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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第2章 森の邂逅編
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第15話 G、握り潰す。

「貴様が仕掛けておいて、知らぬ訳が無かろうが!!」


「いや、何が出るかすら知らないから。

 真面目に苦し紛れにばら撒いただけで

 あの樽が何をやらかしたのか超知らないから……。」


「まぁ良い、俺を見た者は誰であろうと逃しはしない。

 弟達の仇もあるからな……?」


「仇?また面白い事言うね。」


「何だと?」


「仇ってのはあんたの一方的なものじゃない。

 私を恨んでいるってだけじゃない。

 私はあんたの弟達とやらに襲われて、それを退けただけ。

 その結果、死んだだけ。

 あんたの仇とやらは、ただ私のその場で何もせず

 殺されていればよかったっていう話だよね。」


「……………。」


「あんたの弟が私との強さの差を見抜けなかった。

 それが原因だとは一切思わないんだね。」


「貴様、愚弄するか……。」


「違うね、愚弄じゃなくて事実。

 だって私に弟さん達とやらは負けて死んだ。

 弱肉強食、世の摂理ってやつじゃない?」


「なら俺が貴様を殺しても問題なかろう?」


「でも私はあんたの強さが解るから逃げるの。

 嫌な事から逃げるんじゃないの。

 今は敵わないから逃げるの。

 これを自衛、って言うんだと思わない?」


「自衛?」


「自分を衛るから自衛。」


「面白い事を言うな、貴様!

 この血塗れ、疲れている俺を相手に逃げてまで自衛だと!?」


「そうだよ、むしろ手負いの相手をしても

 何をしてくるか解らないし?

 命懸け、捨て身でやってくる人。

 そんな怖いもの相手に戦うほど暇じゃ無いからね?」


「貴様を逃がすと思うか?」


「やっぱり面白い事を言うね。

 私がいつ逃がしてくれ、だなんて言った?

 私は他人任せで逃げるなんて(こす)い選択肢を選ぶかな??」


「そんな事などどうでも良い!

 貴様を殺さねば、俺の気が済まん!」


「ならやってみたら?」


「当然!!」



 しかし人の姿をしたオーガは動かなかった。



「貴様……何をした………。」


「私は何もしてないけど?」


「嘘をつくな……、ならば……なぜ………。」

 そのままオーガは大量に血を吐いた。


「おー怖っ……ますます死に掛けみたいで

 戦いたくないわ……。」



  『マスター、予想外のものが見つかりました。』


「何、予想外のものって……。」


  『このオーガ、体内に核心(コア・ハート)が存在しています。』


 その言葉に、私はこのまま逃げる予定だったのを取り止めた。

 今、あのオーガの体内ではミニミニゴリラとミクロゴリラが暴れている。


 ニクジュバンニに体内に入れて、中から倒せないかとお願いしてみた所

 可能だったようで、比較的傷の大きい脇腹近くから

 2匹が入り込んだのだとか。


 今や内臓やら、血管やらをさんざ痛めつけている真っ最中で

 吐血したのもそのせいでしょう。



「なら予定変更?」


  『当然です、このようなものを放置しておくなど

   ありえない事です。』


「き……貴様………、何を言っている……。」


「私の実力不足な点については?」


  『気合でなんとかしてください。』


「まさかの根性論!?」


  『大丈夫です、対核心(コア・ハート)用の必殺技能(スキル)を出しましょう!!』


 そしていつもとは違うファンファーレが鳴った。

 目の前に現れた文字を読んだけど呆れるしか無かった……。



「これ本当にやるの……?」


  『はい、必殺技能ですから!

   しかもゴリラの神様直伝ですよ!?』


「違う……、これ絶対パクリだ……。」


  『せめてオマージュとかリスペクトと言ってください。』


「貴様ぁ、先程からごふぅっ!?」


 さらに血を吐くオーガからもう逃げると言う選択肢は無い。

 こんな所にあった、108個のうちの1つ。


 どういう事をもたらすのかは知らないけれど

 それは邪神の身体の一部、この世界にあると

 いずれまた邪神が復活してしまう。


 私はそれを何とかする使命もある。

 まぁ気長にやるつもりだけど、目の前にあるのであって

 今、それを何とか出来ると言う状況になったからこそ

 もう、引き下がれない………。



「つかこれ超ハズいんだけど!?」


  『やるしかありません。

   無言で放つなど、ほぼ効果はありません。』


「嫌だ!こんな台詞、外から見ているから楽しめるのであって

 自分で言うもんじゃ無い!!」


  『何を言ってるのですか。

   サラっと元ネタ一〇法師なミニミニゴリラの使い方をしておいて

   今更恥ずかしがる事ではありませんよね?』


「何サラっと暴露してるのさ!?

 今時、一寸〇師なんて知らない人とか居るかもしれないのに!!」


  『そういうのは良いんで。

   核心(コア・ハート)が体内にあるのであれば

   このまま逃がせば、非常にゆっくりではありますが

   核心(コア・ハート)の力によって徐々に元に戻っていきます。

   今やらずしていつやるんですか!〇でしょ!?』


「それ絶対ダメな気がする!!

 商標登録とかされてるんじゃない!?!?」


  『いいからあの死の淵に居るオーガに

   さっさと叩き込んでくれませんか?

   私も暇じゃありませんから。

   規定通りに叫べば、あとはゴリラアーマーが

   自動で誘導してくれますから!!』


「うぐぅ………。」



 いや、これ……。

 叫ぶの超恥ずかしいんだけど………。


 しかしやるしかないらしい。

 このままオーガが死んだとしても、結局やる羽目になるらしく

 避けて通れないのだとか。


 この必殺技能(スキル)のとやらを発動させる為の

 詠唱文を叫ぶ、と言う私にとっての新たな黒歴史………。




「私のこの手がゴリッと唸る!核心(あんた)を潰せとウホッと叫ぶ!」


 これ完全にパクリだと思うし、まさか叫ばなければいけないだなんて……。


握滅(あくめつ)(ゴリラ)クラッシャー(破砕)!!」



 私の身体はこの叫びに応じ、半ば自動的に動き出した。

 右掌が指を伸ばし、核心(コア・ハート)のある場所へと導かれていった。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 そして最早、声すら出せなくなっていたのか。

 両膝をついている人型オーガのとある部分へと

 私の右掌が誘導されていく。



 嫌だぁぁぁぁ!!なんでそこに核心(コア・ハート)があるのさ!?

 憑りつくならもうちょっとマシな場所にしてよ!?



 嗚呼、核心(コア・ハート)

 何故、あんたは睾丸の位置に憑りついたのか……。


 これは間違いなくセクハラだ!

 セクシャルハラスメントだ!!

 だけど止まらない……。

 叫んだあとは自動で誘導されていくと

 ニクジュバンニが言っていた。

 何か騙された気しかしない……。


 そして私は睾丸、じゃなかった。

 核心(コア・ハート)へと辿り着いた。

 その生暖かい感じと言い、妙に硬い感じと言い

 超嫌なんですけど!?!?



  『さぁ、最後の詠唱を!!

   それが無ければ核心(コア・ハート)は砕けないのです!

   マスターはこの世界から、核心(コア・ハート)を無くす事こそが使命なのです!

   さぁ!お早く!!』


 お早く、じゃないよ……。

 これ…………ようは玉ってやつだよね!?


 何が心臓を模した金属体なのさ!?

 超生感の半端ない温かさと、硬さがあるんですけど!?


  『何を言ってるんですか、その中にあるに決まっているじゃないですか。

   そんな生暖かくて、適度な硬さの核心(コア・ハート)

   存在する訳が無いじゃないですか!』


 いやいやいやいやいや、これこのコリっとした感じのと一緒に

 潰さないと駄目なの!?!?


  『取り出してからやりますか?

   結果は一緒ですし、1回取り出すとかそっちの方が気持ち悪くないですか?』


 まぁ、そう言われるとそんな気がしてきた。


  『ちなみに最後の詠唱の受付まであと3秒で

   失敗するとマスターに(ペナルティ)がありますけど?』


「ああもぅ!!クレンチド・フィスト(握拳)!!」


 私の最後の詠唱によって、握った手の中が熱くなった。

 そして、それは徐々に緩んでいく握っていた掌が開くと共に

 砂のような光のようなものとして、掌から徐々に舞い散っていった。


 目の前の人型のオーガもサラサラと砂のように崩れ始めていた。

 だけど1つだけ、気になる事がある。


 両膝をついたまま、血濡れた両膝をついている人型オーガ。

 その顔を見て、私はムカついた。


「何、この悟ったようなすっきりしたような

 落ちものが取れたようなすがすがしい顔……。」


  『仕様です。』


 私はニクジュバンニに散々文句を言った。

 だけど、この仕様を変更する事は出来ないと言われた。


  『そもそも私にそのような権限は存在しません』

 そう言われれば文句を言ったところで

 どうにかなる訳もなかったのです。




 その日、とある国のとある街において

 1人の男性が死亡した。


 その男は突然倒れた。

 近くに居た人々が即座に駆けつけたが

 既に息をしていなかった。

 事件性も考えられたが、毒殺等でも無く

 最終的には突然死として扱われた。


 大半の人々はそれを知り、若いのに気の毒だと嘆き。

 ごく僅かな人はそれを知り、愚かだと嘆いた。








 【ゴリラアーマーの「握滅(あくめつ)(ゴリラ)クラッシャー(破砕)」の封印を解除しました。】

 【ゴリラアーマーがスキルポイント1を獲得しました。】


 核心(コア・ハート)の残り数:107

 邪神の復活まで残り:1900年

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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