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【完結済】G-form-girl  作者: ボブ
第6章 東オーディン大陸編
100/178

第100話 不屈 と 雷帝

 Sランク冒険者PT(パーティー)不屈(インドミタブル)


 リーダーであり蛇腹剣と蛇腹盾を扱うエドワードを筆頭に

 4人の女性かつ妻であるリーサ、イズミル、ジャンヌ、ウィンディ。

 その全員がSランク冒険者という

 サンディング王国を拠点とする5人PT。


 その「不屈(インドミタブル)」がラバイハサンの港町の危機に

 駆けつけたのだった。



「よし、早速俺は彼女を探しに……。」

 行こうとしたエドワードはあっという間に4つの手に捉えられた。


「ねぇ、ここに来た理由解ってる?

 ゴリラ女とやらの尻追ってる暇なんて無いんだよ?」


「このラバイハサンの港町が1日稼働出来ないだけで

 白金貨にして数百枚単位の損失が出てるって言われてただろ?

 これ以上引っ張ると市場に影響まで出るぞ?」


「しかも今、ベーコンエッグ帝国とウィンガードもそうだが

 サンディング王国も取引量が増えていて、その恩恵を私達も受けてる。

 サンディング王国から第3種後見を受けている我々にしてみても

 ここで1つ仕事をすれば、その恩返しの良い機会でもあるのだぞ?」


「そもそもゴリラ女とやらが居たら受けてるんじゃないの?」


「それだ!早速ターボカンクとやらを討伐しに行くぞ!!」


 エドワードは速足で冒険者ギルドへと駆けていったが

 4人の妻は溜息を漏らす以外に無かった。


「ねぇ……私達以外に、まだ必要だと思う?」

「不要」

「言うまでも無い」

「全略」

「だよねぇ……。」


 4人共エドワードに惚れた手前、これまでも1人増える毎に

 揉めてきた経験があった。


 そして妻が4人となってからは

 エドワードも落ち着いてきた、と思っていたところ

 あのアブラハムナカの町での実技試験以降

 エドワードはここに心非ず、といった感じだった。


「「「「はぁ……。」」」」

 溜息を漏らしつつも4人はエドワードを追い

 冒険者ギルドへと向かった。





「やぁ、この度は要請に応じてくれて助かったよ。」


「いえ、これもSランク冒険者の務めですので。」


 そして現状のターボカンクについて解っている事や

 ラバイハサンの港町の状況などについて伝えられた。


 既に2週間以上、この港町は湾内と湾外が封鎖され

 物流が滞っている事は前もって伝えられていたが

 エドワード達にとって、あまり良くない事実も伝えられた。


「オリハルコン武器が通用しない?」


「ええ、ターボカンクの殻はそこまで硬くないというのが一般的です。

 しかしあれはどうやらターボカンクの亜種のようでして

 水中の殻も含めて、オリハルコン武器による攻撃が

 通用しない、というより亀裂1つ入りません。

 初期はつるはしで何とか、と思っていたのですが

 どうやら殻の外側に付着したものが剥げただけであって

 殻自体には全く攻撃が通じないどころか

 大半の金属製武器が全く通用していません。」


「オリハルコンが通用しねぇとなると……。

 アポイタカラは試したのか?」


「ここは港町なので洋裁店等で織物蜘蛛の糸を

 切ったりする為の薄く、小さなものなら存在していますが

 アポイタカラ自体、非常に稀有な魔法金属です。」


「なら雷属性魔法なんかは?」


「一切聞いていないようです。

 まるでオリハルコンで出来ているかのように

 魔法を一切受け付けないのです。」


「そうは言ってもあたしらの武器は精々ミスリィルだ。

 それだと殻自体が壊せない可能性もあるって事か……。」


「だがターボカンクなら、巻貝である以上出入口が存在する。

 そしてそこを盾のような殻で塞いではいるが

 唯一と言って良い切れ目でもある。

 そこさえこじ開けられれば魔法も攻撃も

 通じる可能性はあるだろう?」


「そう考えるのはエドワードだけよ?

 水深の深い所でまともに武器を振ったりだのなんて

 出来る訳も無いだろうし、そもそも持ち上げるなどは

 どうせ試して駄目だったからこそ、私達が呼ばれたんでしょ……。」


「ええ、それこそ100人200人と海の漢達が試しましたが

 微動だにしませんでした。

 その際も、海中では唯一の出入り口が殻で塞がれたままで

 一切の身動きもありませんでした。」


「それだけ重さがあるって事ね……。

 確かにオリハルコンは鉱石の中で最も比重が高いと言われているから

 殻自体がオリハルコン製の可能性があるわね。」


「そのために不屈(インドミタブル)の皆さんを

 呼び寄せた、というのもあるのです。」


「なるほどなぁ……、あたしらは確かに魔法も得手だが

 無くとも戦える編成のPTだからな……。」


「ええ、エドワードさんの魔法剣士と言い

 リーサさんの魔導銃士、イズミルさんの魔導格闘士に

 ジャンヌさんの魔導罠士、ウィンディさんの魔導機士と

 魔法を得意とする中でも、属性魔法などに頼らず

 戦えるという点も今回は考慮して

 近くに居るSランク冒険者の中から招集をさせていただいたのです。」


「まぁそういう事ならエドワード以外全員が

 なにかしら出来る可能性があるわね……。」


「おいおい、リーサ。

 俺を勝手に外さないでくれよ……。」


「非力な貴方が何をすると言うの?

 こういう力仕事に無能な人は黙って見てればよいのです。」


 無能、という言葉にエドワードは

 部屋の角でイジケ始めたが、彼と彼女達にとっては

 どちらかと言えば日常茶飯事であり

 エドワードを無視して話を進めていった。





「ああ、そうだ。これはこの港町が属する

 ベーコンエッグ帝国帝都からなのですが……。」


「帝都本部?」


「はい。本件は非常に素早い対応が求められる為

 あと2つの冒険者PTに依頼が掛かっています。

 どのPTが討伐したとしても

 前もってお話してある報酬額となります。」


「つまり協力しろと?」


「いえ、誰が討伐したとしても

 全ての冒険者PTに対して報酬が

 満額出る、と言うだけであって

 協力し合う必要もなければ……。」


「邪魔する必要性も無い、って事ね。」


「はい、Sランク冒険者ともなればその辺りが

 一番問題となるでしょうが、今回は対応速度を重視し

 どこが討伐したとしても、どのPTにも

 討伐記録を付けさせていただく事となっています。」


「………それは何もしなかった奴にも

 記録が付くって事か?」


「有り体に言えば。矜持等、色々あるでしょうが

 その分、3倍の報酬額を用意していると言う事と

 それだけこのラバイハサンの港町にとって

 あのターボカンクによる被害が大きいと言う事です。

 前もって白金貨数百枚分、と言いましたが

 既に1千枚を超える被害が出ています。

 それだけベーコンエッグ帝国もラバイハサンの港町としても

 早期解決を最優先としているとご理解いただきたいのです。」


「解ったわ、私達はすぐにでも動くつもりだけど……。

 ギルドマスター?

 あと2つの冒険者PTというのはどこかしら?」


「言えるのは1つだけ、雷帝(サンダーエンペラー)です。」


「………2S冒険者PTね。」


「はい。既に到着していて、恐らく防波堤辺りで

 今頃対応を考えられているかと。」


「解ったわ、でなんでもう1PTは言えないの?」


「1つは少々遠くから来られるそうで

 間に合うかが解らないから、だそうです。

 そしてもう1つの理由が………。」


「こちらの方がもっと問題でして。

 申し訳ないのですが、こちらはギルドマスター以上。

 つまりギルドマスターか総本部付の者でなければ

 事情を説明できないのですよ。」


「ギルドマスター以上……?

 そんな厳重な秘匿対象となる冒険者だなんて………。

 解ったわ、これ以上は聞かない事とします。」


「お察しいただきありがとうございます。」





 不屈(インドミタブル)は冒険者ギルドを出てから

 リーサが推測ながら全員に話した。


「5Sランク?」


「厳重な秘匿対象となると言えば現状、最高峰冒険者ランクを持つ

 12人の5Sランク位でしょう。

 そのうちの1人が駆けつける可能性が高いんじゃないかしら。」


「駆けつけるなら、教えてくれていんじゃねぇのか?」


「遠くから来るって言ってたでしょ?

 多分、別大陸から来るのよ。

 もし間に合わなかった場合も含めて

 5Sランク冒険者なら納得出来るわ。」


「まぁオリハルコン同等の強度の殻を

 割れるとなれば、世界最高峰か……。」


「まぁ、気にする事じゃないわね。

 だって私達が討伐すればそれで終わりでしょ?」

「そうだな。」

「その通りだ。」

「そうですね……。」

「じゃあ早速……………あれ、あの無能(エドワード)は?」

「「「さぁ?」」」





「エドワードさん!皆さんもう帰られましたよ!!」


「うう……俺なんて……俺なんて……。」


 エドワードは未だ、冒険者ギルドの応接室の隅でイジケていた。

 そしてついにターボカンクの討伐が本格的に始まるのだった。


星5点満点で「面白い」や「面白くない」と

つけていただけると、作者が一喜一憂します!

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