男同士で旅先の夜って素敵やん
宿での部屋割りは男子と女子に分かれて大きな部屋を一室づつとなった。
女子はアルロット会長、コバーン体育部長、オライリー会計、マディー学芸部長、ケイト、そしてアルスちゃん。
男子部屋は俺、ストーム、クランケル、ブリーニェル副会長、フィン書記、ヴォーン生活部長というわけで、ちょうど六人づつの部屋割りだ。
食事を終えて部屋に戻った俺達は自然と今日あった事の話しになる。
「まさか初日からこんなにトラブルが続くとは、正直驚いているよ」
フィン書記が肩をすくめて言う。
「俺は実際に被害に遭ってるからな。あれが事故じゃないとすれば、やつらはこちらの生死は気にしてないようだ」
トイレで倒木に巻き込まれたヴォーン生活部長が言う。
「だとすれば、私達が遭遇したのはやはり別の相手という事になるな。やつらはオライリー君を攫うにとどめていたからね」
と副会長。
「それはまだ決めつけない方が良いと思いますよ。同じ勢力でもやり方が違うのかも知れませんし。問題はやつらの目的よりも手段だと思います」
「確かにそうだ。偽装事故以外の手段も念頭に置いて警戒する必要がありますね」
俺はストームに続けて言った。
「ところでさクルース君、オライリーさんをさらったやつらってどんな感じだったの?」
ストームが聞くので俺は改めて市場であった事を説明する。
「その店って今、どうなってるの?」
「見てないよ」
「ちょっと行ってみない?」
ストームが笑顔を浮かべて言う。
「さすがに何もないだろ」
「わかんないよ~、犯人は現場に戻るって言うし」
「おいおい、警戒しようってさっき言ったばかりだろうが」
俺はストームに言う。
「・・・いや、ストームの言う事も一理ある。なにか証拠を残してはいないか、その後、現場はどうなっているのか、気にして見張っている事も十分ありえる。更に言うなら、攫うべき対象がそれを探ろうと顔を出す可能性も考えているかもしれん」
フィン書記が言うとストームはいやあ、と照れて頭を掻く。いや、照れてるけどフィン書記は敵はストームの考えを読んでるかもしれないと言ってるんだが。
「こちらもそれを踏まえてなら良いのではないですか?」
「どう踏まえるんだ?」
俺はクランケルに聞く。
「二班に別れて行くんですよ。一班が現地調査、もう一班はそれを離れた所からマークするんですよ」
「面白いじゃないか、それで行こう」
「おいフィン」
乗り気なフィン書記にブリーニェル副会長が声をかける。
「心配すんなってクリス、調査班は現場にいなかった俺とヴォーン、そしてクランケルがやる。それなら敵もいきなり襲いかかってくる事はないだろう。お前とクルースとストームは離れた所からバックアップだ。お前の術式的にも良い班分けだろ?」
「え~、僕も調査班がやりたいな~」
「しょうがない奴だな。じゃ、バックアップ班はクリスとクルースだ」
「やったね!じゃあ、班の名前を決めようよ!シーカーワンってのはどう?」
「調査してるのまるわかりじゃないか」
ヴォーン生活部長がツッコむ。
「それじゃあ、アルロット親衛隊は?」
「悪くはないが長いな」
「それじゃあ・・」
ストームとヴォーン生活部長がワチャワチャと盛り上がり出した。ストームが絡むと緊張感が薄れていいよ。そのノリについていける奴が少ないのが残念な所だったのだが、どうやらヴォーン生活部長とはいい感じみたいだ。
何気にブリーニェル副会長も乗り気になってるみたいだ。
やっぱ、みんな若いねえ、なんて思いながらも修学旅行の夜みたいでちょっとワクワクする俺なのであった。




