第122話 鉄板ネタ は 唐突に。
どちらかと言えば読み飛ばし可です。
「さぁ、2日目は昨日勝ち上がった逆シードの4名に加え
2回戦から参加となる12名を加えた16名での熱戦!
昨日の2倍の試合とあって、本日もここ冒険者ギルド
タニーガ本部地下にある修練場は大賑わいです!
本日も実況解説は引き続き、2階フロアマスターのチルタフちゃんと!」
「………全略」
「1階フロアマスターのチウロイでお送りしまーす!
っていうか全略って何よ!?
それを言うなら前略、中略、後略であって
全部略したら意味無いでしょうが!!」
「え?………めんどいから?」
「だからめんどいってどういう事!?仕事なの、仕事!」
「重要な仕事はしっかりやってるから良いの……。」
「あんた私に喧嘩売ってるわよね!?
やるならやるわよ!?これでも元……。
え?また集音拡声部分の?魔力が入ってたまま?
ってうっそー!?…………………。」
「……………ぶいっ……。」
「……………っと言う訳で!いよいよ本日の最終戦となる
第8試合が間もなく始まります!
本日は昨日の第4試合で見事勝利したリラ選手!
そして本日から参加となるタネコ選手との1戦です!
本日最終戦、同性対決は盛り上がるのか!
まもなくゴングが鳴ります!」
「……………鳴らないからね?」
「それではお互い、開始線へ!」
「さぁ、タネコ選手、リラ選手共に開始位置につきました!
同性だけでなく同身長対決!これはどうなるのでしょうか!!」
「身長が全てでは無いので却下。」
「……………。」
「それでは構え!」
2人の女性が構えた。
1人は迷彩柄の服を来た少女。
そしてリラはベーシックフォームで
ゴリラそのものの恰好。
「始め!」
「さぁ、始まりました本日最終戦!
おっと!タネコ選手が先制!
それもこれは草魔法です!舞台から大量の蔦が
みるみると伸びて一気にリラ選手を締め上げた!」
まるで舞台がジャングルにでも変わったかのように
蔦が次々と生え、それがリラの手足を縛り付け
そこに追従するように、まだまだ蔦が伸びてきていた。
それに対しリラはまだ掌が縛られていない状態だった事から
一気にミニゴリラを放った。
「おっと!リラ選手の手から小さなリラ選手が無数に出てきました!
それによってあっという間に蔦がブチブチと引き裂かれていく!
タネコ選手は蔦を次から次へと生やして伸ばし
リラ選手はそれを小さなリラ選手で取り除いていく!
これはタネコ選手が押しているか!?
リラ選手、後手に回っていて攻めへと転じる事が出来ないでいます!
このまま押し切られるか、それともリラ選手が押し返すか!
怒涛の猛攻が続いておりますが!!!」
「……………蔦が邪魔で舞台の上が見えない……。」
「おっと、一旦審判から中断の指示が入ったようです。
これはあまりに蔦が多すぎて、殆ど何をしているのかが
見えなくなってきたからでしょうか?
……………やはりそのようです。
審判から見えない、と言う事でタネコ選手に警告が入ったようです!
しかしタネコ選手、審判に詰め寄っています。」
「そもそもルール違反でも何でもない。」
「そう言われればそうです!見えない、と言うより
見えていない審判に問題があると言われればその通りです!
ルール上は問題ない、と言う事で試合再開のようです。
おっと!しかしリラ選手、何か黄色いものを
ばら撒き始めた!それによって蔦がリラ選手の身体を掴んでも
そこからリラ選手がヌルヌルっと抜け出している!
これにはタネコ選手も困っている!
しかしタネコ選手、何やら手元に魔導銃のようなものを持ち
今度はリラ選手に乱射し始めた!
しかしリラ選手も同じように魔導銃のようなものを取り出して
応戦し始めた!!
いつの間にか樽のようなものがいくつも用意されていて
まるで銃撃戦、とでも言うかの如く猛攻が再度始まったぁぁ!!」
・リラ視点
「うっわ、マジ規格外すぎ……。
何あのウネウネ動いて意志があるように迫ってくる蔦……。」
『一応マスターもその規格外の一員ですからね?』
「そこはどうでも良い。
つか、なんか種みたいなの飛ばしてくるし……。
こっちは岡〇三郎商店の『ゴリラの〇くそ』だってのにさ……。」
『このあとスタッフが美味しくいただきました?』
「誰よ、スタッフって……。
こちとらまだ荒川河川敷が密林状態だった頃から
デザートイーグルとゴムナイフでサバゲ―してたんだからね!」
『それでよくトイテ〇クM134に挑みましたね……。』
「当時はよく球が割れて詰まったもんだからね……。
意外と接近戦にさえ持ち込めればなんとか出来たもんだよ。
それよりエアタンク背負ってる人の方が厄介だよ。
こっちはガス切れる度に補充してたんだからさ……。
っていうか遮蔽物の樽に隠れてるのに
ずっと撃ってきてるね………何これ。」
リラの足元にはタネコが撃った種が育ち始めていた。
そしてみるみると育てば1つ1つの花が
次々とリラに噛み付き始めたのだった。
「はっ、ハエトリソウ!?食虫植物!?!?
なんか噛み付いてきて超痛いんだけど!!!
っていうかなんか地面溶けてない!?
気色悪い煙出てるし、舞台に穴空いてない!?!?」
「おっと、一旦審判から中断の指示が入ったようです。
なんの中断でしょうか?
タネコ選手が魔導銃の乱射で追い詰めていて所
リラ選手から驚きの声が上がったようですが………。
はい、はい……。
今入ってきた情報ですが、どうやらリラ選手の足元に
変わった植物が生えてきた際、その消化液のようなものが
舞台に垂れた所、舞台に穴が開いたようです。」
「それもルール違反でもない。」
「そう言われればそうです!
舞台を破壊してはならない、というルールは存在しませんが………。
おっと、その消化液の威力が凄まじく
このままだと冒険者ギルド建物にも影響が出るとかで
タネコ選手に警告が入ったようです!
しかしタネコ選手、審判に詰め寄っています。」
「でも建物が壊れたら試合続けられない。
黒か白かで言えばグレーゾーン。」
「はい、はい……。
まずはこの穴を埋めてから試合続行のようです!
それでもタネコ選手、2つの警告を取り消すように言っています。
しかし警告は警告だとしてそのままのようです。
これでタネコ選手は次に警告か注意を受けた場合
失格となってしまいますね……。」
「ルールはルールだけど審判は絶対……。」
「おっと、ここで詰め寄っていたタネコ選手!
審判の判断に不服だと言わんばかりに手で押してしまった!
そして注意が出され、これで警告2、注意1で3点が累積したので
失格です!ここまで押しに押してきたタネコ選手が失格となり
リラ選手が2回戦、第8試合を制しました!」
「何か茶番臭い……。」
「そんな事はありません!
新旧主人公対決と言うこのドリームマッチを制したのは
新主人公のリラ選手です!!」
「スバル、マリーネ、アーガス、リーヴァ、リルネットって
どこいったの……?
2つ目の主人公じゃなかったっけ……。」
「気のせいです!これで本日の8試合、全てが終わり
8強が揃った事となります!そして明日の勝者は
ついにBランク昇格試験の合格者となり!
その4人によるエキシビションマッチが行われます!!」
「………ただBランク昇級には関係ない試合って意味ね。」
「それでは皆様、明日行われる準々決勝全4試合を
お楽しみにー!!」
・タネコ視点
「ってゆーかおかしいでしょうが!
何、警告2注意1って!!」
「えーっと、まず審判と中継の妨害になった事で
苦情が殺到した為、警告1。
冒険者ギルドの建物が崩壊する可能性がある程に
会場の土台に被害を与えた為、警告1。
対戦相手ではない審判に対し暴行を行った為、注意1。
合計3点です。」
「いやいやいやいやいや、どれもこれも
特にルール上書かれてない事ばかりじゃない!」
「あれは1回で失格となるものであって
そもそも常識的に舞台をあそこまで蔦を生やしたら
私、仕事になりませんよね?
会場に穴を開く程の攻撃まで行うとか
あのような消化液か溶解液かは解りませんが
対戦相手がもし被ってたら死んでいる可能性がありませんか?」
「うぐっ……。」
「まさか被害が無かったから問題ない、とかでは無いのですから。
だからこそ警告や注意と言うものがあるのですよ?
全てが全てルールとして伝えていたら、覚えるのも大変ですし
それ以上にそこに書かれていないと抜け穴を探すものまで
出てくるのですよ?大体その為に審判が居るのであって………。」
「………」
この後、タネコさんは小一時間説教され続けた上
修練場の補修費用まで請求された。
「わざわざ作品を超えてやってきて
何でこんな目に……。」
「はっ!?」
『どうされました?マスター。
こんな夜中に突然目覚めるだなんて珍しい……。』
「何か今、夢オチは鉄板だからやっておいた方が良いとか
誰かに言われた気がする……。」
『……………どこにも異常はなくいつものマスターですね。
早く寝てください、明日が辛くなりますよ?』
「はーい、おやすぅー!ZZZzzz……。」
『何故このタイミングで……この話、必要でしたか?』
さぁ……それこそ神のみぞ知る?
本当の2回戦は次回!!
星5点満点で「面白い」や「面白くない」と
つけていただけると、作者が一喜一憂します!