第128話 3回戦 第4試合 後編
デルトロの顔の青さに脂汗に
私の目をまともに見ない困った感じの表情。
「残念無念っ!」
これすらも私を騙すつもりでいたとみた。
もうほぼ盾はすぐ後ろまで来ていて私が飛び上がって躱すと
デルトロの腕を掴んでいる為に、デルトロの腕だけが
私についてくる形となった後、盾は綺麗にデルトロの身体に突っ込んだ。
その威力を減らす事が出来たのかは不明だけど
デルトロをそのまま盾の回転に巻き込まれ
身体がグルグルと何回と回った。
まぁ、腕を掴んでいる私も一緒に回る羽目になってるんだけどね……。
でもこの腕は放さない。
超接近出来たこのチャンスをみすみす手放すつもりは毛頭ない。
このまま私は腕をリバースフルネルソンへの形へと移行!
「回転式GGG!!」
簡単に言えば相手を顔面から地面に叩きつける技。
空中回転した所から始めたので一応、回転式?
ちなみにゴリラなのでGGGでトリプルジーだけど
本来はFFFでトリプルエフ。
正式には高角度ペディグリーという技。
「で、終わる訳が無い!」
その状態から手を放さずに自分だけ足を立て
そのままデルトロを一気に持ち上げる!
そのまま危険な角度で落とし込む!
「ゴリラ・ドライバー91!」
こちらもリバースフルネルソンから入る技で
ダブルアーム・スープレックスのように相手を持ち上げて
相手の両腕を放すと同時に相手の体を反転させて相手の胴を両腕で掴む技。
タイガー・ドライバーとかタイガー・ボムとも言うけど
一番危険なのがこの腕のロックを一切解除しないで垂直に落とす
正式名称はタイガー・ドライバー91、某F91とは無関係。
ジャンピング系パワーボムに分類される技。
ぽっちゃりだけど個人的には好きな2代目タイガーマスクの技。
NOARのテレビ中継とかよく見てたよ……。
『あの……脳内解説と思い出に浸っている所、申し訳ないのですが……。』
ん?
『シールドブーメランが戻ってきますよ?』
え?
ニクジュバンニに言われたものの、時すでにお寿司。
私の顔面にシールドブーメランが飛び込んできて
私は悶絶したのだった……。
「目がー!目がー!」
『そういうのは要らないんで。
バイザーがついてるからそこまでではないですよね?』
「痛いものは痛いんだよ!
目だよ、目!目自体は問題なくともダメージは目に来るんだよ!?
目にダメージなんて早々発生しないよね!?
目潰しに毒霧なんて日常生活で受けないからね?
解る?この気持ち!ねぇねぇ、解る!?」
『そこまで間抜けでは無いのでさっぱり解りません。
あと一旦、プロレスから離れましょう。
というより受け取り手の居ない盾がまた来ますよ?』
「ぉうっとぅ!?
っていうかこれいつまで飛んでるのさ!」
『盾に籠められた圧と魔力が
切れるまででしょうか。
しかも投げる際に決めた軌道を飛び続けるので
触らなければどこかに逸れる事もありません』
「迷惑な盾だね……。」
『上位盾技能である|シールドチェインブーメラン《盾鎖投》であれば
飛ばした本人が止めたり、軌道修正したりと
かなり有用なのですが、盾の修練は中々上がり難いというのが
一般的のようですので、Cランクではこれが限界かと。』
「中々辛辣なコメントどうも……。
私はゴリラ技能しか使えないんですけど
その技能自体、まともに無い気がするんだけどね。」
『ありませんね。
一応ゴリラストレートとかパンチなどが
ここに入りますけど、ただのストレートパンチであって
ゴリラ技能という点では
唯一あるのがナックルウォーキングでしょうか。』
あれ技能だったんだ。
普通のゴリラの生体上のものかと思ったよ。
『いくらなんでも普通のゴリラは延々と走れませんよ?』
インドラの矢も放てませんからね?
そういうネタはせめてゴリラッパで「ハト〇少年」でも
吹ける様になってからにしていただきたいものだ。
『あれはトランペットでC管ですよ?』
いや、そこの問題では無いんだよニクジュバンニ。
そもそも「トー」と「フー」しか吹けない
ゴリラッパに何の意味があるのさ……。
『もしかしたらガングレリを倒す最後の武器かも
しれないではないですか。
神と言う存在がチェーンソーの一撃だけで
倒せてしまうかの如く。』
ああ、あれか……。
初回クリア時に持ってて、たまたま使ってみたら
あっさり死んで「は?」ってなったのを覚えてるよ。
『ところでまた戻ってきましたよ?』
「しつこい!?」
盾がずっと舞台をいったりきたり。
当のデルトロは気絶したまま……。
『ここはやはり無理やりにでも止めますか?』
さっき大きく避けるべきっていったあんたは
どこにいっちまったのさ……。
『折角ゴリラアーマーがレベル3になったのですから
試してみる価値はあるかと。』
ちょっと待った。
いつレベル3になったの?
私聞いてないんだけど?
報連相は??
『8話位前でしょうか。』
話で言われても困る。
『1回戦の直前位ですかね。』
2日も前の話じゃない……。
そういうのはさっさと言おうよ。
『知った所で強くなる訳でも無いので
どちらかと言えば「どうでもよい事」に分類されます。』
まぁ、今に始まった事じゃないから
良いけどさ……いや、良くは無いけど。
とりあえずあれを止められるんだね?
『マスターがしっかりとやれば。』
何、私だけに責任おっ被せようとしてるのさ……。
『いえ、真面目な話です。
マスターが気を抜いたりすれば威力が下がります。
恥ずかしがらずに完遂してこそ威力が発揮される
ゴリラ技能ですので。』
技能?
って事は戦闘とかに使う技って事だよね??
『……………ええ……まぁ。』
なんで言葉に詰まるのかな?
嫌な予感しかしないんだけど??
『とにかくやってみましょう!!』
待った、技の名前とかは?
『世の中には知らない方が良い事もあるのですよ?』
ほぅ、知らない方が良い位酷い名前なんだね?却下。
『但し威力はゴリラストレートをも上回るかと』
ぐっ……。
私の最大の攻撃では無いか……。
それを上回る、だけど恥ずかしい?
名前も酷い??
…………………………。
色々考えた結果、デルトロをそのまま場外に放り出して
勝った上で盾は放置プレイを決め込む事にしたのです。
隠し玉として残しておく。
一応、これでBランク昇級試験自体は合格となったものの
Aランクの昇級を勝ち取るにはあと2試合残っている。
その為の隠し玉として………。
『恥ずかしいのが嫌だと素直に言えば良いものを……。』
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