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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第7章 オプティロン大陸編
133/178

第133話 G と 魔導列車

「おおおおお!ごっついどー!!」



  『これが魔導列車です。』



「何かSLっぽいね!っていうか流石に実物なんて

 新橋駅の日比谷口でしか見た事無いけどさ!」



 魔導列車。

 電気で動く電車に対し、こちらは魔導具で

 魔力(マギ)で動力車の車軸を回転させて動かすものだとか。


 ただどちらかと言うと現代的な電車ではなく

 Steam(蒸気)Locomotive(機関車)チックな見た目。


 しかも動力車は先頭車両だけだそうで

 現代的な途中に動力車がある訳ではなく

 先頭車両一両だけで連結されている車両を引っ張るらしい。


 中は魔導船のように等級別に分かれていて

 3等車両はデッキスペースのついたクロスシート。

 2等車両は4人席が1つになっている個室型の4人部屋。

 1等車両は同じ作りではあるものの4人部屋を個室として利用する形式。


 ただし4等車両は椅子が全くない完全な立ち席。

 途中途中に捕まるポールのようなものはあるけど

 完全に床にそのまま座る作りだったのです。



  『どの車両に乗るおつもりでしょうか。』


「2等か1等の2択だよね……。」


  『2等車両を4席でも1等車両と結局は一緒ですからね……。』


「そうだねぇ……。」



 これからいく目的地は世界で最も大きいとされる国。

 ディメンタール王国。


 全てのギルドの総本部がある場所でもあり

 ありとあらゆるものが集まる、とされる場所でもあるとか。

 オプティロン大陸にきたら一度は寄った方が良いらしく

 冒険者ギルドや商業ギルドに寄る度に

 お勧めされたので、いってみようか!とこれから向かうのですが

 まぁ、中々乗車料金がお高め。


 まぁ切り立った山の中をレールが通してあったりする上に

 正直に言えばナックルウォーキングで走るより速い。


 最高速度は時速200キロまで出せるらしいけど

 安全運転の為に時速100キロ程度までに抑えているとか。


 それでも寝ている間も移動出来ると思えば速いのですが……。



「1等車が金貨1枚か……。」

 日本円で100万円。


  『2等車なら銀貨25枚で済みますよ?』


「うーん……。」


 考えた結果、2等車に乗る事に。

 まぁ知らない人と相席になる上に

 夜は椅子を下げて2段ベッドのように変えて

 寝る必要性がある上に半個室である事から

 ドアの鍵が使えないのだとか。


 一応1等車両と2等車両の数は変えられるように

 作りは全く一緒で、違いはドアに鍵がかけられるかどうかだけ。

 荷物の持ち込み量にもある程度の制限があるらしく

 荷物の多い人は複数の席を使う事もあるとか。



「まぁ持ち物は全部ゴリラコンテナだから

 盗難とかは気にしなくても良いか……。」



  『一応特等車両もありますけど?』



「それは駄目、価格が違い過ぎる……。」

 一応、車両1つを丸々1部屋として作られている

 特等車両なる場所もあるのだけど、お値段も特等。

 何が悲しくて白金貨1枚も支払って乗らねばならないのかと……。



  『お金を持ってる割には貧乏性ですよね?』



「乗車料金1億円と100万円と25万円の差を貧乏性、と言うのはおかしい。

 せめて節約、と言っていただきたい。」



 ちなみに4等車両は論外。


 何しろ4等車両は銀貨2枚銅貨50枚で乗れるからなのか。

 少々空いている感じの通勤電車を思い出す乗車率で

 選択肢に入れる事すらなかったのです。



  『マスターの基準は東京、と限定されますので

   地方の方には想像つかないかもしれませんね……。』


「ロングシート車両の座席は満席。

 立っている人も身体が触れる程では無いけど

 それなりに混んでる土日昼間の埼京線とか山手線並かな……。」



  『増々解り難くなった気もします……。』



「じゃあ名古屋と大阪に行った際の夜の地下鉄……。」



  『難易度が上がっていませんか?』



「じゃあ阪急梅田から上ヨ〇バシ梅田を目指すくらいの難易度で……。」



  『難攻不落の初見殺しではないですか……。』



「あそこは梅田地下迷宮(ダンジョン)だからね……。

 つかなんであんたが知ってるのさ……。」



  『アカシックレコード(世界の記憶)に記載されていました。』



「何でも記憶させてるのか……。」





 魔導列車の切符を買い、ワクワクして待っていると

 次々と2等車両には人が入ってきて

 私のいる4人部屋も埋まり、いよいよ発車時間となり

 鐘の音が鳴り響いたのですが……。



「ん?なんでこの列車後ろに下がってるの??」


「はは、嬢ちゃんは魔導列車は初めてかい?」


「ええ、まぁ。」


 同じ部屋になったおじさん曰く

 魔導列車が完全停止している際には多くの魔力を消費して

 動き出す必要があるのだけど、魔導列車というのは

 いわば充電池のように、魔力を蓄えた魔石から

 魔力を消費して動力としているのだという。


 つまり電車のようにパンタグラフや線路から

 電気を取る訳では無いので動力が有限だからこそ

 後ろに別の力で引っ張り、そして前へと押し出すのも

 別の動力で動かし、始動時の魔力消費を抑えて

 緊急時にその分を使えるように余裕を持つ意味合いがあるのだとか。


 ちなみに後ろに引っ張る動力は魔導車と呼ばれる

 地球で言う車のようなもので一旦引っ張り

 前に進む動力にはぜんまいばねに近い構造の

 カタパルトのようなもので進むのだとはニクジュバンニの言だ。


 しかし魔導車も魔力が動力なので

 それは魔力の無駄遣いでは、と思ったけどあくまで魔導列車の中に

 蓄えられている魔力の消費を抑える目的のためだとか。


 途中で止まった場合にはキチンと動力車である先頭車両だけで引っ張る上に

 各車両に風属性魔法による空気の噴出孔があるそうで

 補助機構まで備わっているらしい。


 ただブレーキもこの空気の噴出孔が逆向きになったものが使われるそうで

 車輪には一応はあるらしいけど、効果があまり良くないとか。



  『構造上、車輪とレールとの摩擦力よりも制動力が強く働くと

   車輪がロックしてレール上を滑走してしまいますし

   逆に動力推進時に推進力が摩擦力を上回って車輪が空転します。

   ブレーキ自体は車輪に押し付ける形のもので

   空転を防いだりに使う為に思った程強い力が働かないようになっています。

   基本は車輪のロックを防ぐ為に、物理的なブレーキと

   風属性魔法による逆噴射ブレーキの2つによって賄っているのです。』



 魔導列車よ、それで本当に止まれるのかね……?



  『その為に流線型のようなフォルムではなく

   SLに近いフォルムであえて空気抵抗を増やしています。

   その分、移動の際に使用する魔力が多くなる為

   こうして魔力消費を抑え、いざという際に備えているのです。

   それと緊急時にはもう1つのブレーキが作動します。』


 ほぅ、緊急用にあるんだ……。

 サイドブレーキみたいな?



  『人力です。』



 はい?人力????

 人の力でブレーキかけるの??



  『その為に乗車している職員には筋肉自慢の方がいらっしゃるのです。』



 まさかだけど先頭車両がごつい理由って……。



  『はい、その筋肉自慢の方々が前に出て

   押し返す為です。』


 私はこんな危険そうなものにワクワクしながら乗っていたのか、と

 思ったけどニクジュバンニがゴリラアーマーを着ているから

 死にはしないだろう、と言ったものの

 ワクワクが止まらない、からドキドキが止まらないに変わったのです……。


 ドキドキワクワクのドキドキではなく

 お化け屋敷とかホラースポットとかで発生するドキドキが……。



  『仕方ありません、風属性魔法による空気圧のブレーキも

   開発はされたのですが、車輪がロックして危険だと

   判断した故の対処のようですから。』


 嗚呼、一応は失敗の積み重ねの結果なんだ……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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