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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第8章 魔導列車編
138/178

第138話 G と 分断された魔導列車。前編

 それは私が中間地点から間もなく

 最後尾につくか否か。


 その位の距離で、最後尾近くで籠っている

 冒険者が振り向き、目が合った瞬間には

 その塹壕が突然、爆発を起こしたのです。


 私はとっさにロアーシールドを構えて

 その爆発に備えたものの

 魔導列車がその爆風で軽く浮き上がり

 私の立っている屋根まで浮き上がったのです。


 とっさに手を伸ばし、屋根にあった出っ張りに捕まり暫し。


 気が付けば最後尾の車両どころか、その手前の車両などが

 黒い煙をあげ、遥か後ろに消え去っていっただけでなく

 私の居た車両すらも半分近くが無くなっていたのです。


 そして見える乗客の姿。

 どうやらここは四等車両だったようで、多くの人達が

 次々と電車から落下していく姿が目に映っだのです。





  『ゴリラアーマー、強制停止!!』


 私はどうやら無意識に、その人達に

 手を差し伸べようと、その残った車両ギリギリの位置まで

 駆けていこうとしたらしく、それをニクジュバンニが

 強制的に止めたものでした。



  『マスター!今ここでマスターが助ける為に飛び降りたとして!

   残された人達がこうなる可能性を考えもせずに

   飛び降りようなど、私は許可できません!!』



 その言葉に、私は一呼吸。

 大きく吸って、吐いた……。


 そして身体が動くようになったのです。

 ニクジュバンニが私が落ち着いたからか、強制停止を解除したのでしょう。



「そうだね……。」



 この状況はどう見ても爆薬のようなもので

 魔導列車の一部が爆破された状態。


 つまりまだこうなる可能性がある……。


 念の為、車両内を確認しに降りると

 既に残っていた人達が先頭車両に向かって

 我先にと争うように詰め掛けていたのです。


 最早パニック状態、と言っておかしくもない状況なのですが

 問題があるとすれば………。



「確かこの先も4等車両……。」


 半分近く壊れた4等車両から

 壊れていない4等車両に移動するとして。

 どこも人は多いのだから、入りきれるかと言えば………。



「どうした!早く開けろ!!」


「駄目だ!先の車両の扉が開かない!!」


 最初は先程の爆発の影響で開かないのか、と思えば

 そうではなく先頭車両の人達が

 扉が開かないように押さえ、人の流入を防いでいたのでした。





「ふざけるな!ここを開けろ!!」


「馬鹿を言え!そこに空賊が居ないとは限らないだろうが!

 それにこっちはもう足の踏み場も無いんだ!

 受け入れる余裕なんか無い!!」



 この半壊した車両から既に落ちてしまった人達が居る。

 それを抜いても、この車両は非常に危険だと言うのに……。


 それこそ一番後ろに居る人達は怪我もしていて

 何より車両の床は1メートル程度しか猶予が無い。

 それも全員立っていて、の話。


 このまま誰かが倒れでもしたら

 更なる犠牲が出る……。


 それだけではない。

 そもそも今は夜なのだから、真っ暗で足元も碌に見えないこの状況。

 皆、眠気から今は冷めてもこんな状態で

 安心なんて無理な話だろう。



「ミニゴリラ!そしてゴリ(ライト)

 ゴリラ内癒(キュア)!ゴリラ外癒(ヒーリング)!ゴリラ再生(リカバリー)!」



 まずはこの半壊車両全体をミニゴリラによって明るく照らし

 そして怪我人を確認して、次々とゴリラ聖属性魔法の

 癒しの魔法で癒していったのです。



「あ、ありがとう……。」


「いえ、ただ問題が……。」


 怪我をした人達の中には魔導列車の破片が体内に

 入っている人が居て、その人達はどこかで一旦破片を取り出してから

 癒さなければならないのです。


 癒しの魔法はあくまで癒す事しか出来ず

 異物などが取り除ける魔法では無く

 そこには外科的治療に近いものがなければ

 体内に残存し、結果それが原因でいずれ命を失ってしまう。


 そういう可能性のある人がそれなりに居るのです……。


 そしてもう1つの問題。


 それはこの寒い夜の中、半壊した車両が

 いつまで持つかも解らない事。


 今はまだ1つの台車がかろうじてレールに乗っていて

 支えてくれてはいるものの、いつ壊れるかも解らない……。


 それに先頭車両の方の状況も不明。


 たった今放ったミニゴリラ達に見にはいかせているものの

 1つ前の車両はどうやらかなり人が多いようだけど

 座って寝る事位は出来る程度の乗車率だったのです。


 そしてそこを力づくでも開けさせないように、と

 前の車両の乗客が扉を力いっぱい固定している状況。




「この中にご家族などが別の車両に居る、と言う方は居ますか?」


 確認してみるとそれはないらしいが

 犠牲になった家族がいる人は多かったのです……。



「やっぱり前の車両の扉を開けるしかないですよね……。」


 いくつか何とかする方法を考えたけど

 屋根伝いは危険すぎる。


 何しろ空賊が居る可能性も考えられるし

 未だ小さな魔導飛空艇もいくつか飛んでいるのが解る。


 お互いの衝突を避ける為か

 小さな光がついていて、それによって把握も出来た。


 なら私が今、乗客の安全を考慮した上で

 出来る事と言えば、前の車両に全員移ってもらう事だ……。



「開けるつもりが無いなら壊すよ!

 それで怪我しても、一切責任は負わないからね!

 緊急時なんだからさ!!」



「ふざけるな!こっちはこれ以上人は入れねぇんだよ!!」


「嘘ついてんじゃないよ!

 座って寝る位の場所がある状態を

 人が入れないって言わないんだからね!」



 扉の外と内で言い合いしている時間も勿体ない。

 私は力を籠めて扉を開けた。


 それもほんの僅か開いてくれれば良い。

 あとはミニゴリラ達が扉の内側の連中を排除してくれれば

 あとはすんなりと開くのですから。



「さぁ、今のうちにっ!?」


 そして最悪の事態が始まったのです。


 私の居た車両の崩壊が始まったのか

 台車が耐えきれなくなったのか。


 車両が軽く浮き飛び、奇跡的にレールの上に戻る。

 そんな事態に、何人かの乗客が

 車両から落ちそうになったのです。


 しかし近くに居た人達が手を伸ばし

 それを防いだものの、実は半壊している車両と

 その前の4等車両。


 その連結部分が壊れ、今は私が掴んで繋いでいる。

 さらに移動の際に乗る金属板も落下し

 どこかに消えた為、移動するには飛び乗る必要性がある。


 そんな状況へと発展したのです。



「急げ!もうこの車両は持たないぞ!」


 1人の男性の言葉に、皆が一斉に前の車両の扉に

 迫ろうとした時。


「急ぐなぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 私は大声をあげた。


「私は冒険者だ!この程度を掴んでいる位なんら問題は無い!

 だけどあんた達が慌てふためいて扉に迫れば

 誰かが落ちたりする危険性があるんだよ!

 だから急がず!騒がず!順番にゆっくり前の車両に移動して!」



「ばっ、馬鹿な事を言うな!!

 これは魔導列車だぞ!?

 お前みたいな小娘が支えられる訳ねぇだろうが!!」



「馬鹿はどっちだ!

 今、目の前で支えているのが現実でしょうが!

 もう下の連結部分は無いんだよ!渡し板も無いの!

 あんたと言い争っている時間が一番の無駄!

 女性や子供、怪我人から先に先頭車両に移動させて!

 だけど慌てない!急がない!

 その間、支える位が出来なくて何が冒険者だ!

 これでもBランク冒険者なんだよ!

 あんたの物差しで私を見くびらないでほしいね!!」


 いくらゴリラ以上の力がある、とは言っても

 魔導列車一両の半分を私が手の力だけで繋ぐ。


 これほど辛い事だとは思っても居なかったけど

 今はとにかく乗客を前の車両に移動させる。


 それだけを考えて、気合を入れ直したのです……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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