第131話 G と 決勝戦 と 結末。
「さぁ、ついに最終日!
たった1試合だけですが、この試合によって
ライスパディフィル王国タニーガ本部の前期Bランク昇級試験が
終わりを告げる事となります!
そしてこの試合の勝者はAランクへの昇格が決定し
永遠の冒険者となれるのです!
半年に1回ですが、最終日もお馴染み!
実況中継は2階フロアマスター!みんなのチルタフちゃんと!」
「ロリコン殲滅協会会長、チウロイ」
「……………の2人で、ではなくリラ選手!?
何チウロイと握手しているのですか!!
選手入場まで待機しててください!!
え?ロリコンはゴブリンと一緒で世に出てこないのが良いロリコン?
表立っているロリコンは殲滅するのみ!?
何を訳の解らない事を言っているのですか!!
え?またスイッチが入ってる!?」
「リラ選手には名誉副会長の座を進呈します……。」
「何勝手な事してるのよ、チウロイ!」
「尚、当修練場の結界はロリコンの前のみ穴が開いております。
ロリコンな方は精々ご注意ください、ロケンロー……。」
「はい!今のは無しで!
それでは気を取り直していきましょう!
選手入場です!!」
『何を馬鹿な事をやっているのですか……。』
「馬鹿な事とは酷い言いぐさを。
表立つロリコンなど百害あって一利なし。
汚物は消毒だよ?
存在して良いのは決して表立たず
内々に秘めておくびも出さない、ロリコン紳士限定だよ?」
『ロリコン紳士が何かは解りませんが……。』
「つか変わった冒険者だね。
フードを深く被って顔1つ出さないだなんて。」
『マスターも滅多に顔出していませんよね?』
対戦相手として上がってきた人物は
ローブを纏っていて身体は殆ど見えない上に
フードを深く被っていて顔も見えない。
解るのは身長くらいでしょうかね……。
そして開始線につくとそのローブを脱いだことで
全容が見えたのです。
白い仮面をつけた男性。
その姿が見えただけで観客席からは
まぁ黄色い声?というのが飛んできたのです。
「さぁ、ついに決勝戦!
賭けの1番人気と2番人気がここに揃うという
まさに決勝戦に相応しい試合が見られるかもしれません!
1番アレン選手と逆シードから上がってきた20番リラ選手!
その2人が今、開始線につきました!!」
なんだかねぇ……。
あの白い仮面のアレンとか言う人。
まぁ仮面をつけてても目の部分だけなので
見てイケメンと解るからこその黄色い声なのだろうけど……。
それだけじゃないんだろうなぁ……。
手が震える、足が震える、身体全体が震える……。
『それは武者震いと言うのですよ。』
武者震い、ね……。
いやぁ、なんていうか……あの人強いよね?多分。
『さぁ、マスターがそう思ったのなら
そうなのではないでしょうか。』
いつもと違ってやけに曖昧な答えだね……。
『マスターのその感覚が合っているかどうかなど
戦ってみれば解る事では無いでしょうか。』
……………何か拗ねてる?
『それはそうですよ!!
なんで決勝戦だけライトフォームなんですかね!?
ゴリラが!ゴリラ成分が極端に少なすぎじゃないですか!?』
んー、ニクジュバンニのお怒りは解らなくはないけどさ。
なんか今日はこれって感じ感じなんだよね。
『ならベーシックフォームで良いではありませんか!』
ゴリラに拘り過ぎなんだよ……。
『当然です!ゴリラなのですから!!』
はいはい、解ったから……。
で、あの人強いの?
『話聞いてましたか!?
戦ってみれば解ると言ったではないですか!!』
エー、何その勿体ぶった感じ……。
『たまにはマスターも相手の強さ位
自分で感じる必要性があるのです。
なんでもかんでも私に頼っていては強くなれませんよ?』
……………支援役の癖に……。
こんなのほぼ「ニコイチ」じゃない……。
私とニクジュバンニ、2人で1人分じゃないのかね?
『私1人で100頭のゴリラの群れを一瞬で
倒せる位には強いのですよ?』
うん、ゴリラ基準じゃ解らないわ……。
『ともかく打ち合えば解ると言うものです。』
このケチンボめ……。
『この世界の人族はどうしてこういう茶番が
大好きなのでしょうか……。』
「まぁ壮大な茶番だったね……。」
ここまでが決して妄想とか、夢オチとかいう訳では無いのです。
開始線につき、お互いが対峙し
あとは「構え」と「はじめ」の合図があれば
決勝戦は始まり、そして決着がつくまで
戦っていた事なのでしょうね………。
「まさかライスパディフィル王国の王族がアレンとやらを
勝たせる為にあんな手ぇ使うとはね……。」
まぁローブを脱げばまぁ王子様系にも見えなくもないから
応援したい気持ちが解らないでもない。
「だからといってゴリラアーマーにクレームをつけるとか
意味が解らない………。」
なんでも決勝戦はわざわざライスパディフィル王国の
王族が揃って観戦にやってくるのが慣例だそうで。
そして観戦していた第一王女とやらが
私が「はしたない恰好」とか
イチャモンをつけてきたのでベーシックフォームになると
今度は思いっきり叫び、その原因が全裸で何も着ていないとか
訳の解らない事を申し出てくれた事で
何か私が悪い、と言う事に……。
「いくらなんでも全裸はないわー……。
これ一応、鎧なのにね……。」
まぁアレンとやらが入場してきた時に
恋する乙女的な目をして、黄色い声援を飛ばしてたけど
あの第一王女、とやら。
正直、私から見ても行き遅れなお方だった。
「普通王族なんて他所の国の王子だのと政略結婚させられて
飛ばされるものじゃないのかね??」
『まぁ、あのご様子ですとそれすらも
叶わなかったのではないでしょうか。
ライスパディフィル王も何か頭を抱えていましたし……。』
とりあえず第一王女が全裸だなんだと騒ぎ立て
私を痴女扱いした挙句に勝手に怒り狂ってくださり
その甲斐あってでしょうかね。
アレンの不戦勝、と言う事で落ち着く形に。
今頃、優勝したアレンはあの行き遅れ第一王女と
楽しく?歓談なさっている事でしょう。
何しろ優勝者にはAランクへの昇格もなのですが
副賞として王族主催の優勝記念パーチ―とやらが
くっついていたそうでして。
ちなみに私は表彰式も辞退する事となり
まぁ王族1人の我儘もあった上に
これが特別試合と言う事もあってか
2位ではなく4位、と言う扱いになり
結局準決勝自体しなくて良かったじゃないか!と
私も怒りたかったんですけどね……。
『マスターが王族の為だけに作られる特別米が
副賞、と聞いて呑んだんですよね??』
「いやいや、だって優勝出来ないなら
2位も3位も4位も一緒だよね??
なら副賞が私的に一番欲しかった4位になったとしても
何ら問題は無い、って事じゃないかな?」
『まぁ……Aランク昇格が無いなら
Bランク昇級までで十分ですね。
これで1年間は失効しないで済むのですから。』
「だよねー。」
結局、Bランク昇級試験は合格。
1位を取って、そのままAランクと言うのは叶わなかったけど
これで昇級試験も無事終わり、私はササっと
ライスパディフィル王国を後にしたのです。
『決勝戦があると思っていた読者はどう思うのでしょうね……。』
「どっかで聞いた事があるよ。
作者は読者の予想を半分叶えて、半分裏切るものだって……。」
『ただ単に飽きた訳ではないですよね?』
「さぁ、私は作者じゃ無いし……。」
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