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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第7章 オプティロン大陸編
124/178

第124話 2回戦 第8試合 中編

 それから10分間、クールタイムと言う名の試合中止があった。


 私には警告か注意が来るかと思ったけど

 そもそもいざという時、金的を狙うというのは

 普通にありえると言う事。


 但しこれは実戦ではなく試験としての試合である事。

 私が故意に狙ったものでも無い事から

 こうなるので狙わないように、という説明と共に

 10分の休憩となったのです。


 まぁどれだけ痛いのかさっぱり解らないのだけど

 少なくとも私が得た感触は所詮、木を蹴り上げた感触しか無く

 そもそも金的を蹴り上げた、という気分ですら無かったのです。


 と、言うかこの世界にはファウルカップとか無いのかね??

 確か生まれたのはボクシングが理由だった気がする。

 一応審判の職員さんにもそういったものはないのだろうか、と

 尋ねてみると無いらしく、近くに居た商業ギルドの人が

 「これは商品になるのでは?」なんて話になったりと

 何か試合が違う物事にすり替わり始めていた。





 そして10分後、悶絶していたムッシュが戻ってきた。


「なんていうか申し訳ない?」


「むほほほぃ、故意にした訳でも無いのは解っています。

 こういう事もあるものです。

 むしろこの様な事で中断させてしまい申し訳ない。

 こちらが負けでも致し方ないというのに……。」



 何か「むほほほぃ」とか「そほぉい」とか変な言葉遣いをしてはいるけど

 放してみると根はまともそうな感じの人だった。


「それでは」


「ええ」


「それでは再開!」


 私とムッシュはボクシングの試合開始のように

 拳と拳を一度合わせ、試合を再開した。



  『で、どうされるのですか?』


「真向勝負!」


「むほほほほ!望むところです!」


 防御を捨てたただの殴り合い。

 一切の余計な小細工を捨てた、1対1の拳だけの殴り合い。


 それでもほぼ拮抗した戦いになっていた。

 拳が顔と腹だけに突き刺さる、完全な真っ向勝負。


 しかし私には分があると感じていた。

 今がニンジャフォームである以上、力は最も弱い状態。

 その100パーセントで拮抗しているというのは

 痛い痛くない、を通り越して最早楽しい、楽しくないの世界だった。



 但しどうやら見ている方は思った程面白くないらしい。



  『絵面としては人型に近い木とゴリラが

   殴り合っているだけですから……。』


 そう言われるとそうかもしれない。

 カンガルー同士が殴り合って同じレベルでの争い、というのと

 大差が無い気がしてきた。


 やってる私はノーガードでの殴り合いとか

 楽しいんですけどね……。


 しかもこのままだと何時まで経過しても

 終わりそうも無い事もなんとなく解っていた。



 楽しかったけど、これは勝負であり試合なのだから

 勝たなければ意味が無い。


「シルバーバックフォーム申請!」


  『シルバーバックフォーム承認、マテリアライズ(具現化)!!』


 ベーシックフォームとベーシックフォームを合わせた

 シルバーバックフォームへと姿を変え

 私は停滞した戦いに終止符を打とうとした。



「むほほほほぃ!これはこれは!ならば私も!!」


 私がシルバーバックフォームで押し始めたと思えば

 今度はムッシュが変貌した。


 それまでは普通体形だったムッシュが

 どちらかと言えば筋肉質にも見えなくもない

 筋肉のような丸みを帯びた、ムキムキ感の出ている

 体格へと変わったのです。



「むほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほぃ!!」


「ウホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホホッ!!」


 まさかの同格勝負。

 拳同士が宙でぶつかり合う

 ノーガード戦法から拳同士がぶつかり合う戦いへと変わった。


「まだまだですぞぉぉぉぉぉ!!」


 何かム〇クっぽい口調を機に、ムッシュの動きが突然変わった。

 柔軟な身体を利用した、左右からのパンチが次々と

 私に飛んでくるようになった。


 その動きは前傾姿勢でまるで横に寝かせた8の字を描き

 そしてガードをしながら迫ってくる。

 そしてその動きからしなやかな動きで重めのパンチが

 私の両腕に叩き込まれ、さらには隙を見ては

 左右の脇の下辺りにもパンチが叩き込まれてきた。



「むぅっほっほほっほぅ!

 これぞ我が特技!ローリングストライクぅ!」


 いやぁ、は〇めの一歩は読んでたからさ。

 これデンプシ〇ロ〇ルだよね?

 カウンターに弱いっていう……?


 私はそれを念頭に、左右のテンポが同じ事から

 漫画のようにカウンターを合わせたのです。



「甘いですぞぉ!」


 そのカウンターに突然左右の振り幅が変わった。

 しなる木であるムッシュそのものは

 そもそも人体と構造が異なっていた。


 だからこそ、描く8の字を

 身体の伸び縮みで変えてきたのだった。


「これがボクシングならね!」

 思った以上の角度から飛び込んでくる

 私に向けられた振り幅のパンチを私は肘と膝で挟み込んだ。


 これがボクシングだったらベルトの位置から下への攻撃は

 当然反則だし、足で攻撃するのも反則。


 しかしこれはボクシングではないのですよ?

 私に叩き込むはずだった一撃は

 今、膝と肘で挟まれ、メキメキと音を立てていたのです。

 そのまま挟んだ足を地面につけるとムッシュの身体が傾いた。


 そのまま私はムッシュの頭を掴み

 今度は掌と膝で頭を挟み込んだ。

 ミチミチと頭から音を立てると同時に

 ムッシュの顔が歪みはしたが、痛みに対する声を

 あげる事は無かった。



「投げと打撃の融合!椰子の実(ココナッツ・)割り(クラッシュ)!!」

 そのまま再度、あげた膝の足裏を地面へと手で押し付けるようにし

 もう片手と膝で頭を挟んだまま地面へと足裏を叩きつける!


 故ジ〇イアント馬場さんも多用した

 本来は身の丈の大きな人が行う事の多いプロレス技!


 私の動きが予想外だったと見え、ムッシュの身体がそのまま捻られるように

 背中側を下にして、そのまま浮き上がり技は決まった。


 それで終わる訳にはいかない!

 今度は即座に足を下に下ろす為に押さえ付けた腕で

 ムッシュの腰部分へと巻くように腕を入れ込む!


 すぐに頭を押さえ付けていた腕も合わせて

 私はムッシュの腰を完全にロックさせた。


 ここから出来る技はかなりある。

 だけどムッシュは素早さもある上に下手をすれば

 腕を伸ばして逃げられる。


 だからこそ、シンプルかつ素早く叩き込める技へと変化させた。


「WWEの禁じ手!ツームストーン・パイルドライバー!!」


 別名、墓石式脳天杭打ち。

 頸椎を損傷する恐れがある為、非常に危険なプロレス技で

 今回は高さも足りないので、コーナーやリングサイドから

 飛ぶような危険性は低いものの、ムッシュ自体はほぼ木のようなもの。


 だからこそ、脳天から落ちるこの衝撃がどれだけ他の部位にも伝わるのか。

 そもそも頸椎自体があるかも解らないけど

 今すぐこの体制から素早く出せる技がこれしか思いつかなかった。

 と、言うべきかもしれない。


 ゴンともゴゥンとも言えるような音を立てて

 ムッシュの脳天から舞台地面へと真っすぐ落下させた。


 椰子の実(ココナッツ・)割り(クラッシュ)から派生させただけあって

 身体が少し回っていたけど、そこは腕の力で抑え込んだ。

 さらには軽いけど、私の体重も掛かる!


 回していた腕を放すと、ムッシュはそのままバタンと倒れ込んでしまった。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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