集められた者達とその理由って素敵やん
そんなこんなで放課後、俺達は生徒会室に向かう事にした。生徒会室の場所がわからんと思っていたが律儀な事に生徒会の人が迎えに来てくれた。
「生徒会室に行くのは初めてかい?」
迎えに来てくれたのは生徒会学芸部長のマディガンさん、みんなにはマディーと呼ばれているからそう呼んでくれと言う姐御肌っぽいな女生徒だった。会長さんがうちのクラスに顔を出した時、横に静かに立っていた小柄な女性だ。
肩ほどの長さの緩いウェービーヘアーに力強い目をしたマディーさんはワイルドな話し方をする。
「ええ、そうなんですよ。場所がわからないと思っていたんで助かりますよ」
俺は愛想笑いを浮かべて言う。
「ギライス祭りで見させてもらったが君、かなりの腕だよな。そんなヘラヘラしてると安く見られるからやめたほうがいいぞ」
マディー学芸部長が言う。きついねー。
「いや、安く見られていた方が良いと申しますか、なんと申しますか」
俺がしどろもどろになっているのを見てクランケルが小さく笑う。
「そちらの彼もそうだ、自分の力は正しくアピールした方が良いぞ?そうすれば自分の力に伴った役割が与えられる」
マディー学芸部長はサバサバした口調でそう言う。ううむ、この人、人生に真面目に取り組む求道者タイプの人だな。良い人なんだけどちょっと付き合ってると疲れるタイプかも知らん。
「力に伴った役割ですか?」
クランケルが反応する。ああ、クランケルも近いタイプだったかー。
「そうだ。大きな力には責任が伴うのだ」
「でしたらジミーさんはその責任を全うされてます。何と言ってもケイトモの会長なのですから」
マディー学芸部長の言葉にケイトが涼しい顔で答える。
「そうなのか?」
マディー学芸部長がクルリと振り返り俺の顔を真正面から見て言う。
「いや、会長じゃあないですよ。会長はケインですからね」
「彼らに機会を与えたのはジミーさんですからね」
ケイトが俺の言葉に被せて言う。
「ほう、ケイトモの創設者のトモとは君の事か、ならば尚更だ。その手腕を正しくアピールしていればもっと早く生徒会に招かれていたはずだ」
「力に伴う役割とは生徒会活動の事ですか?」
マディー学芸部長にクランケルが問う。
「この学園に居るのならば、そうであると答えておこう。役割とは自分が所属する場所によって変化するものだ」
「ちょっと良くわかりませんね」
「いずれ君もわかるさ」
物怖じせずに言うクランケルに柔らかい声で答えるマディー学芸部長。悪い人じゃないんだよなあ。つーか真っ当なんだけど真っ当過ぎるってのかねえ。まあ、でもこういう人が居なければ居ないで世の中停滞してしまうのも確かなんだろうな。
「ここが生徒会室だ。失礼します」
トビラをノックし中に入るマディー学芸部長。俺達もそれに続いて中に入る。
中は授業をする教室の半分ほどの広さにテーブル、イス、書棚などが置かれている。休み時間に見た顔もいる。
「マディー部長、ご苦労様です。生徒会にようこそ」
部屋の奥に座っていたアルロット生徒会が立ち上がって我々に言った。ううむ、堂に入っていると言うのか、何と言うのか。歓迎する姿が板についてる、ここのボスって感じ。ザ・お嬢様、ザ・権力者って感じ。
「どうぞ、お座りください」
会長に促されて着席すると、それまで作業をしていた生徒会メンバーたちが手を止めて一斉に俺たちを見た。緊張するからやめてくれ。
「まずは自己紹介からさせて頂きましょう。私がファルブリングカレッジ生徒会会長、マリル・アルロットです」
そう言って優雅に手を差し伸べる会長さん。手を差し伸べられたのは会長さんの右手に居る背が高く眼鏡をかけ短く刈り込まれた金髪頭の男子生徒。清潔なイメージを与える青年は軽く会釈をして口を開く。
「僕はクリス・ブリーニェル、生徒会副会長をやらせて貰ってます。よろしく」
「私の事はもうわかってるだろうが一応形式で自己紹介しておこう。生徒会学芸部長のウォル・マディガン、よろしくな」
ブリーニェル副会長の紹介の後、隣のマディー学芸部長が言う。これはあれか、右回りで順番に自己紹介していく感じだな。俺たちは机を挟んで生徒会長と副会長の対面に座った。生徒会長から右回りに自己紹介は進んで行く。
「私はフィンツェンツ・マックイーン、書記をしています。よろしく」
ショートカットで力強い目をした男子生徒が太い声で言う。
「シャーロット・オライリー、会計です。よろしく」
と言うのは癖のあるブルネットカラーの髪、うるんだような大きな目をした女生徒だ。
右回りで行くと俺だな。
「えーと、」
「ああ、君達は我々の自己紹介が済んだ後で改めてお願いします」
アルロット生徒会長が柔らかい口調で言う。こっぱずかしー、先に言ってくれよ。
会長さんの対面に座る俺たちは飛ばして自己紹介は折り返す。
「ブリトニー・コバーン、体育部長よ。よろしくね」
続いて豊かなブロンドヘアーに青い瞳の大きな女生徒がコケティッシュな笑みを浮かべて言う。
「リー・ヴォーン。生活部長だ」
ブラウンの髪をサイドで刈り上げソフトな七三ヘアーにした甘いマスクの男子生徒が軽く手を上げて言う。なんかコゼランちゃんと通じるものを感じる。
「以上が生徒会のメンバーとなります。では改めて自己紹介願えますか」
アルロット生徒会長が俺に微笑みかける。
「えー、コホン。えーと、トモ・クルースでむっです」
ふへー、噛んじまった。我ながらしょうもない。
「グロウス・クランケルです。よろしくどうぞ」
軽い調子で言うクランケル。余裕じゃねーか。
「モスマン族長国から来ましたケイト・クーロックです。会長さん、今度は私達が単刀直入に伺います。私達に助力を願うような学園のトラブルとはなんです?」
おーっと、ケイトの奴いきなり切り込んだなー。
「うふふ、随分とせっかちですね。副会長、説明を」
「はい」
アルロット会長に言われてブリーニェル副会長が席を立ち皆に何かを配り出した。手元に来たそれは幾枚かの紙を束ねた書類であった。
表紙にはこう書いてあった、生徒間における精神変調について、と。
精神変調?何が起きてるんだ?




