第135話 G と 地獄絵図。
気分転換も終わり、2等車両に戻ると
まぁ酷い事に酸っぱ臭い匂いが漂っていた。
まぁ2等車両に限らず3等車両も酷ければ
4等車両なんて阿鼻叫喚の世界だったのです……。
「で、結局ここに居座る事にしたと。
懸命な判断だな……。」
ホットルさんも「ずっとここに居る訳じゃない」と言っていたけど
実際は厠に行くときは降りるだけで
あとはずーっとここらしい。
「まず屋根の上は寒い上に雨なんて降れば最悪だ。
だからこそ依頼料も屋根の上の方が幾許かは高い。
だが問題は慣れてない奴が良く吐き散らすからな。
駅馬車より性質が悪いもんだ。
1等車両であれば個室だからなんとかなるだろうが
高いからな……。」
「匂いは我慢したとしても、何か食べたり飲んだりを
したいとは思わない上に貰いゲ〇しそうで……。」
「だから懸命じゃと言っておるだろ。
まぁ幸いここは塹壕のようなものだし
1人で寝るにしては少々広い。
同じBランク冒険者なら問題はあるまいて。」
まぁ車内が地獄絵図なので、ホットルさんの居る場所を
間借りする事に……。
そんな時、あれが聞こえたのです。
トー
フー
ゴリラッパの音だ。
【ゴリラ武器「ゴリライアット・ガン」がレベル2になりました。
新しい形態が追加されました。】
何、新しい形態って……。
それよりファンファーレはどうなったの?
『新たにスナイピングライフルフォームが追加されたようです。』
…………ファンファーレについては?
『ファンファーレは使用不可となったようです。
お豆腐屋さんの笛の音か石焼き芋やさんのテープ音か
チャルメラかゴリラの4択になったようです。』
ちょっと待って、3つは何だか把握できたけど
最後のゴリラって何かな?
『さぁ、流してみましょうか?』
…………嫌な予感がするのでパス。
高収入な求人のゴリラ、という可能性が
最も高い気が凄いするんだよね……。
トー
フー
またゴリラッパの音だ。
【ゴリラ能力「ゴリラトラック」をひらめきました】
【ゴリラ能力「ゴリラバス」をひらめきました】
【ゴリラ能力「G〇RILLA」をひらめきました】
【ゴリラ能力「無限軽油樽」をひらめきました】
【ゴリラ能力「無限灯油樽」をひらめきました】
【ゴリラ能力「無限レギュラー樽」をひらめきました】
【ゴリラ能力「無限ハイオク樽」をひらめきました】
うん、最早ツッコミどころが多すぎてどこから手をつけて良いやら……。
多分トラックとバスってゴリラではなくバ〇ラだよね?
魔導二輪、とかじゃない所とか
よく見るとハイオクとレギュラーはまぁ解らなくもない。
なんで灯油があるのさ……。
不正灯油、なんていって軽油に混ぜたりとかして
少しでもディーゼル車の燃料を安くしよう、なんて人が居るとか
ニュースでやってた時期あったね……。
確かクマリンだかイヌリンだかっていう蛍光塗料?的なものが
灯油に入っていて、調べればすぐに解るし
そもそも匂いとかでバレるらしいから、良い子のみんなは
真似しないように、両手にお縄がかかるよ??
『その前にG〇RILLAには触れないのですか?』
H〇NDAモンキーの派生品だし、そもそも超ゴリラ関係あるから
突っ込む必要性無くない?
個人的にはどちらかと言えばモトコンポ派なんだけどね……。
『そもそも身長が足りなくてそれしか乗れませんでしたからね……。』
悪かったね、短足で……。
リアのフットブレーキには届いたけど地面に届かなくて
ス〇パ〇カブとか乗れなかったんだよ?
最近は女性がバイクに乗ったりとかするのがあるけど
あれはある程度身長があって乗れるものだからね……。
『その割にロードバイクをお持ちでしたよね?』
あれは子供用もあるから良いんだよ……。
クロモリとかなら受注生産品もあるし。
『ST―24〇〇搭載のアルミフレームにした後
劣化すると突然折れると聞いて
5年目以降ビクビクしながら乗ってましたものね。』
人の奥深い所に仕舞い込んでおいた記憶を
勝手に持ち出すのは良くないよ?
で、話がかなり逸れたけどこのひらめきは何の為かね?
『魔導銃の弾が臭くて気絶するのであれば
マスターも同じ事が出来る、と考えて良いのでは?
相変わらず気絶時間はたった1秒ですが……。』
あと弾は「ゴリラの〇くそ」だけどね……。
『毎回誰かしらが美味しくいただいています。』
食らわせてる、の間違いな気もするけど……。
『まずい〇とか弾になりませんかね?
売り上げに貢献できそうですし……。』
ゴリラ関係ないから、多分自重した方が良いと思うよ?
「なんでぇ、嬢ちゃん魔導銃なんて持ってるのか?」
「まぁ、似たようなものですかね……。」
弾が甘納豆ですから……完全に別物だとは思うけど
一応気絶するので賊が出た際に備えて用意しておき
屋根の上で一応初めての魔導列車の旅を満喫する事に。
「まさか魔導列車の上で焼いたレインボーマスを食うなど
考えもしなかったぞ?
これで酒精でもあれば最高なのじゃがの」
「依頼の真っ最中なのに……。」
トー
フー
またゴリラッパの音がしたけど
多分、確認すると禄でもない結果になる気がすると思い
何が起こったのかは確認しなかった。
多分、酒精の入った樽でも
ひらめいたかなと思いつつ……。
そしてその日の夜。
本格的にこの魔導列車を襲いに来た賊が居たのです。
「嬢ちゃん、起きろ!空賊だ!しかもこいつぁ大物だぞ!」
「うひょはう!?」
ベーシックフォームでバイザーを閉めて寝ていた私は
ホットルさんの大声で起きると、空には巨大な船が浮いていたのです。
「魔導飛空艇だ!あれだけの大きさは
よほどの空賊じゃろうて!!」
確かに大物だ。
少なくともクルーザーのような類ではなく
目測で50メートルくらいの全長がありそうな
木造船にも見える巨大船が空に浮き、魔導列車に向かって
灯りを照らしていたのです。
そしてここからが私が思っていたのと
かなり違う、賊との戦いが始まったのです。
星5点満点で「面白い」や「面白くない」と
つけていただけると、作者が一喜一憂します!