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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第8章 魔導列車編
149/178

第149話 G と 生贄。後編

「そらぁ、解ったのが収穫なんやろうけどな……。

 1つ忘れている事があるで?」



「何さ。」



「ここは贄の祭壇らしいで?

 なんでも近くの村がこの森の森神様とやらに捧げる供物として

 ワイを置いたんやで?

 しかも10年に1度っちゅうこっちゃ。」


「つまり?」



「森神様とやらが来るんちゃうん?」



 そう言われれば三平を知っているからと助けたけど

 三平が美味しい供物として捧げられたのなら

 食べに来る人が居るんだろうけどさ……。



「ちなみに三平じゃなかったら何を捧げてたのさ……。」



「なんか野菜やら肉やら用意してたで?

 ワイの意識飛び飛びな記憶が確かなら

 村の連中、供物が減ったとかいって肉や野菜を焼いて食ってたで?」



「なんだ……生贄じゃないのか……。」



「せやなぁ、縄で縛ったオークがその場で

 解体されとったから、間違ってはおらへんかもな……。」



 肉は肉でも生きたままなのか……。

 まぁ魔物なら三平で対価になる……のかな?



「まぁ、いいや。これでスッキリ寝られそうだから

 あとは食べられてね。」



「いや、折角助かったのに食べられてね、って

 おかしいやろ……。

 ワイは不老やけど不死では無いで?」



「カラッカラに乾燥した挙句、そのカツオ頭が

 鰹節になってて死んでないって

 あんたのその存在が一番おかしくない?」



「それなぁ……、ワイ死んでみようと思った事何度もあんねん。

 もうどれだけ生きたかも解らんし、生きてても

 おもろい事もあらへんし……。

 でも何故か死なへんのや……。

 やから言ったやろ?最初にあった時に

 どう殺してくれるかワクワクしとったんやで?

 不老っちゅーのはまぁ解るが段々と暇になるんや。

 したい事も特にないしのぅ」



「贅沢な悩みにも聞こえるけどね……。

 まぁ第三者が言える事じゃ無いだろうけどさ。」



「まぁこれで死ねるなら、ってワイも静かにしとったんやが……。

 つかなんも来んな?」



「そう言われると確かに。

 特に周囲に魔物っぽい気配も無いし……。

 っていうかさ、何に対する供物だったのさ……。」



「でっかい亀さんらしいで?

 万年は生きる亀で、ずっと同じ場所グルグルしとるから

 それによって通り道の近くはあまり魔物が出ずに

 安泰に暮らせるっちゅー事で

 村の連中が供物を捧げとるってな……。」



 はて、亀で同じ場所をグルグル……。



  『タルタルーガの事ではないでしょうか……。』



 だよねー……。



「タルタルーガ」


 タルタルーガを呼ぶと、私の後ろに黒い渦が

 宙に出来て、そこから巨大な頭が出てきたのです。


 ちなみに頭が出てくると同時に

 三平は一目散に逃げていったのです……。



「あいつ、本当に死ぬ気あるのかね?」



  『その前にタルタルーガは草食ですから食べませんよ?』



 一応、テイム状態のタルタルーガとは

 ニクジュバンニ程、言語のようなものを介して

 理解し合える訳でも無いけど、なんとなくは解り合えるので

 タルタルーガに確認してみた。


 多くの場所でそのような事をされている事は知っているけど

 手を付けた事があるのは相当昔の事で

 近年は手を付けた事は無いのだそうだ。


 そもそもステレオタイプトトータスと言う魔物という

 自覚もある事ながら、若い頃には手を付けた際に

 毒などを混ぜられ、殺されかけた事もあったらしく

 もう2000年位は手をつけてないのだとか………2000年?



「タルタルーガ……あんた今いくつなの……。」



 2626歳で歳上で先輩(パイセン)でした……。



  『バナナさえ食べられればそんな事は気にしてないようですが?』



「私の方が気使うよ……。」



  『そもそもステレオタイプトトータスの一生として

   2626歳など20代ですよ?』



「……………そう言われるとなんか私の方が

 歳上で先輩(パイセン)な気がしてくる不思議……。

 しかしじゃあ誰がこの供物を食べてるのかね?」



  『まぁ十中八九「シェイプシフター」の類でしょう。』



「あまり聞き慣れない言葉だけど魔物?」



 シェイプシフター。

 私の記憶の中で最も有名なものはミミックらしい。


 ミミック自体も「真似る」「似せる」を意味する言葉で

 擬態する魔物を総称してシェイプシフターと呼ぶのだとか。


 ただあくまで総称して言うだけで

 恐らく「ガベージボックス」の仕業では、と言う事らしい。


 直訳で「ゴミ箱」……。

 ダストボックス、と言う言い方が日本では多いけど

 あれは和製英語なので日本でしかまぁ通用しない。



「つまりゴミ箱みたいな魔物がやってきてあれを回収する?」



  『と、言うか当たりのようです。

   何も入っていないと問題があるので

   バナナで埋め尽くしてから

   木の上に隠れてみてみましょう。』



 なんとまぁ、これまたシュールな光景が……。

 木箱に手足が生えたような魔物がやってきて

 蓋が開いたと思えば、蓋の縁にはしっかりと牙があって

 手でポイポイと神輿に詰まったバナナを次々と放り込み

 最後には神輿そのものも食べて帰っていったのです……。



 なんだろう……、あれは悪い魔物なのかね?



  『どちらかと言うとハイエナのような存在で

   人も食べたりしますので良い魔物ではありません。

   しかしこうして無くなった方が良いゴミを食べて

   生きている魔物で、勝手に蓋を開けたりしなければ

   襲ってくる事もありません。

   あくまであれはゴミ箱に擬態している魔物ですから

   人の前などでは動いたりもしません。』



 超目の前で動いてるじゃん……。



  『こちらが隠れているからです。

   マスターが居れば出ても来ませんから。

   それに「ガベージボックス」は擬態が非常に上手で』

   ゴリラ能力(アビリティ)のゴリラナビゲーションでも

   ゴミ箱として表示される位です。



 うわ、マジだ。

 っていうかあまり使わないと思っていたゴリラナビゲーションに

 きっちりゴミ箱として表示されてるよ……。



  『それでも魔物は魔物ですが……倒しますか?』



「……………倒したら供物が腐るだろうし

 どうせ倒してもまた生まれるんだよね?

 なら放置で良くない?」



  『シェイプシフターの類はミミックも同種ですから

   倒せば宝箱のようなものが出ますが?』



「うおおおお!ゴリラパーンチ!!」


 私はお腹一杯なのか、神輿まで食べ切って

 満足しているのかは解らないけど、その場から

 去っていく気配もなかったガベージボックスを倒したのです。


 いや、だって宝箱だよ!?宝箱!!

 何か良いものが入ってそうじゃない!?



  『おお!マスター!出ましたよ!』


「うん、出たね……。

 何か期待していたものとはかなり違うけど……。」



 確かに出てきた。

 空間魔法の掛かった収納袋とか……バナナとかバナナとかバナナとか……。



「これ食べたものが出てくる仕様!?」



  『まぁ、言い得て妙ですが……。

   しかし収納袋と収納箱が出てくるとは良かったではないですか!

   売れますよ?』



「1つはね……。

 だけどこの箱だけ鑑定内容が違うんだけど?」



 1つは確かに空間魔法が掛かった魔法の収納袋で

 中の広さもかなり広い上に、時間の流れもゆっくりで

 ニクジュバンニが言う通り、高く売れそうなものだったのですが……。



「なにこの豪華な魔法のゴミ箱って……。」



  『周囲に宝石が散りばめられているゴミ箱ですね……。

   中に入れたものは蓋を閉めれば即時消える仕様とは中々のものですね。』



「ゴミ箱に装飾が必要なのかね?」



  『そこは解りませんが、こちらは高値で売れると思いますよ?』



「魔法の収納袋の方が高いと思うんだけど……。」



  『入れて蓋をしたらすぐに消えるのですよ?』



「ゴミ箱だからじゃないの?」



  『暗殺ギルドとか、処分に困ってる人には

   高値で売れるんですよ?』



「それは証拠隠滅と言うのではないのかな?

 こんなものゴリラコンテナに永久封印だよ……。」



  『ゴブリンとかの処分にも困りませんよ?』



「くっ……意外と優秀だ……。」


 以降、いらない魔物がアンデッド化しないように

 捨てる場所として、私は豪華な魔法のゴミ箱の恩恵に預かるのでした。





「これ宝石だけ外せないかな……。」


  『効果が消えても良ければ。』


「チッ……。」


 宝石類を外すと魔法のゴミ箱の機能が失われるらしく

 換金はゴミ箱毎でないと駄目なのだとか。


 世の中、思った程上手くいかないものだと思ったのです……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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