第142話 G と 嵐 後編
「てめぇ、やってくれたな……。」
「とりあえず黙っててもらっていい?
今、地面に激突してあまりの痛みに悶えつつ
凄くブルーな気分なんだよね……。」
とりあえず軽く地面に非常に小さなクレーター的なものを
作った私に対してかける言葉では無いと思うのだけど?
あの魔導銃っぽいのを2丁持っていた男が
落下直後の私に話しかけてきたけど
正直痛みでそれどころじゃないのです……。
「おいおい、俺の魔導飛空艇を壊したばかりか
俺の手下まで殺しておいて何言ってやがる。」
「知るか馬鹿!そもそもあんた達が
魔導列車何て襲わなきゃ良かっただけの話でしょうが!
それに魔導列車まで爆発させて何人殺したと思ってるのさ!
特に二等車両何て全滅じゃない!
良くあんな酸っぱ臭い車両の中で人殺しなんてしたもんだよね!!」
「何言ってんだ?
俺は悪いが殺せなんて言った覚えはない。
勝手に俺のせいにしてんじゃねぇよ……。
だがお前は間違いなく俺の手下をお前の手で殺した。
つまりお前の責任だろう?」
「ああ、つまり俺様とやらは自らの手を汚さないで
手下共になんでもかんでも好き勝手させてるから
一切の責任はないと、仰っていると………。
んな理屈通じるかぁ!!
今『俺の魔導飛空艇』って堂々と言ったでしょうが!
つまりあんたには所有者責任があるでしょうが!!」
「あ゛?………。
あー、やっぱ駄目かぁ………。」
男が喋った時には既に目の前には居なかった。
そしてドン!ドン!と音が聞こえると同時に
私の後頭部に痛みが走ったのです。
「痛ったぁぁぁぁぁぁ!!
なにすんじゃいこらぁぁぁぁ!!」
「何をする?お前を殺すに決まってるだろう?
俺は魔導飛空艇を壊された挙句に
手下は殺された上に何も稼げてねぇ。
これぁつまりだ……。
お前程度が死んだ所でなんとかなるもんじゃねぇが
俺の気が面の皮の厚さ程度は晴れるかもしれねぇだろ?」
「なんで疑問形なのさ!?ゴリライアット・ガン!!」
お返しにとばかりにゴリライアット・ガンで撃つも
2丁拳銃のように扱っている魔導銃?だかの銃口から
何かを撃ち出して、素早く移動していった為に
1発たりとも当たる事はなかったのです。
「速い……。」
なんて私が言っていると、また男は素早く近づいてきて
私にゼロ距離で射撃された。
しかもゼロ距離射撃だけでなく、ある程度の距離から
撃ってくるし、尚且つまっすぐ飛んでくると思えば
突然撃った何かが曲がってきたり、突然角度が変わって
跳弾みたいな感じに私に当たってくる……。
「つか痛いっつってんでしょうが!!」
「お前、それが痛いで済んでる事が異常だからな?
普通、どれが当たっても1発で死ぬからな?」
「はっ!弾頭入りの弾か魔法だか知らないけど
あんたの力不足なんじゃ無いの!?」
「いや、お前が異常なだけだからな?
普通のやつならとっくに死んでるぞ?
まぁ、お前が死なねぇなら仕方ねぇよな。
あいつらに死んでもらうから良いよ。」
あいつら。
そういって銃口を向けた先は魔導列車だった。
あの側壁を壊した後に徐々に速度が落ちて
ここからは遠いものの、止まっているのが
なんとか確認出来ていたのです。
このままだと撃たれる……。
今までは弾丸のような非常に小さいものが
あの銃のようなものから放たれていたけど
もしかすればもっと広い範囲を撃てる、大きな弾を
撃てる可能性を完全に否定出来ない。
止めるしかない、だけどどう止めれば良いのか。
あれだけの速度にどうやって……。
『ロアーフォーム、マテリアライズと共に
ゴリラ技能「Gプロボーク」を発動!』
私のフォームがベーシックフォームからロアーフォームへと変わり
右掌が男へと向いたのです。
それと同時に男が引鉄を引くと、その弾道は弧を描いて
私に向かってきたのです。
『ロアーシールド開口、嚥下!』
そして飛んできた弾のようなものはロアーシールドの
ゴリラの口へと吸い込まれていった。
何か口がモグモグしているのが気になるけど……。
『吐出!』
そして吐き出した、と言うよりこれ……。
吸収反射!?
そしてその吐き出したものは男を追い始めたのです。
「俺の魔法を……、なんて言ってるばあいじゃねぇ!!」
あれ魔法だったんだ。
だけど銃で逃げ回っても、それが延々と追いかけてくる。
ニクジュバンニ曰く、ロアーフォームで行ったのは
Gプロボークと呼ばれるゴリラ技能で
この技能の対象となった者は、私以外を対象とする事は出来ない為に
魔導列車を狙って撃った魔法が曲がり、私に向かってきたのだとか。
そしてそこに続いたのがロアーシールドの能力で
口を開いて「嚥下」で食べさせた攻撃を
「吐出」で吐き出し、その元々の攻撃を放った相手へと
お返しする、やはり吸収反射と言っておかしくない攻撃だったのです。
『Gプロボークを発動!』
男は追っかけてくる魔法が延々と追いかけてくると判断し
銃を向けて魔法に魔法を当てようと引鉄を引いたのです。
しかし撃ち出した魔法はまたも私へと曲がる様に飛んできたのです。
『開口!嚥下!吐出!』
それも再度ロアーシールドの口へと吸い込まれ
再度吐き出され、追いかけてくる魔法が2つに増えたのです。
魔法が増えた事で男は逃げ難くはなったものの
銃を上手く扱い、逃げ続けていた。
っていうかあれ、本当にずっと追うの?
『あれは魔法なので最大10分経過すると霧散します。
また物体でも可能で、やはり最大10分間追いかけた後に
その場で落下します。
しかしあの男は重要な事を忘れています。』
重要な事…?
『その10分間、マスターが何もしないで
見ている事は無いと言う事です。』
なるほどね……。
「ゴリライアット・ガン!!」
私は逃げ続けている男を追いかけ始め
ゴリライアット・ガンで狙い始めたのです。
「しつけぇ!」
男は私が寄ってきた事で、追いかけてきている魔法を
私に擦り付けようとするも、魔法自体が私を避けて行った。
『考えはほぼほぼ正解ですが、曲げる事が元々出来る魔法では無意味です。
せめて曲がらない魔法か、物理的な物体にすれば
マスターに当てられたのですがね……。』
おい、そこは重要なところではないかね?
ちゃんと先に説明しようよ!
『まずご自身でマニュアルを読むべきではないかと。』
ほぅ、緊急事態の最中に読めと??
『地球人は歩きスマホが得意ですよね?』
私はしてないし、得意でも無いからね?
っていうかただの自殺行為じゃん……。
そして散々追いかけていた魔法は
制限時間を待つ事無く、ついに男に1発が当たり
そのまま爆発し、さらにもう1発が追いかけるように
爆発に突っ込んでいき、2つめの爆発が起きたのです。
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つけていただけると、作者が一喜一憂します!