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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第9章 逆海底地下迷宮編
162/178

第162話 G と D12層ボス部屋

 あれから10層を全てハゲ散らかした後に

 11層、12層とハゲ散らかしていった時の事です。



「はて、この9つの白いボールは何だろう……。」



 鑑定結果はタルタルーガの卵……。

 今、初夏だったっけ……。



  『ダンジョン(地下迷宮)ですから、あまり季節は関係ないのでは?』



「いや、産卵ってそういうものだっけ……。」



 ニクジュバンニがその後調べた結果として

 この森林地帯が初夏に近い気候だった為に産んだ、と言うのが

 理由ではないか、となんとも微妙な答えだったのです。



「しかし今産卵って……ここから孵るまでにどのくらい掛かるのさ……。」



  『4か月位ではないでしょうか。

   しかしステレオタイプトトータスの卵は非常に孵り難く

   ここから1匹として孵る事無く生を終わらせる事も

   珍しくはありません、が……。』



「何か引っかかる事でも?」



  『本来ステレオタイプトトータスはずっと同じルートを動いていく為に

   卵はその場に置いて去ってしまうのです。』



「その間に割られるとか?」



  『魔物だけでなく、栄養価も高く美味らしく

   冒険者等にも狙われるのが常です。』



「タルタルーガはどうするのかな……。」



 そう思っているとタルタルーガは黒い渦の中に

 木や葉っぱなどを運び込み、卵も運び込んでいたのです。



「超育てる気満々じゃない?」



  『よろしいのですか?』



「よろしいもよろしくないもないんじゃない?」



  『いえ……ステレオタイプトトータスは幼少期はルートトータスと呼ばれ

   見た目は今とは全く違うのです。

   主に今より小さいのですが……。』



「小さいなら良いんじゃない?

 どちらにしてもこの使役獣専用の異空間収納の中で

 多くは過ごすじゃない……。」



  『入れっぱなしはあまり良くないですよ?』



「そう思ってるから10層から出しっぱなしじゃない……。」



 この時、私はニクジュバンニがやけに言い淀んでいる事に

 気が付いて、そこを深く聞いておくべきだったと

 後々公開するのですが、それはまた先の話……。



 そして12層の一番奥に存在するボス部屋の前に到着。

 10~12層の間はゴリラグナロクを振るうだけで

 あとはゴリラコンテナに木やキノコを詰め込んでいただけなので

 特に労も無く進んできた事からさっと入る事に。



 重厚な扉が閉まると奥から静かにボスと思われる

 存在が出てきたのです。



 それも二足歩行のキノコ……。


「なんでキノ……。」


 私の背後から、即座にタルタルーガが首を伸ばして捕食……。

 そして上へと登る階段があっさり登場。

 さらに宝箱まで出てくる始末……。


 ちなみに宝箱の中身はこれでもか、という位に銅貨だけが入っていたのです。

 ニクジュバンニ曰く、銅は中々使い勝手も良ければ一般的な金属で

 流通量が最も多いともされている硬貨だそうで

 商業ギルドにでも預ければ喜ばれるらしい、との一言で

 そのままゴリラコンテナに収納。





「うーん……これでいいのか海底ダンジョン(地下迷宮)……。」



  『たまには良いのではないですかね?』


 ニクジュバンニがそういうなら、と階段を上っていっても

 今度はどこまで上っていっても次の層に到着しないのです。



「おかしい……少なくとも東京タワーの外階段よりは

 上った気がするんだけど。」



  『これはあれでしょうか』



 ニクジュバンニが語るあれ。

 それはダンジョン特有の問題なのだとか。


 ダンジョンはそもそも地下深くから湧出する魔素が溜まってダンジョンコアと共に

 最下層が作られる、というのが基本で

 そもそも魔素が無ければ何も出来ないらしい。


 しかしダンジョンが形成されてしまえば、中に入った人などが

 死を迎えたりする事でそれをエネルギーとして

 発展、魔物等の誕生に利用されていくらしい。



  『そもそも海底に入口があるダンジョンでは

   殆ど中に入る人が居ないのですからダンジョンの成長がある程度で

   止まってしまう可能性が非常に高いのです。』



 あまりに誰も来ないが故に、ダンジョンの形成自体は出来ても

 ある程度で魔素というエネルギーだけでは

 層を構成させるに至らなかったのではないか、と言う事だった。


 さらに長い年月があれば魔素だけでも発展は出来るらしいけど

 この逆ダンジョンは最初の方に力を入れ過ぎた結果

 それでもまだまだエネルギーが足りていないのではないか。


 ニクジュバンニはそういう見解を示してくれたのだった。



  『たまに居ますよね?無計画な人間とか……。』


「それと一緒くたにするのはどうかと思うけど……。」




 ただニクジュバンニの考え方はどうやら当たっていたようで

 そのままコアのある部屋に辿り着いたのです。


 ちなみにコアは最下層、というより逆なので最上層と言うべきでしょうか。

 辿り着いたと同時にタルタルーガがパクっと捕食……。



「タルタルーガはお腹壊したりしないのかな……。」



  『ダンジョンコアはそもそも魔素から生まれたものですが

   肉か魚か野菜か、で言えばどれでもないとしか。』



「何故肉か魚か野菜かの3択なのかは解らないけど

 とりあえず食べて問題無ければどうでも良いよ。」



 タルタルーガは嬉しそうにバリバリと食べているので

 とりあえずお腹さえ壊さなければね……。



 但しダンジョンコアが消えてしまった事で

 この逆ダンジョンの崩壊が始まったのですが

 そもそも逆である事からそう慌てなくても良いらしく

 このダンジョンで最も豪華そうで巨大な宝箱を開けて物色すると

 中々厄介なものばかりが入っていたのです。



「装備がぎっちり詰まってるね……」


 この世界的には喉から手が出る程欲しがる人が

 続出するような魔剣に魔槍と言った武器や

 鎧などの防具などが詰まっていたのですけどね……。



  『ゴリラアーマーとゴリラ武器(ウェポン)を持つ

   マスターには不要でしょう。』



「売る以外の用途は私には無い、と……。」


 そしてのんびりしながら最上層の一番奥にあった

 魔法陣から脱出。


 かなり久しぶりに本物の太陽が拝めると

 地上に出た途端の事でした。


 左右の地面が私に向かって起き上がるように襲ってきたのです。

 地面は私を挟み込み、閉じ込めるかのように閉じられたのでした……。





「あっけなく倒したと思えばアッシュ様が殺せていないと言うから

 見に来てみれば生きていただなんて。

 危うく殺し損ねるというミスを犯す所でしたわ……。」



  『ごぉ』



「………………なんの声かしら?」



  『りぃ』



「まだ生きているのですか、なんともお見苦しい事。」


 リラを土で挟み込んだ人物は磨羯宮(まかつきゅう)のカプリだった。

 さらに手を組み、次々とリラを挟み込んだ土に追加の土でどんどんと挟み込み

 綺麗な四角い箱状にまであっという間に封じ込めたのだった。



  『らぁ…………………………。』



「これで終わりね。

 これでアッシュ様もご褒美になでなでしてくださるかしら♪

 ……………そうもいかないようね。」


 カプリが妄想に半ば浸りつつ、目の前の四角く箱状となった土を見ていると

 その土に徐々にヒビが入るのが見えた。



「まだ抗うおつもり?

 この磨羯宮(まかつきゅう)のカプリ、土の扱いには長けてますのよ!?」



 カプリは手と指を動かし、様々な形を組み上げていくと

 さらに近くの土が隆起し、土の箱へと貼りつき

 ヒビ割れた部分を補修、さらに巨大な四角い土の塊へと

 次々と四角い土の大きさがさらに巨大なものへと変わっていった。



 しかしそれを凌駕するように、四角い土にはヒビが入り

 カプリはそれを補修する、半ばいたちごっこのように応酬が行われていた最中だった。









「くく……、このタイミングを待っていたんだ………。」


 カプリの胸からは1つの手が生えていた。

 その手は真っ赤に血濡れていると共に

 手には母なる核心(マザー・コア・ハート)が握られていた。


「ぐっ……、このチビガキが………。」


 その手は、カプリの真後ろから突き出されていて

 宝瓶宮(ほうべいきゅう)のアクオルスのものだった。


「君は中々隙が無かったからね……。

 こうして母なる核心(マザー・コア・ハート)を奪い取る隙を狙っていたのさ……。」


「な……何故こんな……」


「簡単に身体を貫けたのか、かな?

 そりゃそうだ。僕の身体の中には母なる核心(マザー・コア・ハート)

 2つ入っているんだからね!」


「………2つ……まさか、貴方……。」


双児宮(そうじきゅう)のジェスターは僕が仕留めたよ。」


「ジェスターを……?

 貴方のようなチビガキ如きが……!?」


 カプリはアクオルスへと首を捻り、その姿を見て驚いた。

 それは人と言うにはあまりに酷い姿だった。


 水と言う水に嫌われたアクオルスの肌はガサガサと言うよりは

 土塊(つちくれ)に近いもので、カプリが知るアクオルスの姿では無かった。


 しかしその土によって形成されている顔自体はアクオルスそのもので

 間違いは無かった。



「それにしても君は怖いね、僕の顔すら見ずに僕だと解ったんだから。」


「あ……貴方の魔力は特徴的ですからね……。」


「だからこそ僕は君を狙ったのさ。

 機動性が異常なまでに高いジェスターを取り込み。

 そしてその魔力を察する君をも取り込み。

 僕はこの世界で最高の存在になるんだからね……。」



「アッシュ様に勝てると……本気でお思いで?」


「アッシュ団長?今はまだ無理だね。

 だけど僕はこうして今、3つ目の母なる核心(マザー・コア・ハート)

 手にしているんだ。あと1つ?2つもあればアッシュ団長。

 いや、アッシュ程度なんとでも出来るさ!」


「昔から嫌なチビガキだと……思ってましたが……。

 ここまで馬鹿だとは……思いませんでしたわ……。」


「無駄だよ、カプリ。」


 アクオルスとカプリが会話する中、カプリは土を操り

 アクオルスに仕掛けていた。

 地面から棘状の土をアクオルスに差し向けていたが

 アクオルスの身体に刺さってはいても、アクオルスが苦しむ様子は一切無かった。



「僕はね、水に嫌われたらしい。

 だから今の僕は水ではなく、土に愛されているらしい。

 そしてジェスターの母なる核心(マザー・コア・ハート)は風だ。

 そしてカプリは土、あと火の属性を持つ母なる核心(マザー・コア・ハート)があれば

 僕は完璧になれる、そうは思わないかい?」



「アッシュ様にレオンにジリス、どれも今の貴方であっても格上よ?

 それにオラクル聖王国に……牙を剥いてどうするおつもり……?」



「ははははは!決まっているだろう!?

 僕は貴族だ!この世界を統治してやろうというのだっ!?」


「ふん、貴方は周りを見なさすぎなのよ。

 どうかしら?貴方の母なる核心(マザー・コア・ハート)

 掴まれている感想は。」


 カプリはアクオルスに母なる核心(マザー・コア・ハート)を掴まれている。


 だが、たった今アクオルスは自らの母なる核心(マザー・コア・ハート)2つが

 地面から生える謎の手によって掴まれていた。


 黒い毛を纏った手によって……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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