はアッシュ様の寵愛が受けられれば良いだけの事。」
「それはこの私、序列2位の金牛宮のウララの役割よ?カプリ。」
金牛宮のウララ。
その姿はミノタウロスそのもので、巨大な槌を持っていた。
「私が手を焼いたのはジェスターを罠にかけ、母なる核心を
2つ持ったアクオルスのみ!
それに先程はアッシュ様に抱き抱えていただいたのです!
つまりアッシュ様の胸の中は私、カプリが居るべき場所なのですよ!」
「あの程度で自慢するとは愚かね。
私なんて毎日のようにこの豊満な身体を使い、アッシュ様に尽くしているのよ!?
序列10位の貴方程度の矮小な娘がたかだか抱き抱えられた位で何だというのですか!!」
「何が豊満な身体を使ってよ!?
ただ毎朝のミルクをその身体で絞り出しているだけで
朝食の1品を出しているだけじゃない!!」
その頃のリラ
「うーん、一瞬卑猥な話でR15を突き抜けるかと思えば
ただの牛乳談義だったりとか、何がしたいんだかね………。」
『さぁ、恋する乙女のなんとやらではないのでしょうか。
それとも三角関係の縺れ、とでも言うべきでしょうか。』
「んー、あんまり相手にされてない気がしなくもないんだけど……。」
「なんですって!?」
「今、聞き捨てならない言葉が聞こえましたわよ!?」
リラの目の前にはカプリとウララが迫っていた。
「いやだってさ、そもそも2人共アッシュとやらに告白でもしたの?」
「そんな事をせずともアッシュ様は既に私にメロメロですわよ!?」
「何を言っているのです!アッシュ様は私と共に歩んでいるのですよ!!
貴方のような縦ロール山羊になんてアッシュ様が好まれる訳が無いでしょう!?」
「それこそ聞き捨てならないわね!?この乳牛女!!」
「いっその事ジャンケンで決めたら?」
「そうね!それは良い考えね!負けた方がアッシュ様から退くのよ!!」
「貴方こそ負けて泣かないようにしなさい!!」
それから30分……。
「絶対あの2人、馬鹿だよね?」
『山羊も牛も蹄が2本なのですからチョキ以外出ないのに
何故じゃんけんで決めるのが良い案だと思ったのでしょうか……。』
「頑張ればグーくらいは出せそうだけど……。
延々チョキでアイコなのに、よく30分も続けられるね。」
『恋する乙女の何とかでは無いのでしょうか。』
その後、さらに30分。
延々とチョキだけが出て、あいことなる勝負が続いていた時だった。。
「かっ……カプリ……。」
「なっ……何よ……ウララ……。」
「さっきからずっとチョキしか出してないじゃない……。
そろそろパーとか出した方が良いんじゃない?」
「あら、貴方こそパーを出せば良いのでは?
それともグーかしら?」
「ん?」
「あら?」
「…………………。」
「…………………。」
「まさか!?」
「私達!?」
「「騙されてる!?」」
2人が気が付いた時。
すでにリラは隙を見てさっさとオラクル聖王国へと向かっていた。
尚、決して2人が入れ替わったりはしていない。
カプリもウララも何故か勝負に熱中し
リラが居なくなっている事に気が付かなかったのだった。
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