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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第7章 オプティロン大陸編
112/178

第112話 黒 の 勇者。

「ま、そういう訳じゃからここに依頼なんてものは……。

 常時依頼しか無いぞ?」


「一応あるんだ……。」



 なんて思って掲示板を見に行くと

 とんでもない量の常時依頼が出ていた。



「なっ………なんでこんなあるんですか!?

 最早掲示板自体が見えない位貼られてますけど!?」


「そりゃ冒険者と言えば大抵、海嫌いじゃからの。」


「海嫌い?」


 なんでも冒険者、と言えば大抵は陸が中心で

 水絡み、特に海を毛嫌いする冒険者が多いのだとか。


 理由は複数あって、まず泳げない冒険者が多い。

 これは子供の頃から泳ぐと言う習慣が無い為で

 川や湖に海にも魔物が居て非常に危険とされている事から

 精々水浴びするのが精一杯で

 そこから泳ぐ、と言う事に派生しないかららしい。


  『補足としてバタ足などをもし行った場合

   その音で魔物を寄せ付け、さらに危険性が増しますので

   泳ぐ、と言う考えがほぼ無いものと思って結構です。』


 まぁ泳げなければそうなるか、とも思ったけど

 次の理由は装備が比較的駄目になりやすいからだとか。


 まだ川とかであれば、きっちり布などで拭けば良いらしいけど

 海水はやはり塩分がある為に嫌われているとか。


 当然、金属製武器などが錆びる要因だからというのもあるけど

 それ以上にズボラな方が多いらしく

 武器の手入れをしない事で、簡単に錆びさせてしまう事が

 最大の要因だとか。



「その度に鍛冶屋に研ぎに出すのが面倒だと言う始末じゃ。

 自らの相棒であり、命を懸けるのに重要な得物を

 そんな理由で手入れも碌にせず、研ぎにも出さない

 冒険者等、いざという時に困るのは自分じゃと言うのにのぅ……。」


 そして最後の理由はこの場所の問題だとか。

 すぐ近くに町なりがあるのであれば

 何もこんな場所に冒険者ギルドが無くても良いのだとか。


 しかし近くには街は無く、馬車でも1週間以上掛かるとか。

 その上で冒険者ギルドに併設されているのは

 酒場に雑貨屋、それと簡易宿泊所と決まっているのだとか。


「こんな寂れた支部に来る料理人などおらんよ。

 雑貨屋など、たいして売れもしないから開いてないよ。

 簡易宿泊所だけはあるがの……。

 所詮、板の間に寝るのと同じで、泊まりたい等と

 思う冒険者も昨今は少ないのじゃよ。

 まぁ、ここには少々変わった冒険者が居ついていての。

 そやつが消化している分、これでも減った方じゃわ……。」



 急に入口の木戸がキィキィと鳴ったと思えば

 そこから入ってきた人物には見覚えが……。

 いや、私の記憶とは少々違うけど多分同一人物……。



「タブロク?」


 そこに居たのはオークビッツ族の黒豚。

 じゃなかった、タブロクだった。

 但し、顔が前に見た時とは違い

 両瞼の上に傷があり、目を閉じたままだった。


 だと言うのにタブロクは綺麗に机などを避け

 受付までいくと、受付嬢?(お婆)さんは受付へと向かった。



「ヒッヒッヒ、どうじゃ?今日の稼ぎは……。

 それとあの小娘、知り合いか?」


「上々だ、それと悪いが知り合い

 と言うほどではない。」


 背負っていた袋を受付に置くと

 出てきたものは様々な素材、可食部なども含まれていたけど

 どう見ても袋の大きさと出てきた量が見合わない。


 異空間収納が付与された袋なのだろう。

 素材の買取が終わると、タブロクは話しかけてきた。


「お前、ついてこい。」

「はぁ?」


 タブロクは表に出ていった。

 追いかけていくと冒険者ギルドから少し離れたところに

 タブロクが立っていた。



「そこで見ていろ……。」

「なんで上から目線……。」


 仕方なくまぁ見ているだけなら、と思ったので

 見る事にした。


 タブロクは腰から2本の短剣を抜いた。

 確か勇者の証、とか言っていた……。


 2本の短剣をまるで2丁拳銃のように

 クルクルと回すように、流れる様に詰まる事も無く

 綺麗に回した所でグッと短剣の柄を掴んで

 その2本の刃を重ねる様に交差させた。


「はぁっ!!」


 一瞬、強く光ったかと思えば

 黒い靄の様なものが2本の短剣を覆い始めた。

 そしてその2つが綺麗にマーブル状に混ざり始めた時。

 パンっとその覆いが弾け飛んだ。


 タブロクの手には1本の剣?

 と言うよりはなんだろう……。

 銃器っぽいけど剣と言うか。

 巨大な銃器でも持つような感じに1本の剣にも見える

 謎の武器を持っていた。



「これが………俺が求めた勇者の武器だ……。

 と、言っても最早手遅れだがな……。」


 そう言うと、謎の武器は2本の短剣へと戻っていった。


「面白いだろ?全部を失った俺がさらに両目の視力すら失い

 辿り着いたのがこれって訳だ。」


 視力を失った……?

 見た目は外から傷ついた感じに見えるから

 誰かに襲われたとかかね……。


「まぁそこはどうでも良い。

 ただその結果、俺はこの2本の短剣の声が聞こえた。

 どうすれば良いかが聞こえ、その声に従った結果

 勇者が扱う武器『フラッシャーブレイカー』とか言う

 へんてこな武器に変わる事を突き止めた。

 だがこんな変な武器、何の役にも立たん。

 ただ形が奇抜なだけで、なにが勇者の武器だ……。

 ……………これが全部を失った俺の全てだ。」



「点取占〇なら『どこも面白くなかった〇1点』ってとこだね。

 たったそれっぽっち?

 武器が勇者の武器とやらになっただけ?

 で視力を失った?手遅れ?

 まだ邪神倒した勇者の方がラーメンと言う

 偉大な麵文化を残した分、マシだわぁ……。」


「何だと……?」


「そんな仰々しい傷残して、失明して?

 それで未だ後悔しまくっててやっと勇者の武器とやらに

 辿り着いたら形が奇抜なだけ……?

 たったそれだけにどんだけ時間掛けてるのさ。

 まぁ、掛かるっちゃ掛かるか。

 やってる事は過去に縛られて、未だ後悔の念から

 先に進めてないんだもの。

 私はあんたに言った筈だよ?何がしたいのかと。

 で、勇者の武器を手に入れたら終わり?

 いやぁ、全部を失ったとか自分に酔い過ぎてて

 腹で白湯が湧かせそうだわぁ。」


 前ならまだここで侮辱するかだの

 愚弄するかだのとつっかかってきた気もしたけど……。


 タブロクはそのまま短剣2本を腰の鞘へと納めた。



「はっ、最早生きてるのか死んでるのかすら解らない様な状態だね。

 丁度いいさ、前に気が向いたら相手してあげるって言ったよね。

 今、相手してあげるよ。

 ニクジュバンニ、ウォッチフォーム申請!

 同時にゴリラコンテナから服を!」


  『ウォッチフォーム承認、マテリアライズ(具現化)

   同時にドレスをゴリラコンテナから展開します。』


 私の全身は超久しぶりにゴリラアーマーではない服装。

 過去、ウィンガード王国でソニックさんにいただいた

 ドレス姿へと変わったのです。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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