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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第10章 オラクル聖王国編
165/178

第165話 G と 巨蟹宮 の キャサリン



「おおおおおおおおおお!!」



「ぬおおおおおおおおお!!」



 この巨蟹宮のキャサリンとやら。

 水が得手なんだろうけど、魔法と言うよりは

 完全な物理主体かな?


 まぁ蟹なので真っ向勝負、と言うのはおかしいけど

 横移動となると先程とは比べ物にならない速度で移動して

 さらには甲羅の堅さも先程挟まれた際に感じた感触よりは

 少々硬くなっている感じがする。


 ただ海中という名の水中戦だけに

 私のパンチも速度が遅く、威力も削げている上に

 キャサリンは周囲の渦で動きが引っ張られたりしている私に対し

 ヒット・アンド・アウェイな仕掛けては退くといった

 妙に消極的な戦い方をしていたのです。



「気勢だけはある割に、随分消極的だね……。」


「はっ!あんたみたいな化け物相手に、真っ向勝負とか御免だね!

 こっちは一撃入れりゃ良いんだからね!」


「一撃、ね……。」


 なんとなく頭に過ぎった内容をニクジュバンニに確認してもらうと

 間違いはないようだ。


「あんた、っていうかあんた達だよね?

 12星座の水属性は全部で3人、水瓶座(アクエリアス)

 宝瓶宮(ほうべいきゅう)のアクオルスは既に居ないから

 あといるのはあんたと……蠍座(スコーピオ)天蝎宮(てんかつきゅう)だね?」


「馬鹿か!サソリが水の中等泳ぐか!!」


「あー……私、昔はミロって人を調べた事があってね……。

 世代的にも丁度だったし?」


「ミロ?」


「ああ、なんでもない。

 そもそもサソリは昔は水の中で生活してたとされてるんだよね。

 しかも現代でも1日くらいなら水の中に居られるんだよね。

 書肺って器官を通して空気呼吸していまるから陸上生物なんだけどさ。

 だから、水中に浸かってしまったら呼吸出来ないと思われるんだけど

 気門を閉じることが出来て、代謝を抑えることでしばらく生きていられるんだよ。

 それも雪や氷の下を通ったりする事もあるらしくってね……。

 ここ、渦が多くて結構五月蠅いよね?

 それにあんたは私にこれといって通用するような一撃が与えられるとも

 思えないんだよね?

 ならどうやって私を倒すのかって考えたら……サソリの毒かな?

 確か尻尾のふくらみは毒腺で、左右一対だったよね?

 なら一撃ってのも頷けるってもんだよね。」


「な……何を言っている!!」


 あー、凄い動揺が見える……。

 このキャサリンとか言う人、粗暴って言うか野蛮っぽい感じを

 出そうとしてるけど、根は良い人かね?


 嘘つけないタイプって感じ。

 顔や身体の動きに動揺が出過ぎ………。



「まぁ、言わなくてもいいよ。

 こっちで勝手に警戒するからさ……ミニゴリラ、かもーん!!」


 私は水中にミニゴリラを目一杯出した。


「さぁ、みんな!私をサソリの尻尾から守って!!」


 即座にミニゴリラ達は全てが私から遠ざかっていった。



  『前に言ったではないですか……。

   あれはマスターの分身なのですよ?』


 それは知ってる。


  『マスターが嫌な事を率先してする訳が無いではないですか。

   それも毒を受けろってつまり死ねって事ですよね?

   それは流石にミニゴリラも嫌がるかと……。』


 ちくせぅ……根性の無いミニゴリラめ……。


  『その根性云々はマスターの事ですからね?

   完全なブーメランですよ?』


 うぐぅ……。



「はっ!完全に嫌われてるじゃねぇか!!」


「五月蠅い!キャサリンと名乗りながら縦ロールじゃない

 女だなんて私は認めないからね!!」


 私の中ではキャサリン、と言えば縦ロールだ。

 ちなみに勝手な想像であって、何かしらのリスペクトではなく

 ただ単に名前的に縦ロールっぽいと思っているだけ。


「どこに海に入るのに髪をクルクル巻いててくる馬鹿が居るんだ!!」


 そう言われるとごもっともな意見だった。


 そして私の考えが至らなかった事が原因だった。


 サソリの尻尾がまさか単独で飛んできて、私に刺さるとは

 想像の範疇を超えた出来事だった。


 私はそのまま渦の流れに堪えられずに巻き込まれ

 そして海中を浮いたり沈んだりを繰り返し始めた。


 その理由は私が突如動けなくなったからだった。

 かといってゴリラアーマーをサソリの尻尾が貫いた訳でも無い。


 尻尾の先はゴリラアーマーの毛に埋まっては居るものの

 それがアーマーを抜けた訳ではないのに

 身体だけが動けなくなった……………。





「キャサリン。」


「おお!ピオーネ!!」


 そして視界には恐らく天蝎宮(てんかつきゅう)だと思われる

 ピオーネと呼ばれた女性が海底の岩陰から出てきて

 キャサリンと合流する姿が見えたけど、それも険悪な感じだった。


 ピオーネとやらは合流するや否や、キャサリンを殴った。


「なっ、てめぇ何しやがる!!」


「それは私の言葉だ、あんたが序列4位である理由は

 その甲羅による堅牢さが理由だ。

 私の尻尾ですらその甲羅を貫く事が出来ないのだから。

 だが、あんたは迂闊すぎる。

 会話をして時間を引き延ばしたり、目を引こうとしていると

 努力だけは認めておく。

 だがなんだ?一撃入れれば良いと相手に喋った結果

 この作戦が気取られた訳なのだが?」


「う……上手くいっただろうが!!

 過程なんざどうでも良い!結果が全てだろうが!!」


「それは私が尻尾を切り離し、あの化け物へと静かに近寄り

 一気に刺した、それに尽きる。

 あんたは序列は上かもしれないが、碌な事をしていない。

 ほぼ私の手柄ではないか。

 その上で相手に気取られるなど、騎士団の恥でしかない。」


 そうピオーネが語っている間に、キャサリンの後ろへと

 尻尾が動いていた。


 そして尻尾はキャサリンをも身動きの取れない状態へと変えた。


「私の尻尾は刺さる必要性等一切無い。

 触れれば良いだけだ。」


「て……てめぇ……………。」


「口も悪いな、騎士団の恥である事に間違いは無い様だ。」


 そしてピオーネはキャサリンへと手を伸ばした。

 そして赤い色の液体がキャサリンから広がると共に

 ピオーネの手には心臓を模した金属が握られていた。


母なる核心(マザー・コア・ハート)。」


「ん?まだ生きていたか化け物。

 この毒は触れるだけで効果が出る。

 貴様はその神器とやらに包まれていて刺さらねば

 問題無いとでも思ったであろうが、いくら神器と言えど

 その毒に触れれば神器は動かせまい。」


 ピオーネの言う通りだった。

 身体が、と言うよりはゴリラアーマーが動かない。


 その機能がまるで働いていないかの如く

 私の呼吸が苦しくなってきた。


「にっ……ニクジュバンニ!!」


  『……………―………―……。』


 何かを言っているように聞こえなくもないけど

 ほぼほぼそれが声に聞こえない。


 ゴリラコンテナとの繋がりも無くなったのか

 呼吸が苦しい、酸素が………。


 ほぼ私の身体にぴっちりしているゴリラアーマーに

 余分なスペースは無い。


 今の私に持つであろう時間と言えば

 精々1分あるかどうか………。



「私はこのまま死を待てばよい。

 その神器毎、アッシュ様に献上すれば私の役目は終わるのだから。」


 アッシュ……。


 この2人がガングレリではなくあのアッシュが?


 そう考えればあそこでアッシュが去った後


 私がどうするか、まで見通されていたのかとまで思う位だった。


 苦しい、酸素が……酸素が欲しい………。



  『なら、唱えなさい。』



 誰……?



  『貴方が地球で為した事に対する報酬です。』



 報酬?そんなものを私は求めていない……。



  『報酬は求めるものではありません。

   その労働や仕事に対する謝礼であり、御礼なのです。』



 あー、勇者と言うかダンジョン・コアをぶっ壊したあれ?



 そんなに強くなかったから別に良いよ……。



  『それは貴方の物差しでの問題です。

   地球の、特にあの8人では決して成し遂げられなかった事です。

   それによって地球の多くの人々は助かったのです。』



 それでいんじゃない?

 御礼を言われる程の事はしてないし?

 助かった、で良いんじゃない?



  『それを神々は良しとはしていません。

   貴方は多くの地球に住まう人々を助けたと同時に

   多くの神々という存在を助けたのです。

   地球が滅べば、神々ですら消え失せる。

   唯一例外であるのはその管理者である創造神のみ。

   だからこれは数多の、八百万の神々が与える

   あなたへの謝礼であり、御礼であり、報酬なのです。』



 それを貰う?でももう息が……。



  『唱えなさい、リラ。

   私のそのゴリラアーマーを更なる高み到る為に!』



 唱える………………………。



「スキルポイント……29を消費して

 ニクジュバンニを……アップデート………。」



  【Gorilla・Origin・Reliable・Ingenious

   ・Lasting・Legendary・Aid―system

   のアップデートを開始します。

   アップデート終了、ニクジュバンニ バージョン2.0へと変わりました。】



  『マスター!』



 ニクジュバンニの声が聞こえると共に、呼吸が一瞬にして楽になった。



「ゴリラアーマーレベル3、最終形態!

 プリミティブ(原始)フォームを申請!マテリアライズ!!」



  『プリミティブフォームを承認!マテリアライズ(具現化)!!』



 そしてゴリラアーマーは一瞬だけ輝き

 すぐにその輝きが失われていったのです………。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」とつけていただいたり

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