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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第6章 東オーディン大陸編
103/178

第103話 G と 記憶 と ニクジュバンニ。

 港町は喜びに沸いた。


 調査の結果、防波堤には一切の傷も亀裂も無く

 あのターボカンクを頬無るだけの一撃の威力は

 空へと逃がし、それによって海水や魚が打ち上げられた。


 そして航路は必要な深度があり

 このまま閉じられていた港が再度、開港する事まで発表された。

 但し、ここにそれを為したリラの姿は無かった。


 それは冒険者ギルドから発表された。


 今回は冒険者ギルド経由の依頼としてではなく

 皇帝ベーコンエッグ28世アリアポロスが派遣した

 冒険者によるもの、とまでは公表されたが

 それ以上の詳細については冒険者ギルドは口を閉ざした。


 そしてリラはそのまま海底からニンジャフォームへと変え

 海を浮上、再び東オーディン大陸を目指している真っ最中だった。



「サッザエ!サッザエ!いやぁ、役得役得……。」


 リラの報酬はターボカンクの遺体そのもの。

 可食部はサザエであると同時に

 殻は恐らく高値で売れるだろう、と思われるが

 実際は殆どリラが叩き割ってしまっていて

 その大半が未だ航路の海底に残されたままだった。


 しかしリラが最も重要視した部分は可食部だけであり

 その殻にまでは興味も無かった上に

 そもそもオリハルコン並の強度がある事も知らなかった。



  『マスター……。』


「ん?何?」


  『正直にお答えください。

   あのシルバーアームフォームといい

   トリニティー(三位一体)リ・マテリアライズ(再具現化)といい。

   どこで知ったのですか?

   そしてあのゴリラガイザー、ですか?

   あれも記憶が確かならば、と言いましたよね?

   どこで知ったのですか?』


「ん?格闘ゲーム??」


  『格闘ゲーム??』


「本当はさ、あれ飛び道具っていうか前に進むんだよ!

 だけど必殺技になると、何故か飛ばなくなって

 上に進むんだよ!飛んでくる!って思ったら

 上に出るんだよ!?普通に驚くよね!?」


  『私は正直にお答えください、と言った筈です。

   ゴリラガイザーだか何だか知りませんが

   あれは技能(スキル)に匹敵するものです。

   冗談やお遊びで出来る物では無いのですよ!?

   それにシルバーアームフォームにしても

   シルバーバックフォームに一旦トリニティー(三位一体)マテリアライズ(具現化)

   それからトリニティー(三位一体)リ・マテリアライズ(再具現化)など

   私の知識にもないのです。

   マスターはこれをどこで知ったのですか!?』


「何て言うべきかなぁ……………。

 ひらめいた?」


  『もう一度言います、私は正直にお答えくださいと言いました!!

   マスターは何に干渉されているのでしょう?

   半年もの間、マスターは意識を失っていてその後から。

   このゴリラアーマーの殆どの権限が、私には殆ど残されていません。

   精々ミニゴリラを操ったり、マスターの情報を調べるのが

   精一杯で、それ以外の基幹権限が全てマスターに移っています。』


「ふむ、それが変だって事?」


  『当然です!』


「そっか………。

 でも悪いんだけどさ。

 それ私がやった訳でも無いと思うしそもそもこのゴリラアーマーって

 ゴリラの神様のお手製だよね?

 ゴリラの神様に聞けば解るんじゃない?

 少なくとも私が答えられる事って多分何も無いんだよね……。」


  『答えられる事が無い……?』


「ゴリラガイザーは本当に原型になったものが地球にあるし

 ひらめいた、としか言い様が無いんだよね。」



 マスターの言葉に嘘が無い事は私が一番理解出来る。

 そんな記憶も無ければ本当にひらめいた、としか

 言い様が無い記憶ばかりだからだ。


 但し気持ち悪い位に何かが加わった

 形跡すら見つからない……………。


 でもシルバーアームフォームにトリニティー(三位一体)リ・マテリアライズ(再具現化)

 これはおかしい、としか言い様が無い。


 そもそも私にすら無い情報。

 それをマスターが思い浮かぶ事すらありえない……。


 何かあったとすればやはり

 あの半年間の空白とも言える期間位……。


「っていうかさー、ニクジュバンニ?」


  『はい。』


「私からすればあんたの方こそ隠し事があるんじゃない?」


  『私、ですか……?』


「うん、例えばさー……ベッドの下にヤバ谷園な本を隠してるとか?」


  『ある訳無いじゃないですか!!』


「エー、シ〇バンニの写真集とか無いの?」


  『そのようなもの、閲覧用、保存用、布教用と

   100冊は異空間収納してます!!』


「隠しすらしないタイプか……厄介な……。」




 それから私とマスターの会話は途絶えた。

 マスターは本当は気が付いているのではないかと。

 私の心はそう思わざるを得なかった。


 邪神の身体と精神の分裂体とも言える

 核心(コア・ハート)、母なる核心(マザー・コア・ハート)


 邪神の正体、この先の未来……。

 全部を全て見透かされている、そんな気がしてならない。


 それらを全て知った時。

 マスターは正気で居られるのか。

 私にそれを止められるのか……………。


 ゴリラの神様も、ここ最近は連絡がとれない。

 神託の1つも無い。

 私は未来に起きる事を全て知っている。

 だからこそ、マスターに話す事が出来ないでいる。


 私はゴリラの神様の眷属で、ゴリラなのだから。

 こうしなければならない、と解っているのだから……。


「……………………。」





 そんな中、ラバイハサンの港町はまるで祭りのようだった。

 皆が酒を飲み、航路が再度開いた事を祝っていた。


 空から降ってきた魚をツマミに

 皆が酔いしれていた。


 冒険者ギルドからは不屈(インドミタブル)雷帝(サンダーエンペラー)共に

 キチンと報酬も支払われた。

 どちらも最初は辞退した。


 だが冒険者ギルドのマスターは、それを良しとはしなかった。


「最初にお話しした筈です。

 誰が討伐したとしてもお支払いする、と……。」


「なぁ、それは誰の為だ?」


「と、言いますと……。」


「あの大猩猩みたいな嬢ちゃんがターボカンクの亜種を

 倒した事は誰もが知っている訳だ。

 そして俺達は糞の役にも立っちゃいない。

 だというのに報酬を払うだなんざ、冒険者ギルドとしても

 ありえねぇ、今までに見た事も聞いた事もねぇ対応だ。

 それは俺らの為の物じゃねぇだろ?

 あの嬢ちゃんの為の物か?」


 ギルドマスターは溜息をついてから一言。


「冒険者ギルドの為、でしょうか。」


「ならこりゃ………口止め料か?」


「報酬です。」


 ギルドマスターと問うたサンダースの間に

 奇妙な間が出来た。


「あらぁ、貰えるってんなら貰っておくべきよ?あなた。」


「…………………。」


「だから脳まで筋肉って言われるのよ?

 で、もし彼女について私達が話したとしたらどうにかなるのかしら?」


「冒険者ギルドは関与しません。」


「……………って事なのよ?あなた。」

「…………………チッ。」


 不満だとでも言いたそうな顔をしつつも

 サンダースは報酬の入った袋を持ち、部屋を出ていった。


 そしてリーサは何も言わず、袋を持ち

 不屈(インドミタブル)のメンバーと部屋を出た。


「なぁ……リーサ?」


「話しかけないで頂戴、今とっても機嫌が悪いの……。」


 サンダースもエリスも、そしてリーサもこの報酬が

 口止め料だと解っていた。


 そしてもしあの少女について触れると

 何かが起こる事も理解した上で

 報酬の入った袋を受け取った。





「…………なぁ、リーサ。」


「さっき話しかけないでって言ったわよね?」


「いや、そうじゃなくてよ……。」


「何?」


「エドワードどこいった?」


「……………え?」





 その頃ラバイハサンの湾内では……。


「おーう、兄ちゃん生きてるか?」


「かろうじて……。」


 グルグル巻きにされていたエドワードは

 リラの攻撃の瞬間、身動きが取れなかった上に

 誰も逃がしてくれなかった。

 むしろ全員に置き去りにされていた。


 そしてゴリラゲイザーによる海水の勢いによって湾内に落下。

 プカプカと浮かんでいる所を漁船に助けられていた。

星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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