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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第7章 オプティロン大陸編
121/178

第121話 1回戦 第4試合


「さぁ、本日の最終戦となる逆シードの第4試合。

 引き続き、実況解説は冒険者ギルドタニーガ本部の

 2階フロアマスター、チルタフちゃんと!」



「1階フロアマスター……チウロイ……。」



「の2名でお送りしまーす!!

 っていうかチウロイ!もうちょっとテンション上げてよ!

 なんで私1人で実況と解説してるのさ!!」



「え?………めんどいから?」



「めんどいって何よ!!

 これ仕事よ、仕事!それでよく私より上のポジションに居るわね!?」



「……………寡黙なのと、仕事の実力は関係ない……。」



「あんた私に喧嘩売ってる!?

 やるならやるわよ!?これでも元……。

 え?集音拡声部分の?魔力が入ってる?

 ってうっそー!?…………………。」



「……………あー、あー、ただいま拡声器の試験中……。」


「……………っと言う訳で!オキド選手が

 早速舞台に上がってきました!

 それに続いて…………え?リラ選手がまだ来ていない??

 これは遅刻か?大遅刻か?

 なんて思う人は少ないでしょう!

 そもそも開始時間に決まりもありませんから

 揃わなければ始まる訳でも無いのです!

 っと!来ました!リラ選手もやってきました!

 これで始まりますので観客の方々は物を投げないでください!

 舞台には投げても良いですが実況席には投げないでください!

 か弱く、適齢期の見目麗しき女性職員が

 2人も座っているのです!ってだから投げないで!

 っていうか投げるなっつってんだろうが!

 このすっとこどっこい共!!」



「……………あー、あー、ただいま魔導通信が混線中……。」



「……………失礼しました!

 全く、乱暴な声をどこからともなく拾ってきたようです。

 それと一部観客席に何かが投げ込まれたようで

 現在職員が対応に追われております!

 皆様、決して物は投げない様にお願い申し上げます!」


「……………チッ、申し上げまーす。」


「ねぇ、今あんた舌打ちしなかった?

 いくらこの本部のナンバー3だからって仕事舐めてない!?

 え?いいからさっさと勧めろ?

 はい、それではお互い開始線の位置についてください!!」





 ・オキド視点


 何故だ……。

 俺はあの変な恰好の小娘を俺の得物である

 ハンマーで徹底的に叩き潰した筈だ……。


 なのに普通に出てきやがった……。

 まぁ無傷な訳は無いだろうがな。

 顔も見えない全身が魔物の革みたいなものを

 被った、ふざけた奴に負ける気なんかしねぇ……。

 俺はここでこれを勝ち抜いてBランク冒険者になるんだ!!





「それでは開始線についてようなので……。

 只今より第四試合。

 リラ選手 対 オキド選手の試合となります。

 それではお互い構えて!」


 審判役のギルド職員が丁度真ん中で構えの指示を出した。


 試合スタイルは全て構え、から入り始め!で始まる。

 観客席もこのタイミング一気に静かになる。


 構え、から始めの初動で決まってしまう試合すらある事を

 観客はこれまで何度となく見てきていた。


 だからこそ、その一瞬を見逃さない様に

 静かに、そして微動だにせず舞台に集中していた。



「はじめっ!」



 そしてそれはあっという間だった。



「おおっと、リラ選手!あっという間にオキド選手の頭を

 地面に叩きつけた!そしてパンチが1発2発!

 オキド選手の顔が歪み、歯が飛んだぁ!!

 それでもまだリラ選手は手が止まらない!

 四肢に手が伸び、腕、足と次々に鈍い音が走った!

 これは両手両足を折られたか!!

 なんともあっけない終わり方!

 このまま場外に落とせば、試合は終了です!!」


「………これ多分終わらない…。」


「え?おっとリラ選手!何を思ったのかそのまま

 オキド選手を掴んで舞台の真ん中に放り投げ………。

 まさかのティータイム!ティータイムに入りました!

 これは想像以上に極悪な試合となりそうです!

 この試合は降参するか、場外に出るまで終わる事はありません!

 審判がオキド選手の確認に近寄ろうとしたところ

 審判にリラ選手が……何やら耳打ちをされていますが……。

 終わったようです。そしてオキド選手の状態を確認……。

 続行です!なんと続行という判断が出ました!

 どうみてもオキド選手の手足があらぬ方向を

 向いているように見えますが、それでも続行!

 一体どういう事なのでしょうか!!」





 ・リラ視点


 五月蠅い実況だね……。

 今、あんたが言ったじゃないか…。

 降参するか、場外にでるまで終わらないって。


 だから審判に聞いたんだよ。

 審判が止めるケースがあるのかって。

 それが死にそうだというならまだしも

 顎が外れてまともに喋れないのと

 腕と脚の関節が外れている以外はそもそも

 どこにも問題は無い筈だから、私は続行だと思ってる。


 これといって傷らしい傷も無いというのが現状で

 ただ這いつくばっているだけ、という訳で

 止める必要性なんてある訳が無い。


 え?なんでそんな事を?

 それはこれから見ていれば解るんだよ?





「おっと、そしてリラ選手がオキド選手の肩に触れ

 ると同時にオキド選手が絶叫し出しました!

 ただ触れただけなのにどういう事でしょうか!!」


「あれ、肩の関節が外れてる。

 あの子、その隙間に指突っ込んだ。

 あれは痛い。」


「……………と言う事ですが!

 リラ選手、何がしたいのでしょうか?

 これは最早試合ではありませ………え?

 今からですか?はいはい……。

 今、新しい情報が入ってきました!

 こちらの録画されていた魔導映像をご覧ください!」



 それはオキドがリラを控室で襲い

 手に持った大きなハンマーを使い

 何度も何度も執拗に叩いた映像だった。



「なんと、オキド選手!

 控室でリラ選手を襲撃した模様です!

 恐らく今のリラ選手の行動はどうやらこの報復行動のようです!

 しかしご覧ください!

 オキド選手は控室で、このように不意の襲撃!

 しかもまだこの時は第3試合の真っ最中です!

 そしてこのような光景がどうやら20分程続いたと言う事です!

 それに対してリラ選手はあくまで試合中!

 恐らくこの行動はあと20分以上は間違いなく続くでしょう!」





・オキド視点

 な……なんなんだよこれ……。

 開始と同時に顎が外れる、全ての関節が外れ

 腕なんてこれ折られてるだろ……。


 降参だ、降参……。

 何?審判か……降参するかって?

 するに決まってんだろ!

 こんな化け物染みた小娘とやり合ったら

 いくつ命があっても足りねぇよ……。


 え?降参するか?

 今、降参するって言ってんだろうが!

 え?何言ってるか解らない?

 なら2回叩けば……


 腕が動かねぇ……。

 手首も折られてりゃ、肘も動かねぇ……。

 なんだよ、なんなんだよ!

 って痛ええええええええええ!

 ちょ、おま、肩に指突っ込むんじゃねぇよ!

 そこ痛ぇんだよ!


 その時俺は気が付いた。

 この小娘の口の部分が開いている事を。

 そこから小娘の顔が見えている事を。


 その顔の非常に怖い笑顔が………。


 こいつ……、ここで俺を公開処刑でもするつもりか!?

 控室で襲った分をここで晴らそうっていう腹か!!


 だからまともに喋れねぇように顎を外して

 手足の骨を外して、腕は骨を折りやがったのか……。



 しかもなんて顔してやがる。

 この悪そうな顔……口が裂けるかのように

 横に伸びた、なんとも下卑(げひ9た笑い方だ……。


 こんな方法で俺に仕返ししようとか

 考え方がまともじゃねぇ……。

 常軌を逸してやがるぜ……………。





「なんて事を考えていそうな顔。」


「チウロイ、あんたそういうの読み取るのは凄いけど

 それだとオキド選手は自分のやった事は悪くないと思っているの?」


「多分、あれはそういう顔。

 超被害者面してるけど、ただの自業自得……。」





・リラ視点


  『マスター、わざわざバイザーを開いて

   顔を見せる必要性はあったのでしょうか?』


 当然。

 ただこれがもし常識的な事だというなら

 そもそもこいつ反則負けだよね?


 でもそれにならないって事は私がやり返しても

 よかったって可能性高いよね?

 それを我慢に我慢を重ねたんだよ?



  『マスターにしてはやけに頑張って耐えてましたけど……。』


 今があるからに決まってるじゃない!

 さて、次はどこからやろうかな……。

 まず手と足の指を1本づつ折るのは確定だよね?

 それと鎖骨と鼻の骨とー……。



「オキド選手の反則負けっ!」


「今更っ!?」


 リラは少々机に椅子、お茶を出して

 ティータイムをし寛ぎながら

 次はどこを折ろうかと考え、余地を与えた事に

 大変残念がったが、とりあえず1回戦は通過したのだった。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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