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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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学ぶって素敵やん

 食堂に着くとみんなは揃っていて俺たちが来るのを待っていた。


「ゴメンゴメン、待たせたね。しかし、いい部屋をありがとう!。」


「本当に、いいお部屋です、とっても気に入りました。皆さん、ありがとうございました。」


「おお!皆!ありがとうな!我にピッタリだぞ!。」


「本当にな、ありがたい事よ。」


 俺たちはそれぞれみんなに感謝した。


「何言ってんのよー!もう!家族なんだから当たり前だよ!。」


「そうだよ!みんな、家族さ!。」


「そうだそうだ!。」


 事務所のみんなが口々にそう言ってくれる。


「さあさあみんな!今日はトモさん達がお仕事を終えられて帰られたんですから、そのお祝いですよ。」


 シシリーがそう言って大きな皿に山のように盛られた料理を運んでくる。


「ほらほら!みんなも運ぶの手伝って!。」


 マギーが元気よく言う。

 俺が立とうとすると、トモさん達はお仕事大変だったんだから座ってて、とマギーに言われてしまう。

 どうもすいません。


「トモさんとキーケさんはエールでいいですか?」


「お?エールあるの?ありがたいですねえ。頂きたいねえ。」


「きひひひ、頂きたいのう。ありがとうなあ。」


「今、持ってきますね!シエンさんとアルスちゃんはフルーツティーでいいよね?。」


「おう!悪いな!。」


「うふふ、ありがとうございます。」


「じゃあ、ちょっと待っててね!。」


 アンも随分とお姉さんぽくなってきたなあ、それにずっとダンスをやっているからなのか、身のこなしが軽やかに見える。

 アンが宣伝ってなに?と質問してきたのを、いい質問ですねーと言ってドライフルーツをあげたのが昨日のように思い起こされる、あの時のアンはいい笑顔だったよな、勿論今の笑顔もすごく良いけどな。

 飲み物が運ばれてテーブルの上も食べ物でいっぱいになった。


「よし!食べ物も飲み物もみんなあるね!それじゃあ、みんな。お帰りなさーーい!!。」


「お帰りなさーーい!!。」


 みんなが声をそろえて言ってくれる。


「ありがとう!みんな!。ただいま戻りました!!。」


「おう!ただいまー!!。」


「はい。帰ってきました。」


「うんうん、帰ったぞ。ありがとうな。」


 そうしてその夜はみんなから、祝帰宅パーティーをしてもらい、我々は食べて飲んで歌って楽しく過ごしたのだった。いや、ハティちゃんの歌は凄かったよ。時に語りかけるように、絞り出すように、軽やかに、ハティちゃんの歌には沢山の表情があった。

 あのキーケちゃんが大したものよと言って、自分のリュートを部屋から持って来て弾いてたからね。

 フィル達もカホンを持ってきたりして、ちょっとしたものだったよ。

 食事を作ってくれていたおばちゃんたちも聞き惚れてたよ。

 おばちゃん達に話を聞くと、ここの食堂は日中、一般利用も可能で結構ファンの人が食べに来るんだとか。

 もう、ファンができてるのか。

 まあ、初期の頃からおかしな客がいたもんな、今じゃサラブランドもある事だし有名になるってのも色々大変だよな。

 その辺どうなのかおばちゃんたちに聞いてみると、事務所のみんなは街にとっても大切な仲間であり大人のみんなが味方で彼らに害をなすものは許さない姿勢だと言う。

 更に、そもそもバンミドル組壊滅以後、この街の治安はグッと良くなっており、それもこの街が現在急激に発展している理由の一つだと言われているくらいなのだと。

 まあ、そんな訳で保護者的目線で心配になる気持ちはわかるが、あの子たちもしっかりしているしあまり過保護になるのもいかがなものかと思うなんて言われてしまう始末だった。トホホのホ。

 アルスちゃんやキーケちゃんにも親バカ扱いされてしまうし、なかなか難しいもんだよ。

 そんなこんなで楽しい夜は更け、新しい自分の部屋で快適な睡眠をとって翌朝。

 先方さんが用意してくれた馬車に乗り、一路チルデイマへ向かう。


「あっ!!。」


「なんだなんだ!どうしたトモちゃん。」


「思い出したよ、そう言えば俺、ゴゼファード公と学校の話をしたっけね。直後に手合わせしてそれから仕事の依頼と立て続けだったからすっかり忘れていたけど。」


「きひひ、思い出したか。」


「うん、確かうちの事務所みたいなやり方を模倣したいとかなんとか。」


「そうだ。それから?。」


「それから、そうした学校を作りたいって言ってたよね。」


「そうだったな。」


「俺もそれはいい事だって関心したんだよね、領のためにもなるってさ。」


「それでお主は何と言ったか覚えておるか。」


「ああ、俺に出来ることがあれば協力するって、言った。」


「きひひひひ、そうであろう。キワサカの奴は是非力を貸して欲しいと、興奮気味に言っておったよ。」


「そうだった。あの暴れん坊領主さん、有能な人材の育成による領の発展の可能性に我が意を得たりって顔してたよ、そう言えば。」


「なんだ、トモちゃんは忘れんぼさんだなあ!。」


「いや、だってその後すぐに模擬戦でしょ?それから絵の秘密を解く依頼があってだったからさ、それ以前の会話なんて細かく覚えちゃいないよー。」


「うふふ、執事長をされていたジェンスさんは、その話しこそがトモトモを呼んだ主目的だったみたいな顔をされていましたよ。」


「よく見ておったの、さすがアルスよ。ジェンスの奴は親を幼少時に失っておってな先代ゴゼファードに拾われてからずっとゴゼファード家に仕えておるのだが、庭師やメイド、調理師などジェンスと同じ境遇の者を多く雇っているのよ。勿論、単に憐みの気持ちだけではない、自身が忠誠を誓う場所を守る人間として相応しいかどうかは、しっかり見ておる。そして、奴はわかっておるのよ、自分とそして自分が見込んだ者にとって、ゴゼファード家は良い主人であるとな。まあ、そんな訳でジェンスの奴もこの計画には大賛成でな、それを進めようと意気込むキワサカを見て喜んどったよ。」


「なるほどねー。こりゃ、俺も黙っちゃいられないな。協力させて頂きましょうよ。何を協力できるのかわかんないけどさ。」


「いやいや、トモよ。お主は右も左もわからぬ場所に来て事務所をあそこまで大きくしたではないか。これは、凄い事ぞ。」


「いやあ、ひとりでやったことじゃないものさ。アウロさんがいて、ケイン達がいて、デンバーさんがいて、まあ本当に色んな人との良い出会いがあっての事だからねえ。キーケちゃんやアルスちゃん、シエンちゃんもそうだよ。どうも、俺はこっちに来てから出会いの運気が急上昇してるよ。」


「うふふふ、そうしたものは運以外にも自分で持ってくる力が必要なものですよ。ひな鳥だって餌をもらうために声を出して首を伸ばすものです、ただ上を向いて口を開けているだけでは、今のトモトモのようになれるものではありません。自信をもってもいいですよ。」


「えー?そう?。」


「まあ、トモちゃんはトモちゃんだからな。それで良いのだ!。」


 またシエンちゃんは41歳の腹巻きオジサンみたいな哲学的なシメ方をするよ。

 馬車は進み大きな川を超える。

 あれはカウザミ川だな。これを越えれば程なくしてビエイナの街、そして目的地チルデイマだ。

 この道を通るのは2度目だな、前回は領主都オッドウェイへ向かう途中だったけど今回はチルデイマまでだから、割とすぐだな。

 チルデイマに到着しセレモニー会場で馬車を降りるとすぐに幾人かの人に出迎えられ、我々は来賓席に案内された。


「やあやあ!お久しぶりです!皆さん、ご健勝そうで何よりですぞ!。」


 大きな声で両手を広げた暑苦しい挨拶は、暴れん坊領主ことキワサカ・ゴゼファード公その人だ。


「いや、この度はこのような席にお招きにあずかりまして。」


「何を堅苦しい事をおっしゃられるか!剣を交えた仲であろうに!さあさあ!こちらへ!。」


 挨拶途中で肩をバシバシ叩かれながら、仮設テント内の来賓席に案内される。


「お久しぶりですな、クルースさん。」


「ご活躍の噂、聞いておりますよ。」


「おー!デンバーさんにキックスさん!久しぶりです!いつも事務所のみんながお世話になっております。オフヨイさんはお元気ですか?。」


「ええ、元気にやっておりますよ。自分の全てを伝えるべき相手が見つかったと張り切ってますよ。ふふ、ケイン君もこれから大変だと思いますが、こちらこそこれからもよろしくお願いいたしますよ。」


 デンバーさんはいたずらっぽく笑った。


「クルースさん達も来られたか。お仕事は終わられたんですな?。」


「あっ!アウロさん!。」


「ふふふ、クルース殿、アウロ殿には学園の特別講師をお願いしたのだ!」


「おおっ!それは素晴らしい!アウロさんならば良い先生になるに違いないですから!。」


「クルース殿もそう思われるか!良い学園には良い教師が必要だと、私は思ってるのですよ!いやー、これは話が早い!!。」


 バシバシと俺の肩を叩きながら言うキワサカ様。


「なんですか?話が早いって?。」


「ふふふふ、また!わかってらっしゃるでしょうに!デンバー会長とも話しましてなクルース殿達パーティーの皆さんに学園の特別講師をお願いしたいのですよ!。」


「はい????。」


 頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになった。

 なんですと?

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