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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第6章 第2部 諸悪の根源編
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第110話 水は友達!

「はっ!ガキがいっちょ前に神と同等!?

 馬鹿も休み休み言うもんやで?」


 私の横にいつの間にか立っている魚人?の三平が

 アクオルスに話しかけ始めた。



「ん?三平、いつからいたのさ。」


「いつからいたじゃなないやろ!?

 海の底からずっといたやろが!

 つか1人で無視して急浮上するし

 どんだけわいの事、嫌いやねん!!」


「え?だって魚臭いし、(ふんどし)一丁だし、キモいし?変態だし?」


「最後の方は理由やないよな!?

 ただの『個人の感想です』やろ!!!」



 三平と私が言い合っている間に

 アクオルスがいつの間にか掌を私達に向けていた。

 ただ、その顔は非常に青ざめていた。


「なっ、何故だ!何故僕の力が発動しない!!

 水の槍だ!出ろ!出ろってば出ろ!!」


「無理に決まってるやろ。

 あんさんとわいじゃ、格が違うんやで?」


「格……だと?」


「そうや、わいは水を愛し、水に愛される程に

 ありとあらゆる水と友達なんや。

 そのわいに牙を剥くような水なんかおらへんがな。」


「なっ、何が友達だ!」


「何言ってんや、水は全ての生き物にとって重要なものや。

 そして不思議な事に延々と廻るものなんやで?

 あんさんが水を飲んで、身体が吸収したとして。

 あんさんは涙に汗に、尿にと身体からまた出すんや。

 そうした水が廻り廻ってまた自らに取り込まれる。

 水は輪廻の周りものっつってな、永遠に亡くなる事無く

 いずこかを巡り巡っているだけなんやで?

 使い捨ての駒のように思ってるかもしれんがそりゃ違うで。

 水っちゅうんは常に生き続けて、そして蓄積しているんや!」


「蓄積……?」


「経験を、そして体験をやで?

 水は生きとって、キチンと記憶もあれば感情もあるんや。

 あんさん、水を操っていると勘違いしてるやろ。

 水のみんなが操られてくれているだけであって

 そらぁその相手が友達ともなれば……操られる訳ないやろ。」


「ば……馬鹿か!?

 水が友達!?経験がある!?記憶もあれば感情もある!?」


「そうや、ここは危険やさかいと混濁したり

 急な流れとなって皆に知らせてくれる。

 海の水達だって波となって押し寄せる時には

 予め小さな波ぃ作って教えてくれとる。

 雲となったり、雨となったりして

 みんなに色んな事教えてくれとるんやで?

 雪となって楽しませたり、時には野菜などを保存してくれたり。

 水難もなんも、そらただ水達の危険信号を

 皆無視したり、軽視しているだけなんやで?

 彼らは予め、それを知らせてくれとる。

 水の事故でもなんでも、彼らを舐めてるからなるだけや。

 そんでもって神と同等?水ならなんでも操れる?

 もうあんさんに操られてくれる水なんて

 これっぽっちもないで?」


「馬鹿な!」


 アクオルスは再度、私や三平に掌を向けたり

 指で指したりとしているけど

 何かが起こる事はなかった。


「そんな!」


「馬鹿な!」


「この僕が!」


「神に選ばれし!」


「この僕が!」


「水を操る事が出来ないだなんて!」


「ある訳が無い!」


「動け!」


「お前ら全員動け!あいつらを殺せ!」


「言う事を聞け!」


「聞けと言ったら聞け!」


「聞くんだよおおおおおおおお!!」



 アクオルスは散々色々と身振り手振りをしていたけど

 水が動く事には動いたが、それは風による波であって

 決してアクオルスが望むような。


 私や三平に対して牙を剥く事は決してなかった。



「どや?水は許してくれはったか?

 んな訳無い筈やで?

 あんさんがいくら頼み込もうが無駄や。

 水っちゅんわな、何も尊敬の念を向けてくれ言っとる訳やないんや。

 水は生きるもの全てに必要なものなんや。

 人族だろうと、獣人族だろうと、妖精族だろうと、魔族だろうと。

 当然魚人族もやし、魔物やってなければ死ぬで。

 やから感謝の念がこれっぽっちも無いあんさんを

 もう2度と助けてくれるなんちゅう事は無いで?

 精々手ですくって無理矢理飲み込むのが関の山。

 それ以上を求めたいんなら、感謝出来んような奴に

 水のみんなも力なんて貸したくもないに決まってるやろ?」


 三平の言っている事。

 解るようで全く解らない。


 これが世界を渡る力がある三平だからこその言葉なのか。

 地球で生きていた経験があると思われる中で

 得るような概念とは全く違う。


 水を生き物として扱っている三平だからこその

 考え方なのかもしれないけど……。



「なんかよく解んない。主に科学的に。」


「話の腰を折るもんやないでっ!?

 ま、どっちにせよ神さんの名を語るなど

 言語道断、決して許される事やないで?ガキンチョ。」


 三平の言葉に、海が渦を描き出した。

 まるで生き物だと思えるように、海水が渦巻き

 海面に上がってきて、ミミズの様な形を維持し始めた。


 それが1匹、2匹と次々と増え

 気が付けば見渡す限りの海面上に

 数えきれない渦巻いた水が立っていたのです。


「そしてな、わいの友達を馬鹿にしたり(もてあそ)んだり

 ついには操れて当然、神だから従って当然なんつぅ

 気色悪い考え方しとる奴は例え水さんが許したとしても!

 このわい、魚人?の三平が許さんで!!」


 三平は渦巻く水がアクオルスを逃がさないように

 取り囲んでいる中、徐々にアクオルスへと近づいていった。


「やっ……やめろ!ぼ…僕を殺すと!

 ワサビンディング王国の貴族を殺すとどういう事になるか!

 お前、本当に解っているのか!?」


「あ゛?何言ってるんや?

 ここ海の上やで?それでいてあんさんのファミリーとやらは

 あんさんが自分で全て殺しておいて。

 誰が見てるっつぅんや?

 もうここはサスペンスドラマの断崖絶壁と同じやで?

 そん中でもまもなく45分になる、ほぼ放送終了時刻やで?

 あんさんはこれから水さんとお別れするだけなんや」


「ひぃっ、やっ、めっ、てぇあぉぉぉ……………。」


 エグイ、絵面が酷い。

 三平がアクオルスの顔を掌で掴むと

 股間からバシャバシャと勢いよく多分ただの「水分」と

 思いたいものが出始めた。


 そしてその勢いが無くなった時。

 アクオルスはミイラのようになっていたのです。


「どうや?水さんと決別した気持ちは。

 今どんな気持ちや?……ん?……ん?」


 三平、それは死体蹴りだ。


 格闘ゲームでKOと表示された後、下段小キックを

 連発しているのと大差がない。


 三平の事だからしゃがみ大パンツかもしれない。

 いや、褌か……。


 それにしても身体中の水分を全部出したような。


 私よりこいつ(三平)の方が圧倒的に強くない??


「つかこのままガングレリのところまで行って

 ちょっと倒してきてくんない?」


「なんでや!!わいは戦いとは無縁の平和主義者やで!?」


「どこの平和主義者がミイラになるまで水分搾り取るのさ……。」


「これはー………………………………………あれやな。

 こいつが恐怖で漏らしただけやで?」


「嘘つけ!どこにそんなダボダボと駄々洩れる漏らしがあるかっ!!

 日本のおむつ企業もドン引きの量だからね!?」

 つかその殺し方はないわー、マジないわー……。

 あんた(三平)、生理的に無理だわ。」


「なんやて〇藤!?」

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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