第156話 G と D6層ボス部屋 中編
結局、ミニゴリラ達にはゴリラシールドを張らせた状態で
大猩猩が動けないように囲ませ
まずは撃ち出したゴリラ・マグナムを回収。
なんでもこのゴリラ・マグナムはキチンと回収しないと駄目で
装着状態で無いとフォームチェンジも出来ないそうなので
多分、もう二度と使う事は無いでしょう……。
いや、だってバーチ〇ロン用のツインスティック仕様ならまだしも
左右で全く操作が違って、かつハ〇ソンジョイスティックとか
私の感覚では操作は無理過ぎる。
精々3DのMMORPGにありがちなWASD位が限界だよ……。
『未だにフ〇ミコン体操出来ませんからね……。』
「だから私の記憶を探るな!!」
『ハド〇ン主催の全国ゲームキャラバンにまで参加したのに?』
「1回目と2回目だけね!3回目までは気にしてたけど
4回目からシューティングじゃなくて野球になってたし!
ってそうじゃない!話がずれてるぅっ!?」
ミニゴリラ達が私と同等の能力があっても
小さく体重が軽い分だけあって
大猩猩を長くは抑え込めず、私は左腕は回収したものの
半ばニクジュバンニと言い合っている間に
距離を詰められ、一気に抑え込まれたのです。
完全にマウントを取られ
上から殴打される形になったのです。
『メカニカルフォームで良かったですね?』
「これただ運が良かっただけだよね……。」
力も強いけど、何より大猩猩をどう捕まえるか。
最初に組みに行ったのも、結局威力のある攻撃を叩き込むには
近距離戦の方が得意だからこそな訳でして。
「ン゛ッ!!ン゛ッ!!ン゛ッ!!ン゛ッ!!ン゛ッ!!ン゛ッ!!」
大猩猩は夢中で私を殴ってきているけど
まぁ痛いは痛いけど、思った程じゃない。
これならまだタブロクの方が痛かった位だよ……。
夢中になりすぎて私はこうしてマウントを取られたけど
それは大猩猩もそう変わりは無いのです。
「サイドアーム!!」
私の腰の辺りの部品が展開された非常に長いけど細めの腕。
それが大猩猩をベアハッグの形になるように掴んだのです。
このメカニカルフォームには実は腕が6本あるのです。
左右腰の部分にある2本のサイドアーム。
そして……。
「バックアーム!!」
今度は背中側の部品が展開され、サイドアームよりは短いけど
ゴリラアーマー本来の腕よりは長く、サイドアームよりは太い腕で
徐々に私の身体が起こされていくのです。
そして私自身の腕の6本。
横や背中の腕とは言え、私の本来の腕に負けず劣らずの
力がある4本の腕。
サイドアームは最も力は弱いけど長く
バックアームはサイドアームより短いけど、力は中間。
そして私本来の腕は力は強いけど、一番短いのです。
大猩猩は慌てたように逃げようとしても最早、遅いのです。
サイドアームがガッチリと大猩猩の胴を回るように長く伸びていて
それから逃れられない時点で決まったようなものです。
ゴリラアーマーは神器である以上、破損はしない。
つまり大猩猩はサイドアームの力を超えなければ
この状態からは抜け出せないのです。
バックアームが私の身体を起こすように地面に掌を付けて
どんどんと押し上げていくと、今度は大猩猩の腕そのものを捉える。
サイドアームが一気に緩むと、今度は足を捉える。
目の前には大の字に浮くような形の大猩猩と
そのお腹が私の目の前に現れたのです。
「当然、覚悟は出来てるよね?」
「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛!!」
私は拳を握って腰に構えた。
当然、私が狙う一撃は1つ!
胸のゴリラの口が開き、そして光がドンドンと集約されていく!
「それでは皆様、御唱和ください!!」
「ン゛ッ!!ン゛ッ!!ン゛ッ!!ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛!!!!」
「ゴリラ・ブレスト・キャノン!!」
胸のゴリラの口に集約した光が
そのまま大猩猩の胸と腹を突き抜け、そのまま部屋の壁へと突き抜けていったのです。
身体のど真ん中を貫かれた大猩猩はそのまま力無く
ダランとした状態になるも、まだサイドアームとバックアームに
掴まれていて、十字に張りつけられたかのような姿で死を迎えたのです。
トー
フー
「何か嫌なものが聞こえてきた……。
いい加減、ファンファーレは元に戻らないのかな……。」
【ゴリラアーマーがレベル4にあがりました。】
【新フォームが実装はレベル3「プリミティブフォーム」の
使用後、となります。】
「……………ぷりみてぃぶ?」
『現在のマスターではまだ扱う事を承認出来ない
非常に危険なフォームです。』
「そか……ならいいや。
いずれ使えるんだよね?」
『マスターの研鑽の結果次第です。』
「そういう時はいずれ使えるとか
少しは誉めてやる気を伸ばす気は無いのかね?」
『ナイスバルク!』
「筋肉は誉めなくていいんだよ!
っていうか私に筋肉とかそんなに無いからね!?
私を誉めて伸ばす気があるかないかだよ!!」
『誉めて伸びるタイプじゃないですよね?
どちらかと言うと1発勝負みたいなタイプですよね?
それでも非常に危険……………。』
「ん?どうしたのニクっ!?」
気の緩みだったのかどうか、今となっては解らない。
一瞬にして大猩猩の胴体が元通りになったかと思えば
私の顔には大猩猩の拳が綺麗に入ったのです。
目の前の大猩猩には腕が6つ……。
奇しくも私のサイドアームとバックアームのような腕が増えていて
体毛の色も白色から黒色へと一気に染まっていったのです。
「つか痛った!?頬骨と鼻骨が折れるかと思ったよ!?」
『すみません、私がダンジョンボスだと油断していました。』
「………まさかだけど…。」
『核心持ちです……。』
核心持ちは心臓が吹き飛ぼうが、核心さえ無事ならば
死にはしない………。
つまりあの大猩猩は………。
『睾丸の1つが核心です!』
「いい加減、核心とやらはまともな部位に憑りつくつもりは無いのかな!?」
また私は大猩猩との戦いを1からする必要性が出ただけでなく
またあれを握りつぶすのか……と思うと
ため息を漏らす以外に無かったのです……。
『ウゴホォォォォォ!!』
それも目の前の真っ黒になり、腕が6本に増えた
核心)持ちの大猩猩との仕切り直しに
嫌な予感しかしないのです……。
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