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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第8章 魔導列車編
144/178

第144話 ジェスター を さがせ!

 それから数日間、ジェスターの逃走の痕跡が無いかを調べたりと

 ミニゴリラやミニミニゴリラを総動員し

 探した結果、完全に逃げられたものと判断したのです。



  『途中まではあの魔導銃、でしょうか。

   あれで低空飛行をしたと思われる形跡があるのに

   不思議な話ですね……。』


「うぬぅ……。」


 かなり派手な飛び方でもある上に

 逃走の際、目立たないように低く飛んだ事で

 痕跡自体は凄く目立っていたのに

 途中からピタリとその痕跡が消えたのです。


 その場所が、砂地……。

 途中までは痕跡があったのですが

 足跡1つ残さずに消えた、と言うのが現状解っている事なのです。



「いわゆるトンボ掛け……なんて

 するような輩には見えないか……。」



  『グランドレーキやバンカーレーキの類ですか……。

   これだけ広い砂地で全く足跡も

   飛んだ際の痕跡も残さないとなると

   風属性魔法のウインド()等で(なら)すとしても

   どこかしらに自然の風との差異が生まれるものです。』



「風属性魔法が異常なまで上手いとか?」



  『それでもこの辺り一帯が砂地化している事を考える位であれば

   川などの痕跡の残り難い場所へと逃げ込み、川に沿って飛ぶ方が

   素早く逃げられると思います。』



「うーん……謎だね……。」


 ここ数日は思った程の風も吹いておらず

 そこそこ大き目の砂地のど真ん中で消える、とか

 ジェスターを追うにもこれが限界かな……。



「だけど変だよね。

 この辺は川も無い訳じゃないけど、そもそも海に近くないんだよ。

 砂浜は川を転がって砕かれたものが砂になって、それが流れ込んで

 砂浜が出来るし、砂丘は海の近くで作られるものだし?

 それがなんでこんな平凡そうな草原のど真ん中に

 砂地があるのかね……?」



  『そう言われますと、この砂地は真円に近い形をしています。

   可能性としては人工的に作られたと考えるべきかと。』



「わざわざ砂地を作るの?」



  『いえ、土属性魔法や風属性魔法の中でも上級魔法や

   その上に位置する超級魔法などの類の影響で

   人工的に「作られてしまった」と言うべきでしょうか。

   このくらいのサイズであればありえなくはありません。

   岩片や鉱物片などの砕屑物(さいせいぶつ)が陸地中の

   砂の原材料となるでしょうから、それを掘り起こして砕くとなると

   この2属性の魔法をここで過去に行使した、と考えれば

   思った程不可能では無いものですが……。』



「うーん……。」



  『そもそも土、と言うのは鉱物に有機物、気体や液体や生物の混合物です。

   土壌圏とも呼称し、岩石圏とも隣接するもので

   そこが上級以上の魔法行使によって砂化する可能性は

   低くはありますが全く無い訳ではありません。

   長い年月を掛ければ周囲が土壌圏である以上

   元には戻る可能性がありますが、比較的最近の事であれば

   この様な状態でもおかしくは無いかと。』



「例えばここ数日中、とか?」



  『そこまで最近、とは言えないと思いますが

   数か月以内という可能性はあるかと……。』



「数か月なのに風で飛び散らずに真ん丸を保ってると?

 それこそ変な話だと思うけど……。

 だけどこの下に埋まってる、とかもなさそうだよね……。

 それこそ掘れば痕跡がありそうなものだし……。

 どの場所もある程度掘ってもサラサラ乾いてるし……。」



  『そうですね……、ここに魔物が住んでいる可能性も

   あったのですが、それであれば痕跡は一律で消えているでしょうし

   まっ平なのがおかしいですから。』


「魔物?」


  『いわゆるアリジゴク、アントライオンと呼ばれる魔物です。』


「ああ、あれはすり鉢状だよね……。」


  『はい、この世界でも魔物と昆虫の両方が存在しますが

   昆虫の方は地球に存在するものと同サイズですが

   魔物の方はこのくらい巨大な蟻地獄を形成します。

   さらに本来はウスバカゲロウの幼虫、幼体を指す言葉ですが

   アントライオンはその幼虫、幼体の姿が成体で

   それ以上の成長はしません。』



「ずっとアリジゴクのままなの?」



  『はい、この世界で空と言えばグリフォンにワイバーンにハーピーにと

   空飛ぶ魔物はそれなりに居るのですが

   やはり空の王はドラゴンですので……。

   飛べたとしても即おやつになりますから。』



「おやつ……食事ですら無いんだ……。」



  『ドラゴンは躯体の大きさが全長で100メートルを超えるものも多く

   それでいて無尽蔵に近い魔力を持ち合わせた上で

   力もあり、素早いと欠点が非常に少ないのです。

   それにドラゴンは基本、魔物ではなく種族です。

   知性を持ち合わせ、人語を介する事も多ければ

   竜人族などの派生種も非常に多かったり

   ドラゴンそのものが人の姿を取る事も出来るのです。

   ゴリラが霊長類最強であれば、ドラゴンはこの世界では最強です。』



「………何か言い方が引っ掛かるね。

 この世界『では』最強??」



  『それはマスター相手の会話だからですよ……。

   現代兵器のいくつかはドラゴンでも

   耐えるのが難しいものが多いのです。』



「ああ、そういう……。」


 特にドラゴンは物理は鱗の防御力等で何とか出来ても

 逆鱗など、弱点となる場所もある事から

 あくまで現代兵器が無尽蔵、という前提であれば

 地球の防衛力の方が高いらしい。



  『まぁ相まみえる機会自体がありませんので。

   あくまで推論でしかありませんが……。』



「この手のは好きな人は好きだからね……。」



 その後もジェスターを探すも見つかる事は無かったのです。


 魔導列車に関しては、その所有国であるディメンタール王国や

 最初に爆発した地点である国、オーサムホード王国や

 最後に全てが爆発した地点である国、ホルホルホ王国などが

 その事故を検証、そしてそれを世界に向けて魔導放送で伝えたのです。


 死者1000人超、生存者が僅かに12名。

 その大半がオーサムホード王国で列車から落下して

 奇跡的に助かった人達だとか。


 一応、この世界にも新聞が存在し

 まぁ手書きなんですけどね……。


 立ち寄った街で見る限りはさらにこれを事件としたものの

 その主犯とされる世界的な空賊団「ストーム()」の

 たった1部隊による犯行である事。


 使われた魔導飛空艇に小型魔導飛空艇は

 様々な国の軍施設から盗まれたものであるなど

 各国の軍備の保管体制など、様々な問題点が

 浮き彫りとなっているとまで書かれたいたのです。


 ただそこにはあの双児宮(そうじきゅう)のジェスターについてもだけど

 オラクル聖王国についても触れられていなかったのです。



「まぁ、逃げ出したってなら関係ない……

 とは思いたくないね……。」



  『あくまで本人がそう言っているだけですから。

   オラクル聖王国もそうですが、ガングレリと無関係と

   まだ決まった訳ではありません。』


「そだね、一応ソニックさんに連絡しますかね……。」


 高い魔導通信機の利用料もウィンガード王貨のお陰で

 困る事無く使える、というのはありがたいけど

 何かこれを見越した感じがして、少しだけ

 お金があるのも困りものだとも思った。


 まぁ連絡はあくまで簡潔に伝えた程度で

 ソニックさんはオプティロン大陸のホルホルホ王国に

 私が居ると知り、今回の魔導列車に乗っていた事を知ると

 今回の件について、3つの国はどうやら落としどころを探しているらしく

 私は生存者として名乗り出ない方が賢明だと言われたのです。


 特に身分証やら登録証の類などを確認されている訳でも無く

 犯罪者として登録されているかどうか、魔力の波長と呼ばれる

 1人1人が違う部分だけの確認をサッと行われるだけで

 せいぜい解るのは何人乗っていたか、と言う程度。


 名乗り出なくても問題はないどころか

 むしろ名乗り出た方が問題になるのだとか。



「むしろ落としどころ、って空賊が原因なんだから

 そこを落としどころにするものじゃないのかね……。」



  『人族らしいです考え方ですね。

   お金は持ってますし、3国から王族扱いの第一種後見。

   マスターが落としどころになり兼ねないですね。』



 新聞では文〇砲ではないけど、しっかりと空賊のせいで起きた事件、と

 しているのだけど私の見たホルホルホ王国の魔導放送では

 事件ではなく事故、としているのです。


 これをソニックさんは、乗客の誰かにその責任を

 おっ被せる可能性がある、と読んでいるのです。

 その最たる候補が私、と言う事なのだとか。



  『その前に多少地面が平らになったり、へこんだりした程度で

   特に街などの人的被害が無いのに

   どんな責任を取らせようと言うのでしょうか……。』


「さぁ、偉い人の考える事は良く解らんですよ……。」



 ジェスターも見当たらないし、当面の間は

 魔導列車が再開される目途も立っていない事から

 私はまた徒歩での旅をする事となったのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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