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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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カジュアル飲み会って素敵やん

 「遅いぞオライリー、早くこっちに来い。ん?そちらは」


 店に入るとヴォーン生活部長が我々を見つけて声をかけてくれる。


「会長、彼は」


 奥の席へと向かう俺達の後について来るストームを見て、ブリーニェル副会長がアルロット生徒会長に言う。


「ジェランド・ストーム君、ルーマーディーラーですよね。また面白い人を連れてきましたね」


 笑って答えるアルロット生徒会長。


「ああ会長すまない。一名追加できるか?」


 オライリーさんはサバサバした口調で言う。


「いいでしょう。役者も揃った事ですし始めるとしましょう」


 アルロット生徒会長は落ち着いた口調でそう言うと店の人の方を見て頷く。店の人はそれを見てスッとテーブルに近付いて来る。マックイーン書記が皆に頼みたい飲み物を聞き、テキパキと食べ物を注文してくれる。店の人は注文を取ると一礼して店の奥へと下がって行く。注文品の迷いのなさと言い店員さんの対応と言いなるほど、生徒会のメンツはここの常連のようだな。

 幾らもせずに飲み物が運ばれてくるので手に取って待つ。乾杯の挨拶とかあるだろうし。


「みーなーさーん!まずはお疲れ様でしたー!」


 コバーン体育部長が大きな声でそう言ってグラスを掲げる。皆もそれに続いてグラスを掲げグイッと飲み、それぞれ談笑し始めた。


「え?挨拶とかなし?」


「うちはそういうのはないよ。意味がないだろ?」


 俺の疑問にオライリーさんが答える。オライリーさんはデカいジョッキをゴクゴクと飲んでいる。


「いやあ、なんか自分もそう思ってましたけど、いざ実際にそうされるとどうにも座りが悪いと言うか、なんかぬるっと始まったなあと違和感を感じまして」


「そのうち慣れるさ」


 オライリーさんはそう言って料理を運んできた店員さんに追加のドリンクを注文する。ペースはえーっつーの。

 料理は大皿に盛られたものが幾らかおかれ小皿も各自の前に並べられる。オライリーさんは量が少ないって言ってたが全然そんな事ねーって。

 俺は料理に手を付けビールを飲みオライリーさんと話をする。


「さて、そろそろストーム君を会長に紹介してくるとするか。行くぞストーム君」


「ああ、はい。お願いします」


 オライリーさんに言われてストームは立ち上がる。


「ケイトさん、こちらへいらしてくださいなー」


 コバーン体育部長がケイトに手を振る。


「ちょっと行ってきますね」


 ケイトは自分のグラスを持って席を立った。


「クランケル君、向こうで話をしようじゃないか」


「ええ」


 クランケルはツカツカとやってきたマディー学芸部長に連れられて行ってしまう。なんだよ、俺ひとりきりになっちまったよ。

 こうなりゃ、食いに徹してやるか。俺はガツガツと並んでいる物を食べる。お?この貝の香草焼きみたいのメッチャ美味しいじゃん!こういう大皿系の飲み会って腹が張ってくる後半に美味しいもの来がちだけど、初期段階からこれはイケる!しかもこういう個数が限られてる奴って周りの人に気を使って手を出しづらいのだが、周りから人が消えた今こそ総取りチャンスだ!


「隣り良いかい?」


 貝の香草焼きを連続して食べているとブリーニェル副会長に声をかけられる。


「ええ、どうぞどうぞ」


 俺は貝を食べながら答える。


「気に入ったようだね。そのホンビノス貝はカティス産だよ」


 ブリーニェル副会長が意味ありげな笑みを浮かべて言う。


「そうなんですか?本当に美味しいですよ」


「私も好物でね、今後手に入りにくくなると聞いて残念に思っていたのだが、君のおかげで今後も安定して入荷できるみたいだ。感謝するよ」


 俺の肩に手を置き隣に腰かけたのはマックイーン書記だった。

 むむむっ、図らずして両隣をタイプの違う美青年に埋められてしまった。右には知的で清潔感のあるブリーニェル副会長、左にはやんちゃ系だが意志の強そうなマックイーン書記、ははは、両手に花やね。


「いやあ、自分が感謝されるいわれはないですよ」


「謙遜のし過ぎは嫌味に聞こえるぞ」


「そうですよクルース君。カティスの水産業が持ち直したのは確実に波乗りのおかげですからね。いや、もうカティスのみの話しではなくなっているようですけどね」


 マックイーン書記に続いてブリーニェル副会長が言う。


「カティスのみの話ではないとは?」


「全国波乗り行脚の話しは聞いてないのか?立役者なのに?」


「波乗りポイントの開拓と宣伝のためにあちこち出向いてるって話は聞いてますけど」


 俺は不思議そうに問うマックイーン書記に答えた。


「すでにいくつかの港町に支店が作られているという話しですよ」


 ブリーニェル副会長さんが言う。


「マジですか。それは初耳ですね」


「ホントに立役者なのか?」


「だから別に謙遜してるわけじゃあないんですって。立役者なんて立派なもんじゃなくて、たまたま俺が適当に遊んでたものを地元の人が見て面白がってあそこまでにしたんですって」


「まあ、そう言う事にしておきましょうか。それよりも私が話したかったのはクルース君の冒険者時代の話しです。例の団体のね」


 副会長がニヤリと笑って言う。マックイーン書記もニヒルな笑みを浮かべて俺を見ている。ええ?あの手の団体の話しなんか楽しい飲み会でしたくないんですけど?


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