第16話 G、片付けに赴く。
「ないわー、これはないわー……。」
人型オーガの討伐後、元の場所へと戻っていき
あの勘違い野郎こと黒いオークビッツ「タブロク」を見に行くと同時に
食肉確保を兼ねてオークの集落を探したのです。
「なんでこんなタイミングで……。」
そこには多くの人が次々とオークと戦っていたのです。
『あれは冒険者ですね。
魔物の討伐、素材の採取、人々の護衛などを生業とする人々です。』
「それがまたなんでこんなに……。」
1人2人とかいう数では無かった。
それこそ100人位は居るのではないかと思う位には居て
オークが次々と倒れされていたのです。
『恐らく前々からこの集落が発見されていたのでしょう。
集落を構築していれば、どんどんと数が増えていきますから
集団での討伐を冒険者ギルド辺りが発案したのでしょう。』
「嗚呼、私の大事なお肉が次々と……。」
『今から飛び込んだらただの横取りですね。』
「解ってるよ!?だから悲しんでるんじゃない!!」
『狩られているからにはもう手遅れです。
オークビッツ族の集落にでも行きましょう。』
「あー、残った人達を埋葬してあげないといけないか……。」
『そういう訳ではありません。』
なんでも集落をそのままにしておくと
魔物が住み着いてしまうのだとかで
こういう場合はキチンと集落を壊していかねばならないのだとか。
また埋葬も駄目なのだとか。
大気中の魔素はそのままの遺体にどんどんと蓄積されて
それによって濃い魔素が遺体に溜まって魔物の湧く場所に変わるのだとか。
『しかもその場に遺体がある為に、まずは一番生み出しやすい
魔物を生み出すのです。』
「一番生み出しやすい?」
『アンデッドです。』
なんでも身体があるが故にアンデッドとして生まれる方が
誕生まで速い、と言う事でアンデッドの中でも
ゾンビになるケースが多いのだとか。
また骨の中でも頭蓋骨がしっかり残っていて
身体の肉が少ないとスケルトンになるケースが多いのだとか。
『この世界に限らず、魔法の存在する世界では
一律で同じ事が起こります。』
特に戦争の後で首を落とされた騎士などは
そのまま妖精化してデュラハンと呼ばれる
アンデッドになる事も多いのだとか。
『つまり遺体はキチンと焼却しなければならないのです。』
「火が無いのにどうやって……。」
『どこかに種火の1つでも残っていないでしょうか。
それをゴリラコンテナに収納しておけば
以降は火に困る事も無いのではないでしょうか。』
「何か初めて役立つ事を言われた気がするよ……。」
早速、オークビッツ族の集落に戻ると
流石に火種が残っている事は無かったけど
火打石のようなものがあったので、それで火を作り
残っていた薪をくべていって、火を大きくし
そのままゴリラコンテナへと収納していった。
残されていた遺体は全て1か所に集めて穴を掘り
そこへ遺体を入れ、アブラマシマスの脂を使って
全員を火葬した。
まぁニクジュバンニが食べられる、とは言っていたけど
私からすれば海外の方的なニュアンスに近く
食人趣向は無いので、火葬し手を合わせ
最後は骨を細かく砕いて、地面に混ぜておいた。
そして近くにあった大きな岩を運び
そこに指で文字を掘った。
「南無南無……成仏成仏……。
地面から湧き出てきたりしないでね……。」
その後、集落を少しづつ解体し
使えそうなものはいただいていく事にしたのだけど
何か忘れている事がある気がする。
『もしかしてタブロクの事ですか?』
「あー、なんか超忘れてたわ……。」
そういえばオークの集落にもタブロクが居たようにも見えなかったし
このオークビッツの集落にも居ない……。
「どこいったんだか……。」
オークビッツの集落を解体し終わり
数日待ってもタブロクが帰ってくる事は無かったのです。
私は待つのも疲れたし、オークビッツの集落を後にする事にしたのです。
ただ、そこには私が暇に任せて近くから採取してきて植え
ここが元々はオークビッツの集落であった事だけは
解るようにはしておいたのです。
『マスター、岩に日本語で「南無阿弥陀仏」と刻んでも
誰も読めませんよ?』
「そう思うなら、私にアース語とやらの言語理解能力を
くれれば良いのに、とか思わない?」
『読み書きは出来ずとも、話せるだけで十分では?
私が一応読む事は出来ますので。』
「そう言われると返答に困るわ……。」
『まぁ良いのではないでしょうか。
このまま放置しておけばアンデッド化していたでしょうし。
働いた分は残されていたものをいただくと言う事で
悪い稼ぎでは無かった気がします。』
「火事場泥棒感は否めないけどね……。」
鍋釜から包丁など、様々な使えそうなものは
全てゴリラコンテナへと収納したのです。
「食料はほぼほぼ無かったけどね……。」
『オークビッツ族は非力ですから
狩りにも難儀していたのでしょう。
弓の扱いなどは特に力が重要ですから。』
私的見解としては某TRPGでは確か弓が扱える職業に
戦士が居た位、力が主体の武器だった気がする。
R〇くらいからだろうか。
弓と言えば器用さ、と言った力が消えていた気がするし
ヴィンランドな佐賀とかでは、クロスボウを
先端に足をかけて、弦を引いてから矢をセットする。
それを少ない力で引けるように云々な
描写もあった気がしたから本来は力、が主体でおかしくないのに
いつくらいから弓=エルフ的な
力と言うよりは違う要素が舞い込んだのやら……。
『スコットランド伝承では儀式用の鏃を
魔女やエルフが人や家畜を傷付けると信じたものが
ベースになっているかと推察します。』
「ほぅ……、それは中々興味深い……。」
オークビッツ族の遺品となったもの達には
弓や矢は無く、多くが短剣。
またショートソード、と言うには短い感じの剣や
槍などが多く見受けられた。
あとはシャベルや鍬などが意外と多かった事から
ニクジュバンニはこれを使って森に穴を掘り
落とし穴に追い込む狩りを主体にしていたのではと
推測していた。
『総金属製なところがポイントですね。』
「ポイント?」
『柄が木製では多分マスターの力では折れますよ?』
「そういう時はほら、加減を……。」
『そういう事はキチンと加減出来るようになってから言ってください。』
「うぐぅ……。」
こういうニクジュバンニが私は嫌いだ。
星5点満点で「面白い」や「面白くない」と
つけていただけると、作者が一喜一憂します!