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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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やっぱり船旅って素敵やん

 俺たちは教会に行きワソト司祭に事の次第を話すと、なにやら手紙を書いた司祭に少し待っていてくださいと言われ待つことしばし。


「いや、お待たせいたしました。エルミランドの教会本部と連絡が付きました。本件については報告内容を持って依頼完了とす。協力各所への報酬は随時支払われるものとする。貴君等パーティーメンバーへの報酬はギルドカードに振り込ませて頂く事とす。依頼完了お疲れ様でした。との事です。ご苦労様でした。」


「ありがとうございます。いやあ、みんなもお疲れ!。」


「思えば遠くに来たものよ。」


「うふふ、本当に。」


「よし!レインザーへ、ノダハに帰ろう!。」


 ワソト司祭の案内でデイアルアル公国港へ行く。

 この港からから魔導機船でレインザー王国マズヌル港まで約10日の船旅だと言う。

 俺たちはワソト司祭に別れを告げて、教会がとってくれたチケットを手に魔導機船へと乗り込むのだった。

 こちらの世界に来てから初の海外、旅行ではなく仕事ではあったが食べ物も美味しかったし出会った人たちも皆、気持ちの良い人たちだった、また会いたいし是非レインザー王国にも来て欲しいものだ。

 俺は遠くなる陸地を眺めてそんな事を考えたのだった。

 帰りの魔導機船も来た時に乗ったものと同じような豪華客船で、シエンちゃんはキーケちゃんとカジノに入り浸り、俺とアルスちゃんはプールで泳いだり釣りをしたり、演劇や出し物を見たりして過ごしたのだが、驚いたのは出し物に空中ゴマがあり、協賛、技術指導、ケイトモとアナウンスされた事だった。

 俺はアルスちゃんと顔を見合わせ、ケイトモがドンドン世界に発信されているのを喜んだ。

 船の中には図書館もあり俺とアルスちゃんはそこへもよく行った。

 アルスちゃんが、大商会会長達の名言語録みたいな本を見つけたのだが、そこにはストーンキッズ商会の現会長シルバビジョン・ストーンキッズの言葉も多く載せられていたのだが、どうにも発言内容が不穏と言うか何と言うか。

 独占資本と国、軍の地位についての語り口などはパワーエリート的考え方丸出しであるし、境界をなくした世界における新しい秩序の必要性だとか、世界全体の価値観の変容が劇的に起こるだろうなどと言う予言めいた発言などなど、どうにもこうにも我々が追っていた件の黒幕と言われても違和感無い事甚だしい。

 おまけに発見者でも実践会でも似たような教えがあり、ともに何度も強調されていたと言うにおいては、これは限りなく黒に近い灰色ですなとアルスちゃんと共にげんなりした気持ちになったりもした。

 そうは言ってもこの船旅は連日好天で、基本的にはリゾート気分を満喫することができていた。

 あんまり毎日弛緩しっぱなしではいざと言う時の勘が鈍るってんで、俺たちは人がいない時を見計らって甲板で模擬戦と言うのか組み手と言うのか、まあ、どっちにしてもキーケちゃんに稽古をつけてもらう事には変わりがないのだが、そうした事もしていた。

 俺なんかはいいように振り回されてヘトヘトになってぶっ倒れるってのが定番なのだが、シエンちゃんなんかは組み手だといい勝負をしているように見えるもんね、アルスちゃんは木剣での模擬戦でキレイな接戦をしているように見えるけど、ふたりとも、まだまだだって言うんだよなあ。

 そうすると、俺なんていつになったら肩を並べられるんだって悩んじゃうよ。

 だが俺は元々前世界では単なるワーキングプアのオジサンだった訳で、地道にコツコツやって成果は少し、みたいな事には慣れている。

 俺は俺で地道に行くさ。

 なんて思っていたら、稽古を見物していた船員のオジサンに兄ちゃんめげるなよ、なんて慰められたりもしたのだった。

 またある時はフライングアーミーフィッシュの群れに遭遇した事もあった。

 船内に警報音が鳴り船の周囲にマジックシールドが張られ、念のため船外に出ないで下さいとアナウンスされ、室内から窓ごしに外を見ると、羽の生えた体長1メートルほどのバラクーダのような魚が大量にマジックシールドに弾かれていた。

 羽といってもヒレが大きくなったもののようだったが、かなりの飛行能力があるようで滞空時間も長く船の周りを旋回している奴も結構いた。

 かなりの時間、船にまとわりついていたが徐々に見えてる数が減り、しばらくしたらいなくなった。

 確かに、なんの装備もなく海上であんな群れに遭遇したらたまったもんじゃないな。

 あんなものに面白半分にちょっかいかけるだなんて、シエンちゃんもどうかしてるよ。

 他にも、クジラとは違う巨大な海洋生物、シーサーペントやクラーケンを見る事ができたのは嬉しかった。

 子供の時、そうした未確認生物とか大好きだったんだよね。

 大人になるにつれ、あれはウバザメの死骸だったとか、偽写真を撮った本人が告白だとか、それだけの大きさの生き物が生きていくために必要な食料となる生物がそこには少なすぎる、だとか夢を見る隙間も無くなってきたのだが、ここにはそれがあったんだからね。

 俺は子供の頃を思い出して夢中になって見ていたのだが、この世界の人たちにとっては前世界のホエールウォッチングやサファリツアーのようなものなのか、俺ほど前のめりになって見ている人はいないのだった。

 シエンちゃんは夢中になって見ている俺に、何だったらちょっと行って戦ってみせようか?連れて帰って飼うか?なんて言うもんだから、気持ちは嬉しいけど、そっとしておいてやって頂戴なと説得するのも一苦労だった。

 そんなこんなで、あっという間に船旅は終わり我々はレインザー王国マズヌル港へ到着した。

 いやー、久しぶりのレインザー!帰ってきたって感じるのは、俺もこの世界の住人になったって事かな。

 そう感じられるのが俺には嬉しかった。

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