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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第6章 第2部 諸悪の根源編
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第111話 G の 上 の 冒険者ギルド

 あれから私は何故か執拗に追いかけてくる三平から

 ナックルウォーキング全開で逃げ回った結果

 無事逃げきる事に成功した。


「なんか死にたがったり、変に追いかけてきたり

 気持ち悪い魚だね……。

 ってここ何処?」


  『マスターが私のナビゲーションを無視して

   変な逃げ方をしたためにオプティロン大陸に

   ついてしまったのですよ?』


「はて、オプティロン大陸?

 どこかで聞いたような……。」


  『世界トップの大国、ディメンタール王国があり

   各ギルドの総本部の存在する東オーディン大陸の

   さらに東の大陸です。』


「ふむ、結構走ったんだね……。」


  『それより大丈夫でしょうか?』


「大丈夫?何の話??」


  『当然Bランク昇級試験です。

   海の上で追いかけっこし過ぎで

   このままだとCランクの登録抹消されますよ?』


「それはまずい!超マズい!!

 2回も推薦取り直しとか絶対怒られる!!」


  『だからすぐに昇級しなくて良いのですか?と

   ほぼ毎度、言っていると思うのですが?』


「説教ならあとで!とりあえずどこでも良いから

 依頼を受けにいかないと!」


  『ならばあそこはいかがでしょうか?』


「あそこ?」


 私の首がゴキっと音がしつつ

 急激に回転し、顔の向きが90度変わった。


「あっ………阿呆か!!

 確かにゴリラアーマーの権限は渡したけど

 急に首を動かしたら折れるでしょうが!?」


  『大丈夫です、限界ギリギリを攻めたので

   折れる事はありません。

   約9割9分の確率でムチウチになった可能性がありますが

   僅か1分の確率で回避しました。』


「それを運任せ、っていうんじゃないのかな!?」


  『気のせいです、ならなければそれは

   運ではなく可能性を引き当てたと言うのです。』


「もういいよ、で。

 あの崖の上の危険極まりない位置に建っている建物は?」


  『あの盾の前に剣と杖が交差している看板。

   冒険者ギルド以外の何物でもあありませんよね?』


「なんで村でも港町でも無い、こんな海岸線の

 崖の上にそんなものが……。」


  『直接お尋ねしてみたらいかがでしょう?』


 そうニクジュバンニが言うので

 回り道をして近寄ってみると、まぁこれがまた……。


「なんだかなぁ……。

 建物のそこら中、腐ってるように見えるんだけど……?」


  『海沿いですから海風に晒されて腐食しているのでは?』


 とりあえず外灯のような灯りもついているし

 お化け屋敷や誰も居ない、なんて事は無さそう……。





「ごめんく「いらっしゃーい」ぎゃああああああああああ!!」


 私はゆっくり木戸を押しながら中に入ったのに

 すぐ右側から声を掛けられて、つい叫んでしまった。



「五月蠅い娘っ子じゃのぅ……。」


「突然声を掛けられれば驚くに決まってるでしょうが!!」


「その首の登録証……、お主冒険者であろうが……。

 どこの支部でも入ればすぐ右側に受付嬢がおるだろうが。」


「受付…………嬢?」


 嬢……未婚の乙女、娘、 少女、息女、令嬢……。

 どこからどうみてもお婆さんなんだけど……。

 ああ、老嬢という言葉もあったっけ……。


 結婚の適齢期が過ぎてもなお未婚の女性の事。

 オールド・ミスとは言ってもオールド・マンとは言わないし

 特に老嬢に対し、男性にこれといって同じような言葉が無い辺り

 昔の男女の相互価値観に違いがあったのだと言えよう。


「お前さん、先程から全部、口から出ておるぞ?」


「ふぁっ!?」


「まぁ、あんたも未婚のようじゃし女じゃし許すが

 これが男だったら流星(シューティングスター)

 叩き込んでいたところじゃぞ?」


「そんな理由で叩き込む魔法でしたっけ……。」


 私、第39話を丸々使って

 凌いだ覚えがあるんだけど……。


「で、この冒険者ギルドオンアクリフ支部に何か御用かね?」


「オンアクリフ?」


「『崖の上の』という意味じゃ。」


  『ポニ〇ですね』


 ニクジュバンニ、それは言ったらダメなやつだよ……。

 色々とゴニョゴニョされるからね?



「なんで町でも村でもなく、こんな崖の上に

 冒険者ギルドがあるんですかね?」


「そもそも町でも村でも無いところに

 あったらいけないのかね?」


「……………え?

 だってこの辺、何も無いですよね?」


 そういうと受付嬢?(お婆)さんは溜息をついた。



「お前さん、言っている事が素人臭いが

 本当にCランクかい?」


 その後、結構丁寧に教えてくれた。

 そもそもギルドが町にあるのは

 利便性の問題等によるものだと言う事。


 その多くは冒険者の為ではなく、依頼主の為なのだそうだ。



「依頼を頼みに来る側としちゃ、まぁ村人なんかの場合は

 村にゃ冒険者ギルドなんざ無いから

 わざわざ町まで出向かなきゃならんが

 多くは町に住んでいるもんが依頼するんじゃかの。

 そいつらの安全の為に町にあるってだけじゃ。」


 依頼をする側の割合も街が非常に高く

 その為にギルドは町にある、と言うのが一般的に

 浸透しているだけなのだそうだ。



「商業ギルド等の場合は、どうしても貨幣のやり取りがあるからの。

 下手に街以外に作ったとしても、その金を狙う馬鹿が出てくる。

 じゃから商業ギルドは町だけになるのじゃ。

 じゃが冒険者ギルドに関して言えば依頼が無くても構わなければ

 どこにでも冒険者ギルドの支部は建つのじゃよ。」


 解りやすく言えば役所の出張所のような役割を果たしているのが

 この町ではない場所にある冒険者ギルドの支部なのだそうだ。


 依頼は無くとも素材の買取という点においては

 海の魔物等を狙う場合にすぐ近くにあれば

 魔物を買い取ってもらえる、その為長い時間掛けて

 町まで運んだりする手間、労力に加えて

 鮮度を落としたりする事も無いのだそうだ。


 そしてここにはその鮮度を維持する為の魔導具も

 用意されているそうで、ここで買い取った素材は

 全て町の冒険者ギルド支部等へ運ばれているのだとか。


 また一切の貨幣を置いておらず

 買取した金額は全て登録証に入金する形を取り

 ここを襲ったとしても碌なものは無いのだとか。


 そしてここからが(もっと)もらしい理由だった。



「お前さん、厄災は知っておるか?」


「ええまぁ……。」



 1年に1度、北極点から南極点に向かって海の上を歩く

 冬将軍、と呼ばれる厄災がいるのだとか。


 しかもルートはどこを通るか直前まで解らない事から

 こうして海沿いには単独で冒険者ギルドがあり

 ここをその際の拠点として使う事まで含められているのだとか。


「何より重要なのは冒険者ギルドがいくら独立機関とは言え

 儲からない支部に出す金は無い上に、利用する冒険者が

 全く居ない所に作るなど論外だと言う事じゃよ。

 これでも支部として毎年そこそこの売り上げを出しているからこそ

 ここは残されておる、と言う事なのじゃよ。」


 赤字ではないから存続出来ている。

 そう言われると納得せざるを得ないけど

 黒字だからと言っても、恐らくある程度の

 売り上げラインは設定されている気がする。


 だから受付嬢?(お婆)さんは「そこそこの売り上げ」と

 言っている気もする。


 まぁチェーン店とかだと赤字でなければOKと言う

 店がある事も多い。


 スーパーなんかでも2つの店舗が超近かったりして

 実の所、売り上げとしては2つの店舗を足して

 赤字でなければOKなんてのも聞いた事がある。



「なるほどねぇ……。

 町じゃなくてもあるってのは良いね。

 あると良いながある的な?」


「ま、その為少々補修にかけられる費用が少ないがな……。」


「それは最初から知ってた。」


 何しろ入る前からボロいんだからね……。


「お前さん、先程から全部、口から出ておるが癖か?

 その癖は治した方がええぞ?

 先達からの助言じゃぞ?」


「ふぁっ!?」


  『ほぼ全部駄々洩れていましたが?』


 なら早く言ってよ……。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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